慶應義塾

1: 冬太り・夏やせの「振れ幅」が大きい人ほど腎機能が低下しやすい ―全国2型糖尿病データベース(JDDM)6,700人の解析―

今月のサイエンス - 2026年7月

1: 冬太り・夏やせの「振れ幅」が大きい人ほど腎機能が低下しやすい ―全国2型糖尿病データベース(JDDM)6,700人の解析―

Toki R, Sakamoto M, Yuki M, Iida M, Yamazaki M, Ichikawa S, Horiuchi R, Maegawa H, Okamura T, Takebayashi T.

左から、武林(最終著者)、坂本(責任著者)、土岐(筆頭著者)

糖尿病患者において、血糖値や血圧のばらつきは糖尿病合併症の独立した危険因子であることが知られています。体重についても大幅な増減を繰り返すウェイトサイクリングが心血管疾患や死亡と関連することが報告されてきましたが、腎機能への影響は依然明らかではありませんでした。特に体重が冬に増え夏に減るという季節的な変動はありふれた現象であり、これまで概ね無害であると考えられてきました。本研究では全国の糖尿病専門医療機関が参加するJDDMレジストリを用い、2型糖尿病患者6,700人の毎月の体重(BMI)からSTL分解という手法によって各個人の季節による変動の大きさ(振れ幅)を算出したところ、集団全体では2月頃に最大、7月頃に最小となる明瞭な季節リズムが認められました。さらに腎機能との関連解析の結果、振れ幅が最も大きい群では、最も小さい群に比べeGFRが40%以上低下する危険性がおよそ1.7倍でした。また年齢・性別・肥満度などで補正しても、振れ幅が大きい群ほど経年的なeGFRの低下速度が速いことも確認しました。本研究の結果は、体重の季節変動のように特別な検査を要さず簡便に把握できる新しい指標が、今後の糖尿病診療の現場に有用である可能性を示唆しています。

(衛生学公衆衛生学教室 武林亨、土岐了大)

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