総合政策学部 准教授 政策・メディア研究科委員 福島 康仁
専門分野:宇宙政策、宇宙安全保障、国際安全保障、国際関係論
国際安全保障と国際関係論を基盤として、宇宙開発利用に関わる政策課題を研究しています。
◆個人研究を中核とした研究会
私は「国際関係」と「宇宙政策」をテーマとする2つの研究会を開講しています。どちらも中核は個人研究です。これはSFCが掲げる「問題発見・問題解決」を学術研究を通じて実践してもらいたいという考えに基づいています。自ら研究テーマを設定し、先行研究との対話を通じて問題の所在を明確にした上で、実証的に解を導き出していく経験は、社会人になっても役立つと考えています。
◆日本では珍しい「宇宙政策」をテーマとする研究会
ここでは、日本では珍しい「宇宙政策」をテーマとする研究会の活動を紹介します。この研究会は教員である私を含めて6名という小さな集まりです。その分、毎回の研究会で一人一人に十分な発言機会があり、それぞれの学生と向き合うことができていると感じます。
発足2年目の新しい研究会ですが、学生の皆さんは発足当初から主体的に行動してくれています。毎回、私が促さなくても自然と議論が進みます。
研究会の中核は個人研究ですが、宇宙政策への理解を深めてもらうために関連文献の輪読やゲスト講義、関連施設の見学といった機会も設けています。
他の研究会との連携も進めています。環境情報学部の堺正太朗先生と惑星圏科学研究会の皆さんと「宇宙の未来構想キャンパス」(Space Futures Campus)の具体化に取り組んでいます。2026年8月の「未来構想キャンプ」では、堺先生と共同で「宇宙の未来構想ワークショップ~月や火星でどう暮らす?課題と解決策を考える~」を開催します。高校生の皆さんを対象とするワークショップですが、研究会の皆さんには学生スタッフとして参加してもらいます。
宇宙政策を研究するにあたっては、宇宙法への理解を深めることも大切です。こうした観点から、法学部法律学科の竹内悠先生が開講している宇宙法ゼミとの連携を図っています。2026年9月には合同合宿を筑波で開催し、個人研究の発表とJAXAの見学を行います。
◆追求したい研究テーマがあり、主体的に行動できる皆さんをお待ちしています
毎週の研究会は個人研究の成果発表に多くの時間を割くため、実際の研究は個々人が自らの時間を使って、主体的に進めていくことになります。そのためには情熱をもって追求できるテーマを持っていることが大切です。
以下は学生の皆さんによる研究会の紹介文です。雰囲気を感じ取ってもらえると幸いです。
Aさん(総合政策学部3年)
研究テーマ:巨大民間資本と多角化事業がもたらすSpaceXの経営権独立:米国防宇宙政策における商業調達依存のリスクとガバナンスの限界
「福島研では、『SpaceXと米国宇宙政策の関連』について学んでいます。民間企業が宇宙開発の主導権を握る現代において、国家と民間がどのように連携し、安全保障に影響を与えているのかに関心を持っています。学生5人という少人数ならではの近さがあり、福島先生ともフラットに意見を交わせる、アットホームで刺激的な環境が私たちの強みだと感じています。」
Bさん(総合政策学部2年)
研究テーマ:宇宙アセットから無人機(UxV)までを統合した海洋状況把握(MDA)による海洋安全保障の研究
「研究会では、ウォーゲームから宇宙ビジネスまで、学生それぞれが宇宙をめぐる政策課題を個人研究として掘り下げています。ゲスト講演や基地見学、関連省庁・企業との交流など、宇宙政策の最前線に触れられるのが魅力です。私はその中で、SAR衛星や衛星VDESといった宇宙アセットから無人機(UAV, USV, UUVなど)までを統合し、不審船を検知・現場で確認する多層的な海洋状況把握(MDA)の研究に取り組んでいます。」
Cさん(環境情報学部4年)
研究テーマ:デブリの発生を伴う衛星攻撃、宇宙アセットの安全保障
「福島研では、全員が『宇宙安全保障』に関連するテーマの研究を行っています。少人数で同じ方向を向いているため、福島先生、研究会生からのフィードバックの密度が非常に高いです。本気で宇宙安全保障の研究をやりたい人にとってはこれ以上ない環境だと思います。他の宇宙関連の研究会との交流も盛んで、宇宙に関連する知的好奇心を満たすための場所として最適です。」
Dさん(環境情報学部3年)
研究テーマ:商業宇宙企業の価値に「安全保障の需要」はどれだけ効いているか
「福島研では『宇宙安全保障』をテーマに論文の輪読や議論を行い、日々学びを深めています。なかでも自分は『商業宇宙企業の価値』という一見すると安全保障とは関係ないような研究を行っているのですが、先生の幅広い知見や多彩な研究テーマをもつ学生との議論を通して掘り下げていくと、両者が密接に関わっていることがわかってきて、とても面白いです。このように色々なテーマを研究できることが本研究会の強みだと思います。」
Eさん(総合政策学部3年)
研究テーマ:中国のRPO(近接運用)が生み出す曖昧性の構造と宇宙安全保障への課題
「本研究会では、宇宙安全保障や宇宙政策をテーマに、学生それぞれが関心のある課題について個人研究に取り組んでいます。英語文献の輪読や実務の場の見学を通じて、宇宙政策の実務や最前線に触れながら研究を深められることが魅力です。私は、中国のRPO(近接運用)に着目し、その活動が生み出す曖昧性の構造を分析するとともに、特にSSA(宇宙状況把握)に着目しながら、それが抑止といった既存の宇宙安全保障の枠組みにどのような課題を提起するのかについて研究しています。」