慶應義塾

金井 隆典

カナイ タカノリ

Kanai, Takanori

医学部 内科学教室(消化器)/教授

基本情報

専門

消化器疾患の病態解明および新規治療法に関する基礎・臨床研究

研究者番号

40245478

論文審査資格

医学研究科における論文指導資格 : 修士/博士

略歴

研究

研究概要

1. 消化管における腸内細菌叢と粘膜免疫の相互作用の解明 消化管は、栄養や水分の吸収に加えて、最大の免疫細胞の貯蔵庫としての側面を持つ。我々は、一貫して炎症性腸疾患の病態において、腸管免疫の機能解析を行ってきた。ヒト腸管において、CD25陽性細胞が炎症抑制能を持つTreg細胞であることを明らかとした(Makita S, 2004)。Treg細胞は、マウス大腸炎に置いてTh17細胞がTh1細胞に脱分化し、腸炎惹起能の獲得を抑制すること(Sujino T, 2011)、Clostridium属のプロバイオティクス製剤によりTreg細胞およびIL-10産生性マクロファージが誘導されること(Kasiwagi I, 2015; Hayashi A, 2013)を明らかにした。また、lymphotoxin (LT)α欠損マウスでTh17細胞が減少する一方で、 IL-17産生性のILC3がパラドキシカルに増加すること(Ono Y, 2012)、ヒトILC3がIL-23刺激下でIL-22を賛成し、腸管上皮修復機構を要すること(Mizuno S, 2014)を明らかとした。さらに、腸内細菌叢の乱れ、すなわちディスバイオーシスにより、皮膚(Hayashi A, 2017: Kiyohara H, 2019)、肝臓(Nakamoto N, 2017, 2019; Taniki N, 2018)に変化が起こり、炎症性腸疾患に併発する腸管外合併症の発症機序の一端を明らかとした。 2. 肝臓と消化管を結ぶ腸肝相関を介した自己免疫性肝疾患の病態解明 腸肝相間の観点から、免疫難病である原発性硬化性胆管炎(Primary sclerosing cholangitis: PSC)をはじめとする自己免疫性肝疾患の病態解明を行っている。PSC患者の便を無菌マウスに移植したヒトフローラ化マウスを用いて、腸間膜リンパ節に“侵入”したbacterial translocation菌を分離培養することに成功し、宿主侵入性かつ自己免疫誘導能が高い疾患特異的腸内細菌をスクリーニングする手法を樹立した。本手法を用いて、大腸上皮の障害能を有するKlebsiella pneumoniae (KP) (図1)がPSC患者便中に高率に存在すること、KPをはじめとするbacterial translocation誘導菌による肝臓内免疫応答を介した胆管障害の発症機序を明らかにした。現在、種々の肝臓疾患への腸内細菌の関与を検討するとともに、海外の企業との共同研究として、PSCに対する病因菌を標的としたバクテリオファージを用いた臨床応用を目指している。 3. 自律神経系を介した「肝-脳-腸相関」を介した腸管免疫制御機構の解明 自律神経系を介した腸管の運動、免疫、嗜好性の制御機構の検討を行っている。炎症性腸疾患(IBD)は、過敏性腸症候群(IBS)やうつ病などの中枢神経(脳)や末梢神経(腸管)が病態に関与すると考えらえれる疾患と相関することは臨床的にはよく知られているが、その病態のオーバーラップに関して不明な点が多かった。我々は、腸管に張り巡らされている自律神経系が、抗原提示細胞(APC)と共局在し(Fig.3)、ムスカリン型アセチルコリン受容体(mAChR)を介してAPCを刺激、さらには制御性T細胞(pTreg)の分化・維持に極めて重要な働きをすることが明らかとした。さらに、神経のトレーシング技術および迷走神経切除モデル動物を用いて、この現象は、肝臓から脳への迷走神経求心路、脳から腸管への迷走神経遠心路を介していることを発見した(Teratani T, 2020)。  これらの知見を生かし、自律神経系が、腸管における粘膜免疫、蠕動運動、ホルモン産生、そして、中枢神経系の高次脳機能への影響を検討している。

研究キーワード

  • 神経免疫学
  • 免疫学
  • プロバイオティクス
  • 腸内細菌
  • 炎症性腸疾患
  • ディスバイオーシス

研究活動

Scopus論文情報

最終更新日
年ごとのScopus論文数
出版年論文数
19891
19901
19911
19921
19934
19961
19971
19983
19993
20006
20013
20026
200316
200410
200511
20069
20078
200813
200913
20109
201112
201227
201324
201426
201533
201635
201751
201844
201938
202043
202154
202250
202345
202437
202540
202628
総文献数
707
総引用数
29500
h-index
81

教育活動

所属