慶應義塾大学大学院理工学研究科の蒔田桃子(修士課程1年)と同大学理工学部物理学科の岡 朋治教授らの研究チームは、アルマ望遠鏡を用いて、天の川銀河の円盤部に発見された超高速度分子ガス成分「Bullet (弾丸)」について詳細な電波観測を行いました。
Bulletは、太陽から約1万光年の距離に位置し、約120 km s−1という異常に広い速度幅と膨大な運動エネルギーを持つことから、これまで伴星を持たない「野良ブラックホール」によって形成された可能性が指摘されてきました。今回の観測により、Bulletの周囲に新たに8つの高速成分「Petit–Bullets」を発見しました。これらの空間分布および速度構造を解析した結果、Petit–BulletsはBulletと共通の起源を持つと考えられ、単一の天体ではなく、複数の点状重力源が集団として分子雲に突入した可能性が示されました。
本研究は、ブラックホールを含む可能性のある高速天体集団と分子雲との相互作用を高分解能で捉えた初めての観測例です。銀河内に潜む見えない天体集団の探索に新たな手法を提案するとともに、ブラックホールの分布や銀河進化の理解に重要な示唆を与えるものです。
本研究成果は、2月23日発行の米国の天体物理学専門誌『The Astrophysical Journal Letters』に掲載されました。