2026年8月20日から22日にかけて、慶應義塾大学鶴岡タウンキャンパス(山形県鶴岡市)において、塾生向けアントレプレナーシップ涵養プログラム(J-PEAKS支援事業)である「鶴岡タウンキャンパス合同リトリート」を開催しました。
【背景と趣旨:異分野融合とアントレプレナーシップ】
慶應義塾大学先端生命科学研究所(IAB) では広範囲の専⾨家が集結し、異分野融合研究が推進され、複数のベンチャーを輩出してきました 。一方、薬学研究科でも優れた創薬シーズが育成されているものの、他キャンパスとの交流は限定的でした。そこで、2019 年度より隔年で、薬学研究科の学⽣が鶴岡タウンキャンパスを訪問して、先端⽣命科学研究所に所属する政策・メディア研究科の学⽣やスタートアップ企業の経営者と交流する合同リトリートを開催し、 博士進学やベンチャー就職などの確かな成果を上げてきました。 5回目の開催となる2026年度はJ-PEAKSの支援を受け、対象を理工学部・理工学研究科や医学部にも拡大して分野の枠組みを大きく広げ、薬学部・薬学研究科からは学生17名、教職員5名が参加し、多様なメンバーが交流を行いました。
本プログラムを通じて、互いの知的好奇⼼を刺激し、既存の学問分野の垣根を越えた融合研究の芽を育み、セレンディピティ創出の基盤形成を促します。さらにアントレプレナーシップを養うことで未来を先導する⼈材の育成を⽬指します。
【1日目:8月20日】ピッチトークとポスターセッション
先端生命科学研究所以外の参加者は空路で庄内空港を経由し、昼過ぎに鶴岡タウンキャンパスに到着しました。ほぼ全員が初対面ということもあり、まずは自己紹介を兼ねた「3分間ピッチトーク」と「ポスターセッション」が行われました。学生たちは自身の研究テーマから個性あふれる人生史までユーモアを交えて発表し、セッションが終わる頃には一気に打ち解けた様子が見られました。
夕方からは、IAB所長の荒川和晴教授による特別講演「知的産業による地方創生」が開催されました。短期的な成果にとどまらず、地域に知の生態系を根付かせる「花よりも根を養う」姿勢について語られ、参加者は一様に聞き入っていました。その後、最終日に行われる「仮想ベンチャープレゼン」の班分けが発表されました。
【2日目:8月21日】起業の最前線と個別ラボ見学
午前中は、鶴岡発ベンチャーの経営者や教員ら4名による招待講演が行われました。午後は、講演者を交えたパネルディスカッション「多様なキャリアパスについて考える」が開催され、仕事だけでなく人生設計やキャリア形成について本音の議論が交わされました。
ディスカッション終了後、研究所見学ツアーや個別ラボ訪問に参加し、最先端の現場を視察しました。夕方からはグループワークを重ね、夜は全参加者が集まり賑やかな懇親会が催され、遅くまで議論が交わされました。
【3日目:8月22日】仮想ベンチャープレゼンテーション
最終日は、リトリートのハイライトである「仮想ベンチャープレゼンテーション:鶴岡タウンキャンパス10番目のベンチャーを目指せ!」の報告会が行われました。医学、薬学、理工学、政策・メディア等の多様な知識を融合した8つのグループが、それぞれ社会課題の解決に向けたビジネスプランを惜しみなく披露しました。審査員を務めたベンチャー経営者や教員からは、発表に対し高い評価と鋭くも温かいフィードバックが寄せられました。
リトリート終了後のアンケートでは、学生全員が「大変充実していた」と回答しており、本リトリートに対する⾼い満⾜度が⽰されました。また、他キャンパスからの参加者にとっては、鶴岡という地域や、そこに形成された社会実装クラスターに触れる貴重な機会にもなりました。こうした経験は、異分野交流を促進するとともに、研究成果の社会実装やアントレプレナーシップに対する意識の醸成にもつながったものと考えられます。
異なる専門分野の英知が混ざり合う本プログラムは、今後も改善を重ねながら、異分野融合研究の発芽とアントレプレナーシップ醸成のために継続して開催される予定です。