慶應義塾

第36回慶應義塾図書館貴重書展示会「Slow Reading (ゆっくり読む) -中世・ルネサンスの書物が語る身体と健康-」開催

公開日:2026.10.23
広報室

慶應義塾図書館は、丸善雄松堂株式会社の協賛のもと10月7日から10月13日までの7日間にわたり、丸善・丸の内本店4階ギャラリーにて「第36回慶應義塾図書館貴重書展示会 Slow Reading(ゆっくり読む) -中世・ルネサンスの書物が語る身体と健康-」を開催しました。

毎回多くの来場者を魅了してきた本展示会は、今回で36回を迎え、3年ぶりの開催となりました。会場では同館が誇る15世紀から17世紀にかけての貴重書が多数公開され、7日間で延べ1,550名を超える多くの来場者で賑わいました。さらに今回は、学生によるInstagramでの広報やYouTubeでの解説動画の公開、展示会場におけるプロジェクションマッピングなど、文学部、大学院文学研究科の学生主体の新しい試みが複数行われ、慶應義塾の「半学半教」実践の場にもなりました。

展示会では、中世・ルネサンス期ヨーロッパの貴重書に刻まれた「宇宙と身体」「自然界と人間社会」が調和・照応し合う重層的な世界観に着目。当時の人々が天体の運行から身体の健康、薬草の性質、国家や共同体の安定に至るまでを一つの秩序として捉え、図像や書物に刻み込んだ知的資産を、科学・医学・文学・博物誌など多角的なアプローチで紹介しました。また、本年はイングランドで印刷が始まって550年という節目の年にあたります。これに合わせ、英国初の印刷業者ウィリアム・キャクストンやその次世代の出版文化を代表する作品もあわせて展示され、「ゆっくり読む(Slow Reading)」という営みを通じて、情報の海に生きる現代の人々に「調和としての健康」を深く見つめ直す機会を提供しました。

会期中には展示内容をより深く楽しめるよう、監修者によるギャラリートークや研究者による講演会が開催されました。10月9日、12日には展示会の監修を務めた文学部の徳永聡子教授がギャラリートークを担当。ハーバード大学で始まった、1つの絵を時間をかけて丁寧に観察することで世界の見え方が変わる”Slow Looking”という取り組みから着想を得た”Slow Reading”の醍醐味や、展示書物の背景にある中世ヨーロッパの思想を分かりやすく解説し、参加者が熱心に耳を傾けました。10月10日に開催した井出新名誉教授の講演会には会場を埋め尽くす90名以上の参加があり、ロバート・フラッドの壮大な宇宙観・世界観とシェイクスピアの意外な結びつきへの理解を深めました。10月12日には理工学部の池田真弓准教授が登壇。中世・ルネサンス期における薬草事典の役割や挿絵の変遷について、現在の事典との比較も交えた解説が展開されました。

会場入り口の様子
会場の様子
会場の様子(二次元コードから作品解説にアクセスする来場者)
貴重書の挿絵から飛び出したイメージのプロジェクションマッピング
『健康の園』に描かれたマンドラゴラの顔はめパネル
井出名誉教授による講演会
徳永教授によるギャラリートーク
池田准教授による講演会
徳永教授の解説に熱心に耳を傾ける伊藤塾長

撮影:森岡史仁、ほか