2024/10/16
2024年9月26日(木)、「慶應義塾大学再生医療リサーチセンター開所式」ならびに「殿町・羽田再生医療拠点キックオフシンポジウム」が、川崎市川崎区殿町の島津製作所 Shimadzu Tokyo Innovation Plaza内で開催されました。このセンターは、再生医療や疾患治療・予防に関する研究の進展と、それに必要な人材育成を目指す目的で設立され、国際的な研究拠点「キングスカイフロント」に位置しています。これにより、再生医療分野あるいは創薬分野のさらなる発展が期待されています。
■再生医療リサーチセンターHP:慶應義塾大学 再生医療リサーチセンター
慶應義塾大学再生医療リサーチセンター開所式
開所式には、慶應義塾大学再生医療リサーチセンター長の岡野栄之教授をはじめとする慶應義塾関係者とともに、産業界、アカデミア、政界、行政などあらゆる方面から多くの著名な来賓にご出席いただきました。
はじめに慶應義塾大学の伊藤公平塾長による主催者挨拶を皮切りに、藤田医科大学の星長清隆理事長による特別挨拶が行われ、当センターと藤田医科大学との連携体制や再生医療の発展に向けた熱いメッセージが贈られました。その後、来賓からも祝辞が述べられました。まず、慶應義塾大学医学部卒で参議院議員の古川俊治氏が、慶應義塾大学が果たすべき再生医療におけるリーダーシップに期待を込めた祝辞を述べ、続いて神奈川県の黒岩祐治知事がビデオメッセージで、キングスカイフロントにおける産官学の連携の重要性について語りました。川崎市の福田紀彦市長は、川崎市が再生医療分野の国際的な拠点としてさらに発展していくことへの期待を表明しました。また、政府機関からも多くの祝辞が寄せられました。経済産業省商務情報政策局生物科学産業課の下田裕和課長は、再生医療産業の成長における公的支援の重要性を強調し、文部科学省研究振興局ライフサイエンス課の釜井宏行課長は、基礎研究と臨床応用を結びつけるための研究支援を継続する意向を示しました。さらに、厚生労働省医薬局医療機器審査管理の高江慎一課長からは、再生医療の社会実装を進めるための法的整備や制度的支援に関する祝辞が述べられました。
民間からは、再生医療をリードするHeartseed株式会社代表取締役の福田恵一社長(慶應義塾大学医学部循環器内科・名誉教授)も登壇し、産業界からの視点で再生医療の未来に期待を寄せたコメントがありました。
岡野栄之センター長による活動紹介では、再生医療リサーチセンターが果たすべき使命、センターにおける主要な研究テーマ(脊髄損傷をはじめとした細胞再生治療、筋萎縮性側索硬化症やアルツハイマー病等に対するiPS細胞創薬、あるいは次世代小型霊長類モデルであるコモンマーモセットを対象とした研究)について詳しく説明されました。岡野氏は、米国ボストンのライフサイエンス拠点であるケンダル・スクエアの例を挙げつつ、再生医療の実用化には持続可能なエコシステムの構築と人材育成が不可欠であると述べました。また、次世代を担う研究者の育成に力を入れ、産学官の連携を深めることで、世界に通用する先端研究をこの拠点で展開していくと語りました。
閉会の辞では、慶應義塾大学常任理事/殿町先端研究教育連携スクエア長の天谷雅行教授が、慶應義塾が参画する川崎市殿町・大田区羽田エリアを中心とした殿町・羽田再生医療拠点中核として、世界に通用する産業基盤作りと最先端研究に貢献することが示されました。
■殿町・羽田再生医療拠点(英語名称:CREAM TONOHANE, Cluster for Regenerative Medicine in Tonomachi Haneda)
神奈川県川崎市川崎区殿町地区および東京都大田区羽田地区を中心に、再生医療・細胞治療の実用化および世界展開を加速するためのプラットフォームとして形成されました。東日本における再生医療のハブとして、様々な大学、企業、公的研究機関が集積し、研究開発を推進することを目的としています。また、本拠点は経済産業省「令和4年度第二次補正予算『再生・細胞医療・遺伝子治療の社会実装に向けた環境整備事業費補助金』」に間接補助事業者として採択され、慶應義塾大学病院他から提供される細胞をもとに、殿町・羽田の研究機関が品質分析と規格化を行ない、科学的根拠に基づく細胞品質評価基準を確立し、それをもとに再生医療製品用の細胞を作製し、最終的に藤田医科大学・羽田クリニックならびに慶應義塾大学病院で再生医療等を提供することを目指しています。本拠点における運営の円滑化・効率化のため、殿町における事務局を慶應義塾大学殿町タウンキャンパス内に、また羽田地区における事務局を藤田医科大学東京先端医療研究センター内に設置しました。
殿町・羽田再生医療拠点キックオフシンポジウム
開所式に続いて行われたシンポジウムでは、本拠点企画部門長である藤田医科大学橋渡し研究支援人材統合教育・育成センター・教授の八代嘉美氏が開会の辞を述べ、ファシリテーターを務めました。本拠点運営委員会議長である慶應義塾大学医学部整形外科学・教授の中村雅也氏が拠点の取り組みや目標を紹介しました。また、株式会社ビジョンケア代表取締役社長の高橋政代氏をはじめ、多くの方々から応援メッセージをいただき、日本再生医療の発展を目指す意志が強調されました。
記念講演は、下記4名が行いました。
講演者 | テーマ |
|---|---|
岡野栄之氏 慶應義塾大学再生医療リサーチセンター長 | 「中枢神経系の再生医療と創薬研究」 |
榛村重人氏 藤田医科大学東京先端医療センター・羽田クリニック院長 兼 藤田医科大学医学部臨床再生医学・主任教授 | 「藤田医科大学羽田クリニックの目指すところ」 |
片岡一則氏 | 「ナノテクノロジーで創る体内病院 |
野村龍太氏 | 「UHF-MRI: Application to humanized experimental platform」 |
パネルディスカッションには、様々な業界から下記6名が出席しました。再生医療の産業化に向けた経済産業省の取り組みや本拠点への期待について、フロアからも多くの質問が寄せられ、闊達な議論が交わされました。
・国立医薬品食品衛生研究所 再生・細胞医療製品部部長
安田智 氏(ファシリテーター)
・経済産業省商務情報政策局商務・サービスグループ生物化学産業課・課長代理
幸寺玲奈 氏
・株式会社サイト・ファクト代表取締役社長
川真田伸 氏
・神奈川県産業技術総合研究所KISTEC 次世代ライフサイエンス技術開発プロジェクト・非常勤研究員
河合純 氏
・東京工業大学生命理工学院・准教授
相澤康則 氏
・一般社団法人RINK・代表理事
原田憲一 氏
開所式終了後にはレセプションが開催され、神奈川県知事の黒岩祐治氏、中外製薬株式会社・名誉会長の永山治氏そして一般財団法人・国際医学情報センター・理事長の戸山芳昭氏より挨拶が行われました。シンポジウム登壇者をはじめ、産業界、アカデミア、政界など多方面から160名以上の方より出席いただき、本拠点の今後の発展について活発な意見交換が行われました。
撮影:竹松 明季