慶應義塾

1: In vivo nanoscopic landscape of neurexin ligands underlying anterograde synapse specification

今月のサイエンス - 2022年09月

Kazuya Nozawa, Taku Sogabe, Ayumi Hayashi, Junko Motohashi, Eriko Miura, Itaru Arai, Michisuke Yuzaki

左から柚﨑(責任著者)、野澤(筆頭著者)、曽我部(医学部5年)

脳の働きを司る神経回路網は、さまざまな分子がシナプスを作り、神経細胞同士をつなぐことでできています。しかし、それらの分子は、シナプスの中で数百nmの領域に密集しているため、従来の光学顕微鏡の分解能(約200 nm)ではその詳細な分布は観察できません。そこで今回、顕微鏡の性能を向上させる代わりに、標本そのものを約1000倍の体積に膨張させて分解能を上げる技術Expansion microscopy (ExM)を改良し、マウス神経回路網において興奮性シナプスをつなぐ分子群の構造や相互関係を初めて鮮明に観察することに成功しました。さらに、この技術を用いて、ニューレキシンやその結合分子群などのシナプス分子が、シナプス内で数十nmの「ナノドメイン」を単位として相互作用し、脳内でそれぞれに多様な個性を持つシナプスの機能を形作る可能性を見出しました。今後この技術によって、神経回路の基盤であるシナプスを制御する分子機構への理解がさらに進むと期待されます。今回の成果は、野澤和弥君の博士学位論文であり、研究の鍵となったExMの改良には、医学部学生である曽我部拓君も大きく貢献しました。

(生理学教室 柚﨑通介 64相当)

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その他の掲載論文

1: Discovery of CRBN as a target of thalidomide: a breakthrough for progress in the development of protein degraders.

Chemical Society Reviews.

2022;51(15):6234-6250.

Junichi Yamamoto, Takumi Ito, Yuki Yamaguchia, Hiroshi Handa