慶應義塾

1:RUNX-CBFβ-driven enhancer directs the Irf8 dose-dependent lineage choice between DCs and monocytes.

今月のサイエンス - 2021年04月

Nat Immunol.

2021 Mar;22(3):301-311. doi: 10.1038/s41590-021-00871-y.

Murakami K, Sasaki H, Nishiyama A, Kurotaki D, Kawase W, Ban T, Nakabayashi J, Kanzaki S, Sekita Y, Nakajima H, Ozato K, Kimura T, Tamura T.

左から、血液内科 村上紘一(筆頭著者)、横浜市立大学医学部 中島秀明(共同研究者)

単球と樹状細胞は共通の前駆細胞から分化しますが、この運命決定にはInterferon regulatory factor 8 (IRF8)と呼ばれる転写因子が重要です。しかしIRF8がどのような仕組みで分化を制御するかは不明でした。著者らは詳細なエピゲノム解析からIrf8遺伝子の発現制御に重要な新規エンハンサーを同定、この領域を欠損したマウスの解析から、この領域を含む複数のエンハンサーがIrf8遺伝子の発現制御を行っていることを明らかにしました。さらにこの領域はRUNX-CBFbという転写因子が制御しており、IRF8発現量の違いが骨髄系細胞の分化運命を決定していることを見出しました。筆頭著者の村上紘一君(血液内科 90回)は5年前に私の研究室で研究を始め、造血幹細胞の機能制御に関する研究(その他の掲載論文)をCell Reports誌に発表した後、免疫学での本研究をNature Immunology誌に発表するという快挙を成し遂げました。今後の発展に期待します。

(横浜市立大学医学部 血液・免疫・感染症内科学 中島秀明 66回)

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2: Host-microbe cross-talk governs amino acid chirality to regulate survival and differentiation of B cells.

Science Advances

03 Mar 2021: Vol. 7, no. 10, eabd6480, DOI: 10.1126/sciadv.abd6480

M Suzuki, T Sujino, S Chiba, Y Harada, M Goto, R Takahashi, M Mita, K Hamase, T Kanai, M Ito, M K Waldor, M Yasui, J Sasabe

左から、薬理学 安井正人、鈴木将貴(筆頭著者)、笹部潤平(責任著者)

アミノ酸の多くはキラリティがあり、光学異性体(D-,L-型)が存在する。L-アミノ酸を選択的に利用する他の生物とは異なり、真正細菌は様々なL-アミノ酸をD-型に変換し、細胞壁の材料として利用している。しかし、真正細菌に特徴的な代謝物とも言えるD-アミノ酸が、哺乳類の免疫においてどのような役割を果たしているのか未解明であった。本研究では、哺乳類の腸管に発現する酵素が、共生細菌に由来するD-アミノ酸を特異的に認識して代謝することにより、腸管のBリンパ球の運命決定を左右し、免疫グロブリンAの産生を調節していることを明らかにした。このようなアミノ酸のキラリティによる免疫調節は、真正細菌との共生関係の維持に役立っていると考えられ、その乱れに起因する疾患の新たな治療標的となりうることが期待される。さらに、生命によるアミノ酸のキラル選択が、生存競争に及ぼす進化的な意義の解明に役立つであろう。

(薬理学教室 安井正人 68回、笹部潤平 81回)

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その他の掲載論文

Kohei Homma, Eriko Toda, Hideto Osada, Norihiro Nagai, Takumi Era, Kazuo Tsubota, Hideyuki Okano, Yoko Ozawa*

2: OGT Regulates Hematopoietic Stem Cell Maintenance via PINK1-Dependent Mitophagy.

その他の掲載論文

Murakami K, Kurotaki D, Kawase W, Soma S, Fukuchi Y, Kunimoto H, Yoshimi R, Koide S, Oshima M, Hishiki T, Hayakawa N, Matsuura T, Oda M, Yanagisawa K, Kobayashi H, Haraguchi M, Atobe Y, Funakoshi K, Iwama A, Takubo K, Okamoto S, Tamura T, Nakajima H.