今月のサイエンス - 2019年11月
EMBO JOURNAL,
38 (17):10.15252/embj.2019102870 SEP 2 2019
Murano, K; Iwasaki, YW; Ishizu, H; Mashiko, A; Shibuya, A; Kondo, S; Adachi, S; Suzuki, S; Saito, K; Natsume, T; Siomi, MC; Siomi, H
2: Broad Heterochromatic Domains Open in Gonocyte Development Prior to De Novo DNA Methylation
Dev Cell.
2019 Oct 7;51(1):21-34.e5. doi: 10.1016
Yamanaka S, Nishihara H, Toh H, Eijy Nagai LA, Hashimoto K, Park SJ, Shibuya A, Suzuki AM, Tanaka Y, Nakai K, Carninci P, Sasaki H, Siomi H
分子生物学教室では、トランスポゾンのエピジェネティック制御に関する論文を二報発表した。トランスポゾンを選択的に抑制する仕組みとして、生殖組織で発現するPIWIタンパク質と小分子非コードRNAであるpiRNAが知られている。本論文(論文1)では、卵巣特異的に発現するRNA核外輸送タンパク質ファミリー因子Nxf2が、実はそのドメイン構造から予想される機能である核外輸送ではなく、piRNAによるトランスポゾンの転写抑制に寄与することを見出した。さらに、Piwi-piRNAはNxf2を介して標的トランスポゾンの転写を抑制した後に、ヒストン修飾等により抑制状態を維持するという新たな2-ステップ制御モデルを提唱した(図1)。また我々は上記の報告に加えて、マウス胎児期の雄性生殖細胞(ゴノサイト)を用いて、普段は発現抑制を受けているトランスポゾンが一過的に活性化することを見出した(論文2)。ハエとは対照的に、マウスゲノムはDNAメチル化を受ける。ゴノサイトではメチロームが形成されるが、その過程には不明な点が多い。そこで我々は、ゴノサイトクロマチンの解析を行い、DNAメチル化に先立ってクロマチンが弛緩した構造を取ることを発見し、最終的に、トランスポゾンがその構造変化およびメチローム形成の起点となるというモデルを提唱した(図2)。
(分子生物学教室 塩見春彦 61相当)