今月のサイエンス - 2017年06月
BLOOD
129 (14):1958-1968; 10.1182/blood-2016-07-726216 APR 6 2017
Ishizawa, Jo; Sugihara, Eiji; Kuninaka, Shinji; Mogushi, Kaoru; Kojima, Kensuke; Benton, Christopher B.; Zhao, Ran; Chachad, Dhruv; Hashimoto, Norisato; Jacamo, Rodrigo O.; Qiu, Yihua; Yoo, Suk Young; Okamoto, Shinichiro; Andreeff, Michael; Kornblau, Steven M.; Saya, Hideyuki
細胞周期やDNA修復の異常は多くのがんで見られるが、それはがんの発生や進展にどのような影響を与えるのか?そんな基本的で重要な疑問に答えるため、私達はMDアンダーソンがんセンターと7年越しの共同研究を行い、極めて興味深い結果をこのたび発表することが出来ました。まず、成人B細胞性急性リンパ性白血病(B-ALL)のモデルマウスを用い、細胞周期やDNA修復に携わる分子FZR1を欠失させたところ、FZR1が正常な場合に比して、抗癌剤やDNA損傷ストレスに対するB-ALL細胞の感受性が増し、その結果B-ALLマウスの生命予後が改善しました。それを裏付けるように、約200症例のB-ALL患者さんから得られたタンパク質検体と臨床データの解析により、FZR1が少ないほど初期治療に反応しやすく、無病状態を長期に保てる傾向にあることが判明しました。しかし一方で重要なことに、長期のFZR1欠失は逆にB-ALLの悪性度を高める危険性を伴うことも分かりました。本研究は、抗癌剤感受性を予測できる因子の可能性を提示したと同時に、近年がん領域での開発が有望視されているDNA修復分子阻害薬の意義とリスクを提言しています。
(MDアンダーソンがんセンター白血病科 石澤 丈 83回、
先端医科学研究所 遺伝子制御研究部門 佐谷秀行 60相当)
その他の掲載論文
1: Splicing variation of Long-IRBIT determines the target selectivity of IRBIT family proteins
PNAS
114 (15):3921-3926; 10.1073/pnas.1618514114 APR 11 2017
Kawaai, Katsuhiro; Ando, Hideaki; Satoh, Nobuhiko; Yamada, Hideomi; Ogawa, Naoko; Hirose, Matsumi; Mizutani, Akihiro; Bonneau, Benjamin; Seki, George; Mikoshiba, Katsuhiko