今月のサイエンス - 2015年12月
MOLECULAR CELL
59 (4):553-563; 10.1016/j.molcel.2015.06.024 AUG 20 2015
Sato Kaoru, Iwasaki Yuka W., Shibuya Aoi, Carninci Piero, Tsuchizawa Yuuta, Ishizu Hirotsugu, Siomi Mikiko C., Siomi Haruhiko
トランスポゾン(転移因子)は、癌をはじめとした様々な疾患において、しばしばゲノム上の新たな位置への挿入が確認されています。遺伝子領域にトランスポゾンが挿入されると、その遺伝子機能の阻害や変化に繋がることになります。これを防ぐ機構として、PIWIタンパク質とPIWI-interacting RNA (piRNA)と呼ばれる小分子RNAの働きが注目されています。トランスポゾンの抑制には、(そのmRNAに対して)アンチセンスpiRNAが効率的にpiRNAを産生されることが鍵となります。今回の研究では、Krimperと呼ばれるタンパク質がこのアンチセンスpiRNAの産生に重要な役割を果たすことを明らかにしました。具体的には、Krimperは特定のPIWIタンパク質と相互作用することで、そのPIWIタンパク質に結合するpiRNA集団中にストランドバイアス(2本鎖のどちらか一方の鎖に由来するpiRNA)を生み出すことに寄与します。これにより、効率的なアンチセンスpiRNAの産生を可能にしているという新たなモデルを提唱しました。
(分子生物学教室教授 塩見春彦 61相当)
センスpiRNAはAGO3(PIWIタンパク質)と結合し、piRNA前駆体を切断することで、アンチセンスpiRNAを産生します。また、アンチセンスpiRNAはAub(PIWIタンパク質)と結合し、トランスポゾンを切断することで、その発現を抑制すると同時に、センスpiRNAを産生します。Krimperは、AGO3とセンスpiRNAとの結合を促進しつつ、アンチセンスpiRNAとの結合を阻害することで、両者の適切な振り分けに寄与します。
その他の掲載論文
1: Aspp1 Preserves Hematopoietic Stem Cell Pool Integrity and Prevents Malignant Transformation.
CELL STEM CELL
17 (1):23-34; 10.1016/j.stem.2015.05.013 JUL 2 2015
Yamashita Masayuki, Nitta Eriko, Suda Toshio