慶應義塾

1: Reelin transiently promotes N-cadherin-dependent neuronal adhesion during mouse cortical development.

今月のサイエンス - 2017年04月

Proc Natl Acad Sci U S A.

2017 Feb 21;114(8):2048-2053. doi: 10.1073/pnas.1615215114.

Yuki Matsunaga, Mariko Noda, Hideki Murakawa, Kanehiro Hayashi, Arata Nagasaka, Seika Inoue,Takaki Miyata, Takashi Miura, Ken-ichiro Kubo, and Kazunori Nakajima

筆頭著者の松永(左)と仲嶋(右)

大脳皮質の神経細胞は脳室面近くで誕生し、脳表面側に移動して6層構造を作ります。この構造が正しく作られるためにはリーリンと呼ばれる分泌タンパク質が必須であり、リーリンが欠損すると層構造が大きく乱れます。しかしながら、リーリンが神経細胞に対してどのように作用して層形成を制御するのかは、未だ良くわかっていません。

我々は今回の研究において、リーリンが神経細胞同士のN-カドヘリン依存的な接着を促進して神経細胞を凝集させることを発見しました。その凝集の様式について数理モデルを作って検討した結果、リーリンによる細胞接着の増強は持続的ではなく、一過的であることが予想されました。そこで、原子間力顕微鏡を用いて生きた細胞で調べたところ、確かに接着力の増強は一過的にのみ生じることがわかりました。さらに、発生期のマウス胎児の脳で、一度強まった細胞接着が強いまま弱くならない条件にしたところ、層構造が乱れることを見出しました。以上より、リーリンは移動する神経細胞間のN-カドヘリン依存的な接着を一過的に強めることを通して、大脳皮質層構造を正しく形成させることがわかりました。リーリンは統合失調症など様々な精神神経疾患との関連が知られており、これら疾患の病態と関係している可能性も考えられます。

(解剖学教室 松永友貴、仲嶋一範 67回)

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その他の掲載論文

1: Long-Term Administration of Nicotinamide Mononucleotide Mitigates Age-Associated Physiological Decline in Mice

Cell Metabolism

24 (6):795-806; 10.1016/j.cmet.2016.09.013 DEC 13 2016

Mills Kathryn F., Yoshida Shohei, Stein Liana R., Grozio Alessia, Kubota Shunsuke, Sasaki Yo, Redpath Philip, Migaud Marie E., Apte Rajendra S., Uchida Koji, Yoshino Jun, Imai Shin-ichiro

2: Contribution of propriospinal neurons to recovery of hand dexterity after corticospinal tract lesions in monkeys

Proc Natl Acad Sci USA.

114 (3):604-609; 10.1073/pnas.1610787114 JAN 17 2017

Tohyama Takamichi, Kinoshita Masaharu, Kobayashi Kenta, Isa Kaoru, Watanabe Dai, Kobayashi Kazuto, Liu Meigen, Isa Tadashi