慶應義塾

1: Generation of a Nonhuman Primate Model of Severe Combined Immunodeficiency Using Highly Efficient Genome Editing.

今月のサイエンス - 2016年09月

Cell Stem Cell.

2016 Jul 7;19(1):127-38. doi: 10.101.

Kenya Sato, Ryo Oiwa, Wakako Kumita, Rachel Henry, Tetsushi Sakuma, Ryoji Ito, Ryoko Nozu, Takashi Inoue, Ikumi Katano, Kengo Sato, Norio Okahara, Junko Okahara, Yoshihisa Shimizu, Masafumi Yamamoto, Kisaburo Hanazawa, Takao Kawakami, Yoshie Kametani, Ryuji Suzuki, Takeshi Takahashi, Edward J. Weinstein, Takashi Yamamoto, Yasubumi Sakakibara, Sonoko Habu, Jun-ichi Hata, Hideyuki Okano,* and Erika Sasaki

左から、佐々木えりか、岡野栄之、佐藤賢哉(筆頭著者)

実験動物中央研究所マーモセット研究部の佐々木えりか部長(慶應義塾大学先導研究センター特任教授兼務)と慶應義塾大学医学部生理学教室の岡野栄之教授の共同研究グループは、ゲノム編集技術を用いて、世界に先駆けて目的の形質を示す霊長類のモデル動物の作製に成功し、Cell Stem Cell誌に論文発表しました。本研究グループは2009年に小型で繁殖力の高い霊長類であるコモンマーモセットを用いて、世界初のトランスジェニックマーモセットの作製に成功し、Nature誌に論文発表し、ヒト疾患モデル動物の開発・研究を大きく進展させてきましたが、多くのヒト疾患モデルマウスが作製されてきた標的遺伝子ノックアウト技術はマーモセットを含む霊長類には適用できませんでした。一方、近年開発されたゲノム編集技術により、様々な動物種で受精卵の遺伝子を直接改変できるようになり、本研究によって霊長類であるマーモセットでもゲノム編集を用いてヒト病態モデルの作成が可能である事を示しました。今回の研究では、ゲノム編集によりマーモセット受精卵のIL2RG遺伝子の機能を失活させて先天性免疫不全マーモセットを作成しました。今後、免疫不全マーモセットはヒト免疫不全症の病態解明ならびに治療法開発モデルとして、また、ヒトiPS細胞を用いた様々な臓器再生医療における新たな治療法の有効性・安全性の検証にも貢献すると期待されます。

(生理学教室教授 岡野栄之 生62回)

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2: The microbiota in adaptive immune homeostasis and disease.

Nature.

535 (7610):75-84 10.1038/nature18848 JUL 7 2016

Honda Kenya, Littman Dan R.

著者(本田賢也)

今回、Nature誌が「腸内細菌叢(マイクロバイオータ)」について特集を組みました。そこでは慶應医学賞を受賞したワシントン大学のJeffrey Gordon博士らを含む、6つのグループによる総説が掲載されました。本論文はその一つであり、ニューヨーク大学・Dan Littman博士とともに、特定の腸内細菌種がいかにしてT細胞・B細胞などの免疫細胞の分化や機能に影響を与え、宿主の免疫恒常性維持に貢献しているか、私たちの研究を含めて最新の知見を紹介しました。さらに、腸内細菌叢のバランス破綻が、いかにしてクローン病や潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患、関節リウマチ・多発性硬化症・I型糖尿病などの自己免疫疾患、アレルギー等の免疫疾患を引き起こすのか、その分子メカニズムを議論しました。加えて最近注目される、がんに対する免疫チェックポイント阻害療法の治療効果にも腸内細菌が影響を与えていることがわかってきているので、それらについても記述しています。急速に展開している腸内細菌と免疫の関係に関する研究を幅広くカバーするために、約半年をかけて多くの論文を読み、Littman博士と多くの議論を重ねました。免疫学以外の研究者、臨床医の方にも読んで頂ければ嬉しく思います。

(微生物学・免疫学教授 本田賢也 73相当)

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その他の掲載論文

1: Circulating Cell Death Biomarkers May Predict Survival in Human Lung Transplantation

AMERICAN JOURNAL OF RESPIRATORY AND CRITICAL CARE MEDICINE.

97-105, 10.1164/rccm.201510-2115OC JUL 1 2016

Hashimoto Kohei, Besla Rickvinder, Zamel Ricardo, Juvet Stephen, Kim Hyunhee, Azad Sassan, Waddell Thomas K., Cypel Marcelo, Liu Mingyao, Keshavjee Shaf