執筆者プロフィール

堤林 剣
法学部 政治学科教授(近代政治思想史)
堤林 剣
法学部 政治学科教授(近代政治思想史)
課題だらけの現代世界
当たり前なことをいいますが、世の中にはいろんな人がいます。身体的特徴や社会的境遇の違いはもちろんのこと、価値観やアイデンティティ、さらには政治観もさまざまです。時の政権を支持する人もいれば、批判する人もいます。政治に無関心な人もいます。でも不思議だとは思いませんか。なんでこんなにも多様な人間が国家のような共同体をつくって平和に暮らすことができるのでしょうか。 いや、世界に視野を広げれば、みんながみんな平和を享受しているわけではありません。紛争に巻き込まれている人、そうでなくても不正や貧困に喘いでいる人は依然としてたくさんいます。 さらには、地球上に住むすべての人間にかかわるグローバル・イシューもあります。地球温暖化を含む環境問題、エネルギー問題、食糧問題、パンデミック、などなど。これらは多かれ少なかれすべての人間、いや動物や植物にも、そして未来世代にも影響を及ぼします。 政治とは、このような問題と向き合いながら状況を少しでも改善し、みんなが平和に共存できる秩序を形成するための人間的営為だといえます。 しかし、言うは易く行うは難し。グローバル・イシューの解決どころか、昨今、先進諸国においても「デモクラシーの危機」とか「社会的分断」とか「貧富の拡大」などによって、現状維持すらままならない状況になってきています。 では、どうすればよいのでしょう。
政治学を学ぶことの意義
政治学を学べば、解決策が明らかになる--わけではありません。残念ながら、世の中そんなに甘くありません。ですが、政治学の学びを通じて、問題の所在を明らかにし、解決にむけた思考を鍛えることはできます。政治学には大別して実証的アプローチと規範的アプローチがあります。前者は、現実がどうなっているか、それをデータ分析や歴史研究を通じて明らかにしようとするものです。後者では、どのような目標を追求すべきか、なぜそれがみんなにとって正しいといえるか、といった当為の問題を扱います。そして両方を理解し、組み合わせることが重要となりますが、政治学科では個々の学生が両方について学ぶことができるよう、たくさんの授業を提供しています。
ともに、真剣に考えることの困難とそれ以上の充実感とを味わいましょう。