慶應義塾

尾台 俊亮

オダイ シュンスケ

文学部 自然科学部門 助教(有期)

連絡先

研究概要

酸素は好気性生物に不可欠な分子であり、生命機能を支える重要な役割を担っています。たとえば、ミトコンドリアにおける酸化的リン酸化ではエネルギー産生に利用されており、酸化反応の基質として利用されたり、活性酸素種の生成を介した細胞機能の調節にも関与しています。そのため、細胞内酸素濃度を測定し、その時空間的な変化を理解することは、生命現象の解明に不可欠です。 酸素濃度の測定には、電気化学センサーなどの物理センサーが古くから利用されてきました。しかし、この方法にはセンサーのサイズや侵襲性といった課題があります。一方、色素分子を用いた化学センサーは細胞内へ容易に導入でき、細胞機能への影響を最小限に抑えつつ、局所的な酸素環境を検出できます。中でもリン光色素は、励起状態が酸素によって消光される特性を持ち、リン光寿命や強度から酸素濃度を定量できるため、細胞内の微小な酸素濃度変化や勾配の検出が可能です。また光学的手法であることから、細胞集塊から細胞内小器官に至るまで、酸素分布を同時に観測できる点も大きな利点です。 このような特性を持つリン光色素とライブセルイメージングを組み合わせた測定手法により、時間的・空間的に連続した細胞内酸素濃度を測定することができます。これにより、代謝変化に伴う酸素消費の変化や、薬剤添加による細胞応答と連動した酸素濃度変動をリアルタイムで追跡することが可能になります。しかし、現在用いられているリン光色素には、定量性や長時間観察への対応といった点で、なお改良の余地が残されています。そこで分子設計の工夫により、細胞内の酸素濃度をより正確に、かつ長時間にわたって測定可能な色素の開発を進めています。

専門

ケミカルバイオロジー

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