武田 篤也
タケダ アツヤ
医学部 放射線科学(治療)教室 教授
研究概要
1.疾患に対する体幹部定位放射線治療の照射法開発 体幹部定位放射線治療は比較的小さな腫瘍に対してピンポイントに高い線量を短期間に照射する治療法である。各癌腫により放射線感受性が異なり、また周囲の正常組織に対する影響もさまざまである。そのため、それぞれの状況に応じた線量分布や線量処方方法の規定が望まれる。我々は、肺がんおよび肝細胞がんに対する最適な線量処方方法を提唱した(Oku Y et al. PRO 2012; 2: 46-53, Oku Y et al. PRO 2014; 4: e7-13)。また、局所制御率は、計画標的体積の辺縁線量よりも最大線量に相関すること、局所制御率が全生存率に相関することをそれぞれシステマティックレビューにて示した(Eriguchi T et al. Cancers (Basel). 2022; 14: 3815, Sanuki N et al. Radiother Oncol. 2023; 183: 109664)。オリゴメタスタシスの病巣に対する体幹部定位放射線治療も同様に追求していく。 2.各疾患に対する体幹部定位放射線治療のエビデンス構築 肺腫瘤にたいして、我々の提唱した線量処方方法を用いた体幹部定位放射線治療を安全であることを第1相試験にて検証した(Takeda A et al. J Radiat Res. 2014; 55: 988-95)。その後実臨床で用いて、原発性肺がんに対する体幹部定位放射線治療後、3年局所生存率:99.2%、3年全生存率:72.7%と良好な治療成績と安全性を示した(Tsurugai Y et al. J Radiat Res. 2019; 60: 364-370)。肝細胞がんにたいして、我々の提唱した線量にて、単施設第2相試験を行い、3年局所生存率:99.2%、3年全生存率:72.7%と良好な治療成績を報告した(Takeda A et al. Cancer. 2016; 122: 2041-9)。続いて、多施設共同第2相試験にて再現性を検証し、3年局所生存率:90%、3年全生存率:78%と良好な治療成績を示した(Kimura T et al. Hepatol Res. 2021; 51:461-471)。 各疾患に対する体幹部定位放射線治療が、標準治療と匹敵する治療成績を示せるかを検討している。肝細胞がんにおいてはRFAと体幹部定位放射線治療の治療成績の比較を傾向スコア分析、システマティックレビューにて行い、同等性を示した(Hara K et al. Hepatology. 2019; 69: 2533-2545, Eriguchi T et al. Hepatol Res. 2021; 51: 813-822)。体幹部定位放射線治療のエビデンスをさらに高め、その特徴を提示し、がん患者に治療選択肢の1つとして示していきたい。 3.共有意思決定支援の啓発 今日、科学的根拠に基づく医療が推奨されている。標準治療とは、現在利用できる最良の治療であることが示され、ある状態の一般的な患者さんに行われることが推奨される治療である。一方で、放射線治療を含め複数の治療選択肢が開発され、標準治療に匹敵する治療成績が報告されている。同時に患者さんそれぞれの価値観も多様化しており、生存率だけが治療法を決める理由ではないこと。患者さんが複数の治療法の特徴を理解し、選択できるように、それぞれの治療法の満足度を比較したり(Takeda A et al. J Thorac Dis 2019; 11: 2479-2489)、AI技術を活かして複数の治療法での治療効果予測を提示する足がかりの研究(Nemoto T et al. JCO Clin Cancer Inform. 2022; 6: e2100176)を行っている。今後は、共有意思決定支援を効率的な方法で行うことを模索していきたい。
専門
放射線治療
論文指導資格
医学研究科における論文指導資格
修士/博士