増井 翔
マスイ ショウ
薬学部 薬学科 助教
連絡先
研究概要
抗体医薬は昨今の悪性腫瘍や慢性炎症性疾患などの難病治療において不可欠な存在ですが、その体内動態に関する情報は不足しています。抗体医薬を用いた治療の最適化において、薬物動態やその変動因子を正確に理解し評価する必要があります。私は抗体医薬の薬物動態に関する以下の研究を実施しています。 【血中薬物濃度測定の臨床的有用性の検証】 抗体治療を続ける中で、一部の患者で治療効果の減弱(二次無効)が生じることがあります。この一因として血中薬物濃度の低下が報告されています。私たちは、インフリキシマブ投与を受ける関節リウマチ患者を対象に、実臨床での治療薬物濃度モニタリングの有用性を評価しました。その結果、血中薬物濃度の測定が実臨床での二次無効患者の識別や予測に有用である可能性が示されました。抗体医薬の血中濃度測定の臨床的意義について、質的・量的観点から精査して参ります。 【バイオトランスフォーメーションの評価】 抗体などのタンパク質医薬品が生体内で構造変化を受ける、バイオトランスフォーメーションと呼ばれる事例が報告されつつあります。構造変化により薬物の作用や体内動態が変化する可能性が懸念されます。私たちは、エタネルセプトのN末端2アミノ酸が関節リウマチ患者血中で切断されることを発見し、この切断反応におけるジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP-4)の寄与を明らかにしました。抗体医薬の薬物動態を正確に把握するため、未知のバイオトランスフォーメーションとその影響の解明に取り組んで参ります。
専門
臨床薬理学