慶應義塾

内田 裕之

ウチダ ヒロユキ

医学部 精神・神経科学教室 教授

連絡先

研究概要

精神医学の大きな課題は、疾患の病態生理がなお十分に解明されておらず、そのため診断も治療もいまだ発展途上にあることです。人間のこころや行動は、分子・細胞・神経回路・脳・個体・集団・社会といった複数の階層が重なり合って成り立っており、その理解には一つの視点だけでは不十分です。私は、こうした多層的な視点に立ち、精神疾患の病態解明と新たな治療法の開発に取り組んでいます。 ミクロの視点からは、PET、MRIなどを用いて精神神経機能を包括的に可視化し、脳内で何が起きているのかを明らかにすることで、精神疾患の病態生理解明と治療法開発を進めています。近年は、うつ病を含む複数の疾患に対する新たな治療選択肢として注目される精神展開剤(psychedelics、サイケデリックス)の研究にも力を注いでいます。精神展開剤がもたらす臨床症状の変化を、脳機能画像、神経生理学的指標、さらには言語や主観的体験の変化とあわせて多面的に評価することで、その治療メカニズムの解明と、安全で科学的な臨床応用の基盤づくりを目指しています。 一方で、個人と社会は魚と海のような関係にあります。海が澄んでいなければ魚が元気を失うように、人のこころの健康も、個人の内面だけでなく、それを取り巻く社会環境に大きく左右されます。そのためマクロの視点からは、集団・社会で得られた知見をこころの健康の増進に生かし、精神疾患をもつ方々のみならず、健常者も含めた幅広い対象のメンタルヘルス向上に取り組んでいます。 精神医学は、脳科学であると同時に、人間科学であり、社会の学問でもあります。私は、基礎から臨床、個人から社会へとつながる研究を通じて、こころの不調に苦しむ方々に新たな希望をもたらすとともに、誰もがより健やかに生きられる社会の実現に貢献したいと考えています。

専門

神経精神薬理学、脳画像

論文指導資格

医学研究科における論文指導資格

修士/博士

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