慶應義塾

大家 基嗣

オオヤ モトツグ

医学部 泌尿器科学教室 教授

研究概要

当教室は、幅広い泌尿器疾患を網羅し、有機的な連携によって、教室内での分野融合的な研究を推進しています。「1+3」構造と呼ぶ新しい体系を提唱しています(図1)。悪性疾患と良性疾患に大きく分け、良性疾患を3つの領域に集約させています。領域Iは腎臓・透析医学とし、腎移植を含みます。領域IIは内分泌代謝学と神経泌尿器科学とし、副腎疾患や前立腺肥大症、神経因性膀胱等を含みます。領域IIIは生殖医学、アンドロロジー、性機能障害(ED)とします。悪性疾患はa) 腎癌、b) 膀胱癌、c) 前立腺癌、d) 精巣腫瘍の4分野で構成します。すべての領域で基礎研究を推進し、連携によって手技を教え合い、専門が違う視点から新たなビジョンが生まれないかを常に考え、切磋琢磨しながら研究を推進しています。 最も力を注いでいるのはがん研究です。泌尿器がんである腎細胞癌、前立腺癌、膀胱癌の発がん・進展のメカニズムを解明し、分子標的治療の可能性について精力的に研究を行っています。がんのシグナル伝達系の解析、サイトカインの意義、血管新生の機序、低酸素応答、転移・浸潤機構の解明などを行っています。がん領域において現在最も分子標的薬の比重の高いのが、腎細胞癌です。これまでの成果のひとつとして、腎細胞癌において血管内皮誘導因子VEGFの誘導がhypoxia-inducible factor (HIF)に依存していることや、mTOR阻害薬の抗癌剤としての理論的根拠となるPI3K-Akt経路の活性化を初めて報告しました。 教室では独自に樹立した細胞株を含む泌尿器がんの細胞パネルを有しています。スクリーニングで得られた活性物質の細胞増殖抑制試験、細胞周期における影響、アポトーシスの誘導などをin vitroとin vitroの系で検索します。独自のマウスモデルを使用して、前臨床試験としての腫瘍増殖抑制あるいは転移抑制効果を検討しています。 また、腎細胞癌、前立腺癌、膀胱癌について各々500-1000名規模のデータベースを有しています。ターゲットとなる候補分子の発現を手術検体として摘出されたがん組織で調べることが可能です。病理学的因子や患者の生命予後との相関を検索し、実際の臨床での有効性が担保できるかどうか、候補薬剤の理論的根拠を構築しています(図2)。 領域Iでは腎移植の研究を行っています。ヒト樹状細胞の成熟抑制効果をNF- B阻害薬等を用いて検討しています。領域IIでは副腎腫瘍での酵素発現、前立腺肥大症の治療薬投与時の内分泌環境の変化についての研究を行っています。領域IIではEDをきたすラットモデルにおける薬物の効果や血管内皮細胞の変化についての研究を行っています。

専門

泌尿器がんの発生・進展のメカニズムの解明と新規治療法の開発

論文指導資格

医学研究科における論文指導資格

修士/博士

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