天谷 雅行
アマガイ マサユキ
医学部 皮膚科学教室 教授
研究概要
1.自己免疫疾患・天疱瘡の病態解明 我々は、自己免疫の病態解明を目指して、一貫した研究活動を展開している。cDNAクローニングにより天疱瘡抗原が表皮細胞接着因子であるデスモグレインであることを同定し(1991)、バキュロウイルス発現系を用いた組換えDsg1,3蛋白を作成し(1994)、天疱瘡の血清学的診断薬としてELISA 法を開発した(1997)。さらに、自己抗原欠損マウスのリンパ球移植による新規作成法にて天疱瘡モデルマウスを開発した(2000)。天疱瘡モデルマウスから、Dsg3反応性T細胞を単離し、TCRトランスジェニックマウスを作成し、Dsg3反応性T細胞に対する免疫寛容機構の解明、自己反応性T細胞による皮膚疾患の病態解明に関する研究を行っている(図1)。免疫臓器としての皮膚の機能を明らかにすることにより、新たな免疫療法が開発されることが期待される。 2.皮膚バリア障害によるアトピー性疾患の発症機序の解明 皮膚バリア機能障害の観点から、アレルギーマーチを起こすアトピー性疾患の発症に関する病態解明を行い、皮膚バリア機能補正によるアレルギー疾患発症抑制・予防への分子基盤を確立することを目指している。フィラグリン欠損に伴う角層バリア機能障害に起因するアレルギーマーチ発症機序を解明するとともに、フィラグリン以外のアトピー性疾患発症新規因子の同定を試みている。現在、フィラグリンノックアウトマウス(世界初)を用いて、経皮免疫によるアレルギーマーチを呈するモデルマウスを作成し、その免疫学的機序を解明している。表皮には角層バリアの他にタイトジャンクション(TJ)バリアが存在し(図2)、抗原提示細胞であるランゲルハンス細胞はTJバリアを壊すことなく細胞突起を外に突き出し、外界の抗原、異物を取り込むことを発見している。 3.ヒト毛嚢の再生技術の確立、難治性脱毛症の病態解明と治療法の確立 我々はヒト毛嚢バルジ幹細胞の表面マーカーを同定し、それを用いてヒトバルジ細胞を生きたまま分離し培養する技術を報告した(図3)。毛嚢発生・自己再生の制御を司る毛乳頭細胞については、生物学的特性を維持する培養方法を開発した。またマウス、イヌ毛嚢細胞を用いてin vivoの毛嚢再構成系あるいは3次元培養系を確立している。
専門
自己免疫、アレルギー、皮膚バリア、皮膚免疫
論文指導資格
医学研究科における論文指導資格
修士/博士