岡村 智教
オカムラ トモノリ
医学部 衛生学公衆衛生学教室 教授
健康マネジメント研究科 研究科委員
研究概要
主たる研究領域は、脳・心血管疾患(心筋梗塞や脳卒中)を中心とした生活習慣病の予防であり、①発症要因の解明、②社会の中における予防手段の確立を目的としている。 ①として地域住民等のコホート研究を通じて、どのような曝露要因(バイオマーカー、生活習慣、社会経済的因子、治療状況)が将来の脳・心血管疾患等の発症原因となるかを究明しつつある。当教室が主体となって運営しているコホートだけでなく、全国の17コホートの共同研究に基づいて260万人年のデータを集積し、単独のコホートでは不可能な細分化された危険因子の組み合わせと脳・心血管疾患の関連についての解析等を実施している(Evidence for Cardiovascular Prevention from Observational Cohorts in Japan, EPOCH-JAPAN研究)。また国民健康・栄養調査の受検者を追跡し、栄養素や食品摂取状況と死因との関連を検証するコホート研究も進行中である。さらに発症要因の解明の一環として国際共同研究も重要である。同じ血圧や血清コレステロールレベルでもアメリカ人の心筋梗塞発症率は日本人の数倍高いことがわかっており、その原因を探求することで心筋梗塞の発症要因を明らかにすることができる。現在、Imperial College, London(英国)やUniversity of Pittsburgh(米国)と新しい危険因子の探索やメタボロームの比較研究を開始している。 ②は多岐な領域を含んでいるが、基本的には社会全体を健康な方向にシフトさせるためにはどうすればいいかを検証している。現在、厚生労働省の研究班として、特定健診の検査項目の見直しに関する研究、特定健診の対象外となっている非肥満ハイリスク者に対する生活習慣改善効果についての研究を行い、健診制度の改善を通じた脳・心血管疾患予防対策の推進を図っている。また健診受診者だけでなく幅広い市民に対する啓発を行う手法の開発の一環として、脳卒中発症時の適切な受診行動を促すための市民啓発研究を進めてきた。また喫煙や飲酒による健康影響とその対策についても重要な研究テーマである。 いずれの研究も医学だけでなく、看護学、社会学、心理学、栄養学、体育学、都市計画などとの連携が重要であり、研究の推進においても様々な外部組織との共同が不可欠となり、協力して学際的な研究を進めていく。
専門
公衆衛生学、生活習慣病の疫学、栄養疫学、地域医療学、国際共同研究
論文指導資格
医学研究科における論文指導資格
修士/博士