佐藤 俊朗
サトウ トシロウ
医学部 医化学教室 教授
研究概要
当研究室では、ヒト組織由来の三次元培養系「オルガノイド」を基盤に、組織幹細胞の制御機構とその破綻に起因する疾患発症機序を研究しています。特に、がん化過程の再構築、腸管粘膜再生の分子基盤、機能的オルガノイドの確立、代謝ネットワークのモデリングを通じて、基礎から臨床へと橋渡し可能な研究を展開しています。 1. がん再構築 患者由来がんオルガノイドを用い、腫瘍の組織学的・遺伝学的特徴を保持したまま in vitro に再現することで、がんの自然史を追跡しています。さらに、CRISPR-Cas9 を用いた正常オルガノイドの遺伝子改変により、ドライバー変異の組み合わせから大腸がんなどをリバースエンジニアリングし、発がん・浸潤・転移・薬剤耐性獲得の分子基盤を明らかにしています。 2. 再生デザイン ヒト腸オルガノイド移植モデルを確立し、上皮再生のメカニズムを直接的に解析しています。小腸オルガノイドを大腸に移植し「小腸化大腸」を実現するなど、潰瘍性大腸炎や短腸症候群といった難治性腸疾患に対する再生医療アプローチを推進しています。これにより、臨床応用に向けたトランスレーショナルリサーチを展開しています。 3. 機能的オルガノイド 従来の「形態模倣型」から一歩進め、極性形成、オルガネラ配置、シグナル応答を備えた「機能的成熟型オルガノイド」の確立を目指しています。構造・代謝・情報伝達の多層的解析を組み合わせ、真に機能を発揮する Functional Organoid を創出し、疾患モデリングや創薬研究に応用しています。 4. 代謝モデル 代謝イメージング、質量分析、フラックス解析を駆使し、細胞外刺激に対する代謝応答を精密に解析しています。特に肝オルガノイドを基盤とする代謝モデルを構築し、薬物毒性評価や代謝疾患研究に応用しています。さらに、細胞機能成熟を促進する新規代謝物質の同定と作用機序の解明を進め、代謝制御に基づく医療基盤の創出を目指しています。
専門
消化器病学、腫瘍学、分子遺伝学、再生医学、幹細胞生物学、生化学
論文指導資格
医学研究科における論文指導資格
修士/博士