慶應義塾

三田キャンパス歴史芸術ガイド

公開日:2026.04.30

三田キャンパスの歴史は1871(明治4)年、慶應義塾が芝・新銭座から三田の旧島原藩中屋敷に移転した時から始まった。中庭の大銀杏など、旧島原藩中屋敷時代からその場所に生えていたと考えられる木もあり、近代的な校舎と趣のある重要文化財が自然に溶け合うキャンパスには深い歴史が息づいている。

重要文化財の図書館旧館以外にも、三田キャンパス内にはさまざまな歴史的建造物、彫刻や絵画などの美術作品が点在していることをご存知だろうか。美術作品の多くは太平洋戦争後に制作されている。これは慶應義塾が日本の大学で最大の戦争罹災校だったことと深い関係がある。戦後、建築家の谷口吉郎を中心に急ピッチで校舎の復興計画が進められた。教室難、財政難に苦しむ中でも、箱(教室)だけ作っても意味がないと考え、建物・庭・絵画・彫刻を組み合わせた「綜合芸術」としての空間デザインに心血が注がれたという。学びの場に歴史や文化を語る建物や碑、木々、一流アーティストたちによる美術作品が共存していることから、義塾がどのような環境で学生を育てたいと考えているのかが見えてくる。

このようにキャンパスは学びの場であると同時に、「綜合芸術」の場でもあることを多くの方に知ってほしい。そのような想いをもとに制作されたのが、「三田キャンパス 歴史芸術ガイド(歴芸ガイド)」である。歴芸ガイド制作の前段階として、キャンパスマップ制作にも触れておきたい。義塾のキャンパスマップは1993年から制作されている。平面図から始まり、すぐに航空写真をもとに描かれた鳥観図のマップに進化した。蛇腹で上部が斜めにカットされているため、折りたたんだ状態で全てのキャンパス名が段違いで見える形は、当時の広報室員がホテルのバーのメニューを見てひらめいたものだという。

キャンパスマップは好評を博したが、あくまで建物の位置情報を確認できるマップであり、記念碑や彫刻の記載はなかった。そこで1997年に制作されたのが「三田キャンパスを散歩しよう」(通称:お散歩マップ)である。マップ上の建物・碑・彫刻に番号を付けて紹介し、自動販売機やお手洗い、食堂や生協購買部の場所まで記載された、手に持って散歩できるマップだった。さらに福澤諭吉の身長・体重・ウエスト・肺活量まで記載するユニークな試みも。その後、入学広報を担う入学センターが高校生向けのキャンパス見どころマップを制作すると、広報室のお散歩マップは、より硬派に建築物や歴史、アートを扱うマップとして差別化をはかり、歴史芸術ガイドと名付けられて現在に至る。三田キャンパス訪問の際は、ぜひ三田インフォメーションプラザなどで入手の上、キャンパスの歴史や美術作品を楽しんでいただきたい。


(広報室)

※所属・職名等は本誌発刊当時のものです。