慶應義塾

若井 映亮:夢の欠片が開いた道

公開日:2026.05.21

執筆者プロフィール

  • 若井 映亮(わかい えいすけ)

    株式会社TORIHADA代表取締役CEO商学部 卒業

    2013商

    若井 映亮(わかい えいすけ)

    株式会社TORIHADA代表取締役CEO商学部 卒業

    2013商

DJとして生きていくことを決意し、大学を辞めると親に宣言したが、親からの「卒業だけは絶対にしなさい」という強い要望に、退学は思いとどまり休学することにした。その矢先、当時僕がDJをしていたクラブが、風営法に抵触しているという理由で深夜営業の停止を余儀なくされた。

その後、縮小営業が強いられるまま1年間が過ぎた。業界の将来に暗雲が立ち込めていると感じた僕は、DJを辞めて復学し、2012年、ごく普通の就職の道を選んだ。

5年後、風営法が改定され、クラブの深夜営業も許されることになった。その頃には、かつての後輩DJたちが世界の音楽フェスティバルで活躍していた。その姿を見て、「続けていれば、僕もあのステージに立っていたかもしれない」と、続けなかったことを激しく悔やんだ。

この強い後悔の念と向き合った結果、DJ活動を少し再開してみたが、いざ舞台に立つと5年のブランクは重くのしかかり、当時のスキルを取り戻す自信が持てなかった。

その経験から、法律や経済的な理由で夢を諦めざるを得ない意志のある人をサポートするという道が、自分にとって意味のあることではないかと考えるようになった。それが、DJとしての道を諦めてしまった自分自身への「贖罪」になる。

そして2017年、「意志ある個人による新しい経済をつくる」というパーパスを掲げ、資本金50万円で株式会社TORIHADAを創設(登記の費用で大半が消えた)。たまたま会社を創業したタイミングで、TikTokが日本での展開を本格化させた。音楽に乗せてショート動画を投稿するプラットフォームだ。DJやアーティストがより稼げるようになる方法を常に模索していた僕にとって、まさに「渡りに船」だった。

日本で最初にTikTokを活用したプロモーションを企画・実行していった結果、多くのお客様や株主に恵まれ、株式会社TORIHADAは、150名の従業員を抱えるまでに成長した。事業も増え、今年4月には40人の新卒が入社する。

こんなに会社を続けることができるとは夢にも思っていなかったので、共に会社を創ってくれている仲間たちには、感謝してもしきれない。本当に運が良いと感じている。このままいけば、過去の後悔も綺麗さっぱりと払拭できそうだ。

※所属・職名等は本誌発刊当時のものです。