慶應義塾

折り紙の愉しみ

登場者プロフィール

  • 橋本 大二郎(はしもと だいじろう)

    その他 : テレビ朝日「ワイドスクランブル」キャスター経済学部 卒業法学部 卒業

    1970年慶應義塾大学経済学部、72年同法学部法律学科卒業。NHK報道部記者、社会部。デスク等を経て91年~2007年まで高知県知事。編著書に『折り紙の四季』がある。

    橋本 大二郎(はしもと だいじろう)

    その他 : テレビ朝日「ワイドスクランブル」キャスター経済学部 卒業法学部 卒業

    1970年慶應義塾大学経済学部、72年同法学部法律学科卒業。NHK報道部記者、社会部。デスク等を経て91年~2007年まで高知県知事。編著書に『折り紙の四季』がある。

  • 山口 榮一(やまぐち えいいち)

    その他 : 玉川大学名誉教授その他 : SKIP算数教育研究会主宰社会学研究科 卒業

    1979年慶應義塾大学大学院社会学研究科教育学専攻博士課程修了。専門は教育プログラムの研究・開発・評価など。著書に『おりがみで学ぶ図形パズル』ほか。

    山口 榮一(やまぐち えいいち)

    その他 : 玉川大学名誉教授その他 : SKIP算数教育研究会主宰社会学研究科 卒業

    1979年慶應義塾大学大学院社会学研究科教育学専攻博士課程修了。専門は教育プログラムの研究・開発・評価など。著書に『おりがみで学ぶ図形パズル』ほか。

  • バンマンサム、ルーベン

    その他 : 国際連携推進室専門員

    オランダ生まれ、ニュージーランド育ち。小学校時代、毎年ホームステイで来る日本人の短期留学生のお土産だった折り紙と出合う。大学で日本語と美術史を、大学院で近代日本美術史を専攻。2014年より現職。

    バンマンサム、ルーベン

    その他 : 国際連携推進室専門員

    オランダ生まれ、ニュージーランド育ち。小学校時代、毎年ホームステイで来る日本人の短期留学生のお土産だった折り紙と出合う。大学で日本語と美術史を、大学院で近代日本美術史を専攻。2014年より現職。

2018/05/01

折り紙との関わり

橋本

私は十数年前に『折り紙の四季』という本を出しましたが、実は折り紙についてはそんなに詳しいわけじゃないんです。高知県知事時代に、手慰みというか、暇つぶしで折り紙をやっているという話をしていたら、「ぜひ出してくれ」と出版社からせがまれまして(笑)。

母方の祖母がお手玉やあやとり、折り紙が好きで、子どもの頃一緒に住んでいた時期もあるので、いろいろと教えてもらっていて、なんとなく楽しいと思ったんですね。

あまり外で遊ぶ子じゃなかったのと、幼稚園・小学校から私立に通っていたので、地域の仲間とのつながりがない子どもでした。あと、兄も10歳離れていたので、一緒に遊ぶということもなくて、いろいろな1人遊びをしていました。それで時間つぶしにやっていたというのがきっかけですね。

山口

おばあさんから教わったわけですね。

橋本

ええ。山口さんも折り紙に関するご本を出していらっしゃいますね。

山口

私は、小学校教育の教員養成に35年関わっていました。学生たちは、算数を教える先生になろうとしているのに、算数が嫌いっていうか苦手なんです。

学生によっては、「算数ができないからここに来たのに、どうして算数をやらなきゃならないの?」なんてことを言う(笑)。そこで、「サッカー嫌いな人がサッカー選手のコーチにはなれないでしょう? だから、まず好きになるのが大事だ」って言ったんですが、じゃあ、どうしたらいいかと考えたとき、折り紙に出合ったんです。

慶應の友人が、たまたまモンテッソーリ教育に関わっていました。将棋の藤井聡太さんでも有名になった、イタリア発の教育法です。

その教育法では、感覚教材というものがあって、三角形とか丸とか、かたちを触ったりします。でもそのモンテッソーリ教材はとても高価です。

そこで、折り紙で同じようなことができるんじゃないかと思いました。なにかをつくるというよりは、折り紙という正方形がもっている幾何学的な要素をいろいろ使って教えていこうと思ったんです。

橋本

学生さんの反応はどうでしたか。

山口

やっぱり学生たちは折り紙は好きですね。特に、いまは幼児保育課程を担当しているのでなおさらです。いかにも算数っていう感じじゃなくなりますから。

例えば、「折り紙を半分に折って」と言われたとき、対角線で三角形に折る人と、縦か横の長方形に折る人がいますね。だけど、半分に折る方法は他にもある、って言うわけです。そこから難しくなる。

橋本

なるほどね。

山口

つまり、折り線が正方形の中心を通ってさえいれば、ぴったり角を合わせた折り方じゃなくても、必ず半分に折れるんです。

こういったことだけでも、学生たちは結構興味を持ってくれるんです。特に保育園や幼稚園の先生になる人には、「折り紙」は必ず必要となるものなんですよ。

日本の高校生に折り紙を学ぶ

ルーベン

私はオランダ人で、小さなときにニュージーランドに住んでいました。両親とも高校の先生で、いろいろな言語を教えていました。

8歳くらいのとき、母が同僚の日本語の先生から、日本人の高校生をホームステイに受け入れるよう頼まれました。そして、その高校生から日本のおもちゃをたくさんもらったんです。そのなかで特に引かれたのは、けん玉と折り紙でした。

その次の年も同じホームステイのプログラムがあって、必ず折り紙をもらっていました。

橋本

その人は、折り紙を持ってきて、自分で折ってくれたんですか。

ルーベン

ええ、そうです。折り紙のパッケージの最後に、図形の説明をした紙が入っていますよね。あれに書いてあるものを折ってくれました。

その生徒たちは英語が得意じゃなかったので、折り紙の遊びで仲良くなりました。

橋本

最初、折り紙って難しくなかったですか?

ルーベン

うーん、そんなでもなかったです。たぶん僕は手先が器用だったんですね(笑)。兄は上手くできませんでした。

たしかに、他の友達も誰も折り紙はできなかったです。だから、自分にとってはちょっとした特技だったのかもしれません。

山口

最初に折ったものは覚えていますか。

ルーベン

たぶんウサギとか、ツルですね。ツルが最初からうまく折れたかどうかは覚えていませんが。

橋本

折り紙ができて、何か役に立ったことはありますか。

ルーベン

例えば中学生のとき、理科の授業で、紙で花の模型をつくりましょうという課題がありました。それは結構うまくできましたね。

あと、母がお寿司をつくるのが好きだったんです。ニュージーランドではポットラック(持ち寄りパーティ)をよくやります。みんなで1皿ずつ料理を持ち寄るんですが、母がお寿司をつくって、それを僕が折り紙で飾りつけました。

コミュニケーションの道具として

橋本

僕が折り紙で自分の役に立ったのは、NHKの記者になったときです。もう40年以上も前のことですが。

NHKで福岡に赴任して、最初は警察署回りをするんです。昼間に行ってもなかなか話を聞かせてくれないので、知り合いになったおまわりさんの家に夜に行くんです。いわゆる夜回りですね。

普通はおまわりさんと酒を飲みながら、相手が酔っ払ったときにいろいろ聞き出すんですが、自分はお酒が全然駄目。だから、お子さんのいるようなおうちを狙って行って、それで子どもに折り紙をつくってあげるようにしたんです。

するとお子さんが喜んでくれて、だんだん仲良くなる。そのおまわりさんが家に帰っていないときでも、訪ねて行くと、子どもが出て来て、「ああ、折り紙のお兄ちゃんだ」と。それは結構仕事で役に立ちましたね。

それから、知事のときはそれこそお年寄りの介護施設などに行って、「一緒にやりましょう」とやると、喜んでくれました。もちろん外国の方へのお土産でも渡しました。

山口

折り紙って、人と人とをつなげるんですよね。

橋本

そう。結びつける。ただ、折り紙をちゃんと折るのは結構時間がかかります。子どもやお年寄りに「これどうやって折るのか教えて」って言われても、そう簡単には教えられない。子どもだと、すごく大ざっぱに折る子もいるので、最初の折り方だけでもう駄目(笑)、最後まで行き着かないなと思うこともある。

その辺も含めて、コミュニケーションのツールとしてなかなか楽しいですね。簡単ではないけれど。

ルーベン

以前、富山でJETプログラム(The Japan Exchange and Teaching Programme:語学指導等を行う外国青年招致事業)の教師をしていたときは、結構折り紙を使いました。

小学生と保育園で教えていて、ニュージーランドの鳥、キウイを折ってみせました。とても簡単なやつです(折ってみせる)。

ルーベンさんが折ったキウイ
橋本

これはすぐにできていいですね(笑)。特に子どもたちを相手にするなら、折り紙は、簡単なものじゃないとね。時間がかかったり、面倒だったりすると、やっぱり子どもたちは飽きちゃうので。このキウイは、どこで習ったんですか。

ルーベン

たしか、保育園と小学校の授業のために、ニュージーランドっぽいものをつくりたかったので、自分で作り方を調べたんだと思います。久しぶりだったんでできるかなと思いました。

橋本

しばらく折っていないとできなくなったりしますからね。

ルーベン

実は僕はオランダ人なのに長崎にはまだ行ったことがないんです。以前、JETの夏休みのときに、千羽鶴みたいなかたちでキウイを折って、平和公園に持って行こうと思ったんです。

橋本

すごいね。千羽キウイだ(笑)。

ルーベン

それで700羽くらいまでがんばって折ったのですが、結局いろいろな用事が重なり、行けなかった。それで学校に寄付しました。

山口

それは、1人で全部つくったんですか。

ルーベン

そうです。JETのときは、夏はとても暇だったので、いい暇つぶしになりました(笑)。

山口

700個折っていれば絶対に忘れないでしょう(笑)。

橋本

日本の子どもたちの反応はどうでしたか。

ルーベン

つくった後、本当のキウイの写真を見せたら、最初は「えーっ、変な鳥。これなあに?」ってびっくりしていました。

ルーベンさんの「千羽キウイ」

YouTubeで学ぶ

山口

折り紙の本に載っていたりするのは、出来上がりがいいものが多いですね。あれは子どもにはちょっと難しいし、大人にだって難しい。最初折るときは、やっぱり簡単な定番が必要で、そういうものがいくつか自分のレパートリーに持っているといいですよね。

ルーベン

小学生のとき、ホームステイの生徒が帰ってしまった後、日本語の折り紙の本を探して見てみましたが、やはりちょっと難しかったですね。

橋本

折り紙の本自体、分かりやすいものと分かりにくいものがあって、それこそ「谷折り」「山折り」の区別もよく分からなかったりする。

ルーベン

折って開いて、また組み合わせる、みたいなタイプの折り紙は苦手でした。

橋本

難しいですよね。折って筋目を付けて、その筋目に合わせて開くというのが、うまく説明できていなかったりします。

ルーベン

最近の本は、だいぶ分かりやすいものが増えているように思います。

山口

そうですね。あと今はインターネットのYouTubeでいろいろな折り紙の折り方がアップされていますから、より分かりやすくなっていますね。

教え合う関係をつくる

山口さんの多面体
山口

この多面体は部品が12個必要で、早い学生は10分くらいでつくれる。私は不器用なので20分ぐらいかかる(笑)。

橋本

それ、最後の1つがきれいに嵌らないんだよね。

山口

そう。抜けちゃったりね。結構難しい。だから、器用さっていうのはやっぱり重要ですよ。

橋本

これは3個でもつくれるし、12個でも、36個でもつくれますね。

山口

こういうのを学生とやっていると、学生の側が教えてくれたりするんです。

「先生、こんなのできるよ」って言って、持って来る。それを僕が学んで、また他の学生に広めたりしています。

つまり、ただ一方的に教える・教わる関係じゃなくて、教え合う関係になれる。これってすごく大事ですよね。

橋本

まさに、福澤先生のいう半学半教ですね。

山口

そうですね。そういう関係がつくれると、授業はすごく良くなります。

橋本

こういう、ユニットを組み合わせてつくっていくというのはなかなか楽しいし、出来上がりもきれいだからいいですよね。暇つぶしにもなるし(笑)。

ルーベン

ニュージーランドでは12月、クリスマスツリーを飾るんですが、僕はツリーに折り紙も飾りましたよ。しかも、そのクリスマスツリーも盆栽のツリーで。

橋本

盆栽に折り紙、なかなか素敵ですねえ。

幾何学的な面白さ

山口

僕も入院したとき、学生たちがみんなで千羽鶴をくれたことがあって、他の何をもらうよりうれしかったですね。不思議ですよね、千羽鶴って。

橋本

手間暇と、やっぱり心を込めてくれているっていうのがね。

山口

たくさん折っているから、手が覚えているっていうこともあるでしょう。決して易しくはないんですけれども。

橋本

折り紙って、出来上がりも平面のものと、ツルのように立体になるものがありますね。やっぱり立体になっていくもののほうが面白い。でも、立体になるものはやはり難しいものが多い。だから、ツルは基礎的な技だけで折れて、立体感が出るというのがすごいと思いますよ。

山口

幾何学的なものって、バランスが美しいと思うんです。無駄がない。とてもスッキリしている。このスッキリ感って、数学的なセンスだと思います。

折り紙を使って、正方形をいくつかの図形に分ける「タングラム」をつくることもできます。

タングラムの例
山口

5つの部品を組み合わせて正方形をつくるとか、そういうパズルをやってみることで、どことどこの長さが実は等しい、というのを感覚的に学ぶことができる。そういう遊び方もできます。だから折り紙はすごいし、正方形という形はすごいんですよ。橋本いろいろな色の組み合わせも楽しいですよね。複数の折り紙を使って。

山口

最初のうちは一生懸命つくるだけですが、慣れてくると今度は出来上がりを考えながらつくるでしょう。そうすると、わざと2色にしたり、いろいろと工夫します。橋本特に得意な折り紙というのはないんですが、ひとつ、あまり人がつくらない花というのがあります。途中まではツルとほとんど同じ。ツルから変形してつくるお花をつくってみましょうか(実際に折り始める)。折り紙の本って古典のものから、ちょっと新作のものからいっぱい出ているんですよね。子供の頃ですから、結構お金がかかるので本屋で立ち読みをしていたんですね。普通やらないような面白いものはないかといって、ある本で見つけたものです。こんな感じです(写真)。

橋本さんの花
ルーベン

なかなか素敵な花ですね。

山口

折り紙は手先を使うのでいいですよね。以前、小学生対象の講座をやったことがあるのですが、あるとき高齢者の女性が4、5人入ってきて、「教えてくれ」って頼まれたんです。それで教えたら「これは脳トレよりいい」って。

橋本

ああ、なるほどね。

山口

あと、宮城県ではトラックの日というのが10月10日にあります。震災の後、トラック業界がイベントをやっているんです。そのときも折り紙を紹介したんですが、やっぱりそこに来るのは小さい子どもと高齢者です。

折り紙は時間がかかるので部品だけある程度用意しておくんですが、それを組み合わせてつくってもらいます。高齢者も、こういうもののほうが楽しんでもらえます。つくるっていう作業はとても楽しいんだと思いますね。

海外の折り「紙」事情

ルーベン

ニュージーランドだと、折り紙自体が簡単に手に入らないんですよ。だから、小さな頃は折り紙はすごく貴重品でした。特に、金と銀の紙。あれはすごく貴重(笑)。橋本ああ、セットの中で2枚だけ入っているやつ。あれがもらえるととてもうれしかったですね。僕はあれを大切にしていて、折らずにとっておきましたよ。ルーベン僕も年に1回しかもらえなかった。橋本オランダ語で書いてある折り紙の本もあるんですか。ルーベンたしかあったと思います。ドイツ語の本もありました。山口私の折り紙の本も、実はトルコ語に訳されているんですよ。だから、海外で折り紙に興味を持っている人はたくさんいると思います。ルーベンでもやっぱり折り紙自体がなかなか手に入らない。向こうには日本にあるような100円ショップがないから。山口ペーパークラフトっていうのは違うんですか。ルーベンあれはたぶん、模型とかをつくるものですね。飛行機とか。橋本スペインには折り紙のようなものがあるみたいですね。山口中国はどうなんですかね。橋本中国ではあまり聞かないですね。山口不思議ですよね。紙の本家なのに。折り紙でもいい紙だと、紙が厚いですよね。橋本そう。山口紙が厚くて、ちゃんと正方形になっている。安いものだと、たまに正確じゃなかったりする(笑)。だから、やっぱり和紙やなんかだといいですよね。授業だと予算がないから安いものを買ってしまうけれど。橋本きちんと折らないと駄目なので、1つずつきちんとやるということが大切だということを覚えるためには必要だと思うんですよね。工程をきちんとやっていくと、仕上がりがきれい。山口そのためにはあまり安いものだと駄目かもしれないですね(笑)。

遊びながら学ぶ文化

ルーベン

今年は戌年ですよね。だから、仕事関係の人に折り紙で犬を折ってあげようとしたんです。それでいろいろなウェブサイトを見てみたら、動物の折り紙ってすごくたくさん種類がありますね。動物ならなんでもあるっていうくらい。橋本動物はなんでもあるし、虫とかも平面的なものから立体的なものまでいろいろあります。カタツムリなんかも、殻のところが膨らむようにつくれるようなものもある。よくそういうものをつくるなあと感心しますよ。ウサギも、平面のものもあれば、風船を変形させてつくるものがありますね。山口おそらく昔からの伝承で、みんなが伝え合ってきたという流れがあったからこそ、いろいろな折り方が発展してきたんだと思います。橋本日本では折り紙がいつからあるのか。あまり詳しくないですが、平安時代からあったという話も聞いたことがあります。江戸時代の日本で折り紙が普及したのは寺子屋があったからだとも聞いたことがあります。でも、江戸時代の折り紙の簡単な本ってあまり見ないですよね。例えば北斎漫画みたいなものは今でも伝わっていますが、あれに当たるようなものが、折り紙にあってもおかしくない。山口当時の人たちは、折り方を極めるほうに行ってしまって、あまり一般的な普及ということは考えていなかったのでしょうかね。橋本そうかもね。山口だって、人に見せたいから技を競い合うじゃないですか。そうすると、子ども向けのほうには目が向かなくなる。だから、私の仕事が成り立つわけですが(笑)。でも、1番簡単なもので、誰でもできるようなものが伝承されていくこと、それこそが文化だと思いますね。ひと昔前には普通に家庭とか地域でみんなやっていたわけだし。橋本でも、子どもに教える道具としてこういうものがあるっていうのは、やっぱりなかなかすごいですよね。山口とにかく安く遊べますからね。最新のゲーム機を買う値段で、いい折り紙を何枚買えるか(笑)。橋本たしかにそうですね。山口遊びながら学ぶなかで、数学に関する感覚も身につけていけるんじゃないかと思います。ちゃんと折れれば、三角形であれ、他の図形であれ、いろいろなものを組み合わせていけることが分かっていくと思います。

自然に伝承されていくもの

橋本

折り紙には基本、ハサミはいれませんね。山口使わないですね。ただ、折り紙を基本にした「切り紙」というのがありますね。「江戸切り絵」といって、折り紙を切って、いろいろな花とかそういうのをつくるんですね。一種のルールなんですね。切らないということを前提に折るというのもあるし、切ってもいいというのもあるけれど。いろいろな制約の中で折る。例えば、正方形で折らないといけないとか、長方形も拡大していいとかいろいろあるわけですよ。その制約があって初めていろいろな工夫が生まれて面白いんですよね。橋本折り紙って、形式ばってしっかり普及させようとか言って肩に力入れてやるものじゃなく、自然にいつまでもなくならずに続いていく、という不思議なものじゃないかと思うんです。こういうのが苦手な人もいますけど、好きな人だと結構楽しめます。メソッドとしてしっかり伝えようとかって言い出すと、だんだん嫌になっちゃうかもしれません。山口そう。義務になると、嫌になってしまうんです。橋本本当に寺子屋的なものがふさわしいんだと思います。山口折り紙を見ていて日本人の器用さを感じますか?ルーベン紙の美しさも含めて、やはりすごく印象的ですよね。山口楽しみながらつくって、学ぶという文化があると思います。日本の幼児教育や初等教育にはもともとそういう寺子屋的なものがあって、それがのちに西洋化して、詰め込み教育があったりもしました。今また戻ってきていますが、連綿とした伝承文化は、そもそも子どもを大事にしてきたものだと思います。そういうものはこれからも大事にしていきたいですね。ルーベン僕も娘が昨年生まれたので、一緒に折り紙ができるようになるのが楽しみです。橋本いいですね。娘さんが保育園で教わってきたら、「パパはもっとすごいのが折れるぞ」って自慢してあげてください(笑)。※所属・職名等は本誌発刊当時のものです。