慶應義塾

不思議な焼物 -電子セラミックス

登場者プロフィール

  • 木村 敏夫

    木村 敏夫

「セラミックス」という言葉から、「陶磁器」や「スペースシャトルの断熱タイル」を思い描く人はかなり多いのではないかと思います(写真1)。多分、 “硬くて熱に強い物質”というイメージをお持ちかと思います。しかし、セラミックスの仲間たちの中には、“電気を通す”、“電気を蓄える”、“磁石になる”、“力を加えると電気を発生する”といった性質を持つものもあります。このような性質を利用して電気部品として使われているセラミックスの仲間たちがたくさんあります。これらの仲間は「電子セラミックス」とか「エレクトロセラミックス」と呼ばれています。電子セラミックスは軽くて小さい電気製品を作るために無くてはならないものになっており、携帯電話の小型化はその成果の一つといえるものです(写真2)。

私たちの生活をより豊かにする電化製品を作るために、電気部品の性能向上が必要ですが、電子セラミックスでも例外ではありません。セラミックスの性質は、それを構成する元素とその量、つまり組成により決まります。したがって、より良いセラミックスを作製するために、組成と性質の関係を明らかにする必要があります。それに基づいて、適切な“組成の設計(マテリアル・デザイン)”がなされています。

セラミックスのほとんどは小さな結晶粒子が集まった多結晶体ですが、結晶粒子の集合状態(微細構造といいます)によっても性質が大きく異なります。写真3は同じ組成を持つセラミックスですが、作り方によりまったく異なった微細構造になり、それに伴い性質が異なります。このように良好なセラミックスを作製するためには適切な“作製法の設計(プロセシング・デザイン)”が必要です。

セラミックスの作製に関する研究は「応用化学科」で行われています。「化学」は、主に“物質の構造と性質の関係”と“物質の状態の変化”を明らかにする学問です。この2つは“マテリアル・デザイン”と“プロセシング・デザイン”に対応しており、セラミックスの性質を向上させるための研究には「化学」の手法がいたるところで用いられています(写真4)。

陶磁器はセラミックスの代表選手です。
大きなコンデンサも、セラミックスを用いればこんなに小さくなります。 (出展: 株式会社 村田製作所ホームページ )
同じセラミックスでも作り方が異なると、こんなに微細構造が異なり、もちろん性質もまったく違います。
電子顕微鏡での微細構造観察は、プロセシング・デザインの研究には不可欠な武器になっています。