登場者プロフィール

北川 良和

北川 良和
地震に強い建築構造物のスマートシステム化を目指して
我が国は世界有数の地震国であり、かつ地形や地盤などの各種自然条件が自然災害に対して極めて脆弱な場合が多い。このため、これまでに地震によって多くの人命が失われ、家や街が破壊されてきました(写真1参照)。
一方、建築を取り巻く環境はこれまでに経験したことがない程巨大なエネルギー消費の技術社会、高度情報社会の中にあります。このためには、新しい技術分野との融合を図った新しい時代に対応する建築構造システムを、未来型・提案型トータルシステムとしてその枠組みを構築する必要があります。
このような背景のもと、研究室では大地震による被害を最小限に抑えられる安全で安心して住める家・街造りを目指して、建物の地震対策技術に関する研究、特に建物のスマート構造化を目的とした研究を行っています。具体的には従来型の耐震・免震・制震(振)構造システムを基とした未来型のスマート構造システムの構築です(図1参照)。
研究室の主な研究テーマとしては、(1)地震動・地盤震動評価、(2)免震・制震(振)構造安全性評価、(3)モニタリングを基とした建物の健全性評価等で、これらの評価に際して、生きものがもつ生命体機能を兼ね備えたスマート構造システムを構築しています。
スマート構造システム開発の内、スマート材料(形状記憶合金、圧電素子等)の建築物への適用事例として、鉄筋コンクリート部材の主筋に形状記憶合金を用いた部材について行った実験結果を写真2に示します(日米共同研究より)。その他、遺伝的アルゴリズム、ニューラルネットワーク、ファジー理論といった手法を用いて建物の振動を抑制するシステム、建物の損傷位置や損傷度合の同定からその安全性を評価するシステム等があります。
写真2-1
写真2-2
写真2-3
形状記憶合金の超弾性効果を応用したモルタル部材の静的加力実験の状況です。最大の載荷時に発生した亀裂は除荷後に閉じ、もとの形に戻っています。すなわち、生体化機能の1つである自己修復機能を有した部材の出現です。
21世紀のある日…。建物は生命体機能を持ち、人間や自然にやさしく最高のエネルギー効果で究極の省エネルギーを可能にし、さらには高齢化社会や地球環境問題の解決に大きく貢献しているものと確信しています。