本プログラムは学部1~2年次を慶應、3~4年次をフランス、そして再び修士課程を慶應で修める事により、本学大学院理工学研究科か ら修士(理学または工学)、派遣先機関から工学修士相当の学位がそれぞれ授与されるダブルディグリー・プログラムです。
本プログラムは、両校のカリキュラムを融合させることによって、日本・フランス 双方で学生生活を送ることを可能とするものであり、その最大の目的は、現代社会に必要とされる国際的な視野と、深い専門知識とを併せ持つ国際エンジニアを育成することにあります。
概要
本学理工学部生は、3年次進級前に学内および受け入れ先の選考を受け、合格後同年夏季に渡仏、2年間の学業を終え帰国し、慶應義塾大学大学院理工学研究科修士課程に入学します。
従って、慶應義塾の学生で本プログラムに出願できるのは、派遣時に理工学部2年次を終えている学生のみとなります。派遣先での授業はフランス語で行われるため、授業を理解し、円滑な学生生活を送れるため、ある程度以上のフランス語能力が必要になります。
理工学部では、このプログラムで渡仏する学生を念頭に置いたフランス語能力を涵養する科目を開講し、渡仏前の受講を推奨しています。
慶應義塾大学学生の学位取得の流れ
慶應義塾大学理工学部で2.5年間学ぶ
エコールサントラルで2年間学ぶ
慶應義塾大学大学院理工学研究科で2年間学ぶ
慶應義塾大学、エコールサントラルの 修了・学位取得
受入生の学位取得の流れ
準備学級で2年間学ぶ
エコールサントラルで2年間学ぶ
慶應義塾大学大学院理工学研究科で 2年間学ぶ
慶應義塾大学、エコールサントラルの 修了・学位取得
専門の選び方
学部生対象プログラムでは、フランスに派遣されて1年ほどが過ぎた時点でもう帰国後の大学院の研究室を選ばなければなりません。これまでの派遣生を見ていると、先方で1年目に学習した内容や、インターンシップで経験したこと、日本では見えなかった世界などを見たことなどで将来の就職先などを改めて考え直し、その過程を経て自分の専門に関する考えを固めてゆくようです。慶應理工学部では通常の場合、1年生の途中で学科を選び、2 年次に学科に分かれたあとはもう専門が絞られるのとは対照的です。早いうちに専門を決めたくないという人にとってはこのプログラムは向いていると言えますが、一方で、派遣先での学習だけでは帰国後にすぐに大学院で研究を始めることができない分野もあります。このプログラムへの参加を決める前に、もう一度自分の専門についてよく考え直すことが大切です。
ここで提供するダブルディグリー・プログラムは異なる2つの専門についてそれぞれ学位を授与するという意味ではないことに注意してください。むしろ、2つの国で学ぶ専門分野や取り組む問題は共通していても、文化的・社会的な背景の違いによって異なるアプローチがあることを体験することが重要です。単に2つの学位を取得できるというよりも、理工学的な専門分野と合わせて文化や言語への理解が深まり、新たな興味を発掘する機会を得るところにこのプログラムの価値があると言えるでしょう。
協定校紹介
現在ダブルディグリープログラムに参加している協定校は、グランゼコールの中でも最も格式のあるGroupe des Écoles Centralesに所属する5校です。
エコールサントラルとは
エコールサントラル(EC)はフランスに約250 校あるグランゼコールの中でもジェネラリスト教育を標榜する理工系分野に特化したカリキュラムを特徴とします。実業界や産業界と密接なつながりをもち、実学的な素養と国際感覚の育成に注力しています。理工学部は2005年に、リール校、リヨン校、ナント校、パリ校と協定を締結し、2006年度にエコールサントラルに加盟したマルセイユ校が加わりました。
リール校(École Centrale de Lille)
リールは北フランス最大の工業都市で、フランス最北部のベルギーと国境を接する H auts-de-France 地域の中心地です。学生数は1学年300人ほどと小規模で、学生同士や教授との距離が近いです。ジェネラリストの養成という教育理念に基づき、機械工学を中心に電子工学、化学、数学、情報工学とさまざまな分野を多岐にわたって学ぶほか、経済や社会学など、エンジニアとして働く上で欠かせない教養を身につけます。また、2 年間を通して行うプロジェクトやインターンシップなど、産業界との結びつきも強く、実学に基づいた知識も養います。
リヨン校(École Centrale de Lyon)
リヨンはアルプスへの入り口に位置し、パリに次いでフランス第2の規模を誇る都市です。パリからマルセイユへと南北に縦断するフランスの国内交通の要衝ですが、金融の中心地でもあり、フランスの銀行の多くがこの地に本店を置いていることから「金融の街」とも呼ばれ、美食の街とも知られています。ほとんどの授業が必修で、数学、物理、化学、機械、制御工学、情報工学、電気・電子工学、さらには、経済学、哲学、心理学など多肢に渡ります。
1年次、2 年次ともに通年のプロジェクトがあります。100 近いテーマの中から同じテーマを選んだ学生と6 人ほどでチームを組み、時には企業と協力して、計画の立て方、プレゼンテーションの方法など実践的なことを学びます。
メディテラネ校:旧マルセイユ校(École Centrale de Méditerranée(Marseille))
マルセイユは地中海に面したフランスを代表する大都市です。一年を通して天気が良い温暖な地域にあります。他校同様、数学、機械、物理、化学、経済、法律に至るまで幅広い分野を習得できますが、特に化学に強みがあることでも有名です。1学年の学生数は約250人と小規模なので、教員も学生もすぐに顔なじみになれます。また企業研究などの授業も盛んで、マルセイユ近郊の企業見学や技術者へのインタビュー、生徒主体の企業Forum を学校で開催しています。学校の周りにはたくさんの研究施設があり、授業の一環としての見学や、実験をすることも多くあります。
ナント校(École Centrale de Nantes)
ブルターニュ半島の付け根に位置するナントは、ロワール地方最大の都市です。ブルターニュ公国時代の面影を残しながらも近代的な街並みを持ち、フランスでは最も住みやすい街と言われています。古くから造船業が栄え、近年もエアバスの飛行機胴体工場など大企業の進出が盛んです。EC-Nantes周りには商業系グランゼコールAudencia やナント大学もあり学生の多い地域です。授業は、演習・実験とグループワークが多く、自ら発表する機会も多く、プレゼンテーションのスキルも鍛えられます。
1年次は学校に併設された寮で現地学生とルームシェアをします。
授業のほとんどが必修となっており、その多くがメカニック系という特色はありますが、「ジェネラリストの養成」というEC 共通の理念に基づき、情報、制御、数学、マネージメント、コミュニケーション、語学、体育など幅広い分野を学べます。
サントラルスペレック(CentraleSupélec)
Paris-Saclayをメインに、Rennes、Metzの計3つのキャンパスがあります。留学1年目はParis-Saclay に通います。ジェネラリストとしての幅広い分野を学ぶカリキュラムと並行して、6から8週間の期間でAcademic Terms(SG)と Engineering Challenge Term( ST)が交互に設定されており、より専門性の高い選択授業を履修します。英語教育に対しても
力を入れており、英語で行われる授業があることに加え、学位取得の条件として IELTS 7.5点が課せられています。企業やその他の団体との共同で、1年を通して1つのプロジェクトに参画します。
グランゼコールとは?
フランスの高等教育機関は、「大学 Universites」と「グランゼコール Grandes Ecoles」に分かれています。この「グランゼコール」はフランス独自の教育機関であり、高校卒業後、2年間の準備学級(Les classes preparatoires)を経たのち、さらに難易度の高さで知られるグランゼコール入試に合格した者のみが入学できる、高等教育機関です。 これらグランゼコールは18世紀のフランス革命前後に、専門エンジニア・高級官僚・教員を養成するために創られたのが始まりと言われ、主な特徴として入学時の厳しい選抜、高度な総合的・専門的教育、官民各界の人材を集めた教授陣 経済界、産業界との緊密な連携が挙げられます。
フランス語について
ECでの授業はすべてフランス語で行われます。授業を理解し、円滑な学生生活を送るためには、ある程度以上のフランス語能力が必要になります。出願をする時点ですでに十分なフランス語能力を有していることは必須ではありませんが、派遣に向けて、そして派遣決定後は更に、フランス語能力の向上に最善を尽くさなければなりません。
本留学を志したならば、なるべく早めに本格的なフランス語学習に取り組みましょう。理工学部で設置のフランス語のインテンシブ、セミ・インテンシブや留学準備の授業を活用してください。(1年次の選択必修諸外国語としてフランス語以外の言語を選択している場合は、早めにフランス語学習を始めることが重要です。)
春・夏の長期休暇期間にはフランスでの語学研修(ECNフランス語フランス文化研修プログラム、IMT Atlantique 語学研修)を開催しています。
派遣決定後は、各派遣先での就学に先立って、フランスVichyにあるCavilamという語学学校での研修に参加します。Cavilamは、長年にわたってEC と提携している、国内外から信頼された語学学校です。研修期間は原則9週間ですが、各自のフランス語能力や費用面などを考慮に入れて、自分に合った期間を選んでください。多くの派遣生は、6月最終週から9~10週間程度の研修を受講しています。フランス在住経験者など、すでに十分な語学力を有している派遣生は、必ずしも語学研修に参加する必要はありません。
注意事項
派遣期間終了後は必ず帰国して修士課程に入学してください。派遣先から本理工学研究科へ進学する際は、飛び級同様の扱いとなるため、学部は退学の扱いとなり、学士の学位は授与されません。
万が一派遣先から途中帰国することとなった場合は、渡航時の取得単位数に応じて学部3年次または4年次に就学することになります。3年次春学期まで履修してからの渡航も可とします。
派遣先(EC5校)は、最終選考の後、EC側によって決定されます。 現地での授業はすべてフランス語で行われます。選考時にはフランス語学力は選考の際の必要条件とはなりませんが、就学時には授業についていける能力が必須であると考えてください。
本プログラムの修了には標準で6年半(学部4年半、修士2年間)必要です。その期間の学費は慶應義塾に全額納める必要があります。派遣先における入学金・授業料は免除となります (現地滞在費は、原則として全額自己負担)。