登場者プロフィール
川久保 俊(かわくぼ しゅん)
(慶應義塾高等学校出身) 2008年3月 慶應義塾大学理工学部システムデザイン工学科卒業 2010年3月 慶應義塾大学大学院理工学研究科開放環境科学専攻前期博士課程修了 2013年3月 慶應義塾大学大学院理工学研究科開放環境科学専攻後期博士課程修了 2013年4月 法政大学デザイン工学部建築学科助教 2016年4月 法政大学デザイン工学部建築学科専任講師 2017年10月 法政大学デザイン工学部建築学科准教授 現在に至る
川久保 俊(かわくぼ しゅん)
(慶應義塾高等学校出身) 2008年3月 慶應義塾大学理工学部システムデザイン工学科卒業 2010年3月 慶應義塾大学大学院理工学研究科開放環境科学専攻前期博士課程修了 2013年3月 慶應義塾大学大学院理工学研究科開放環境科学専攻後期博士課程修了 2013年4月 法政大学デザイン工学部建築学科助教 2016年4月 法政大学デザイン工学部建築学科専任講師 2017年10月 法政大学デザイン工学部建築学科准教授 現在に至る
自然・環境・研究に興味を持ったきっかけ
幼稚園に通っていた頃から自然の中で泥まみれになって遊ぶのが好きでした。小学生になる頃には家庭菜園に興味を持ち、自宅の庭でトマトやナス、ピーマン、ホウレンソウなどを育てるようになりました。水や肥料をあげすぎても根腐れをおこしてしまうし、反対に量が足りなくても枯れてしまうのを目の当たりにし、自然や身の回りの環境が絶妙なバランスの上に成り立っていることに驚き、関心を持つようになりました。丁度人間の社会経済活動と地球環境保全をどのようにバランスさせるかということに対して議論が盛んになり始めた頃であり、いつか自身も環境問題をはじめとする世の中の諸課題の解決に貢献できるような職業に就きたいと思うようになりました。その時に意識したのが研究職でした。
高校時代
地元の公立小学校・中学校を卒業して慶應義塾高等学校に進学しました。この高校の校風がとにかく自由で私はとても好きでした。勉強せずに部活や趣味に傾倒する人もいるかと思えば、海外留学するために連日猛勉強しているような人もいました。多様なキャラの友人に囲まれながら楽しい高校生活を送りました。個人的にありがたかったのは、高大一貫教育という形で大学の講義を先取り履修できたことです。大学の講義の一部を体験させていただき、非常に刺激を受けたのを覚えています。
大学時代
大学進学後は幅広い分野の知見を身に着けられるシステムデザイン(SD)工学科に進学しました。SD工学科には、フロンティアで新しいことに挑戦できるような雰囲気がありました。人体内部に焦点を当てたマイクロスケールの研究から宇宙を対象としたマクロスケールの研究まで行われており、このような多様性も私にとって非常に魅力的でした。
カリキュラムも非常に体系的に構成されており、力学・電気・制御・情報といった様々な分野の基礎を横断的に学ぶことができました。当時、感動したのは電磁気学で学んだ知見を熱力学分野に応用できること(電気回路と熱回路のアナロジー)を教えていただいた時です。皆さんもオームの法則などを駆使して電気回路の問題を解く方法を習ったと思いますが、その考え方を応用すれば熱の伝わり方に関わる問題を解くことができるのです。
実は今も自身の研究でこの時に学んだ基礎知識を用いて建築物内部の温熱環境をシミュレーションしています。まさか中学校の理科や高校の物理の授業で学んできた電気回路の知見を自身の生活や仕事に応用できる日が来るとは思いもしませんでした。システムをモデル化して捉え、分析し、統合的にデザインすることの面白さを学びました。
座学だけでなく、演習や実験も非常に充実していたのを覚えています。三年の秋学期には「システムデザイン工学演習」という科目が設置されていて、これまで学んだ知見をフル動員することが求められます。この時、私は友人達と自律走行車を製作しました。車体の設計から走行プログラムを組んで実際に走行を行うところまで行い、チーム一丸となって知恵を出し合いながら課題に取り組む醍醐味を知りました。
研究の道へ
研究室はサステナブル建築・都市のあり方を追求する伊香賀俊治研究室を選択しました。地球環境に悪影響を与えずに人々が快適で健康的に豊かな生活を送ることができる建築・都市空間を追い求めるという方針に強く共感しました。伊香賀先生は一体いつ寝ているのだろうかと不思議になるくらいご多忙な合間をぬって、時に優しく、時に厳しく指導してくださいました。
研究は本当に楽しく、建築/都市システムの構造や働きを把握するために実測や実験、統計調査やシミュレーションなどに日々明け暮れました。通学時間を少しでも削って大学にいられるように簡易折り畳みベッドを購入して研究室に持ち込んだ時は周囲にも呆れられましたが、それくらい充実した研究室生活でした。この時の経験がなければ今の自分はありません。
現在は法政大学デザイン工学部建築学科の教員として研究教育活動を行っています。近年注力しているのは、経済、社会、環境面の諸問題を統合的に解決するきっかけになり得ると期待されている「持続可能な開発目標SDGs(Sustainable Development Goals)」に関する研究です。今後も大学、大学院時代に学んだ知見を活かして次世代のあるべき建築・都市像について追究していきたいと思っています。
おわりに
慶應義塾には高等学校入学から大学院後期博士課程を修了するまでの12年間在籍し、非常に楽しく充実した塾生生活を送らせていただきました。改めて思い返してみると、多様な人材が集まって議論する場が用意されていたり、新しいことにチャレンジしたり、自己研鑽するには理想的な環境であったと思います。以上は私の個人的な経験談ですが、学問や研究の醍醐味、理系大学生/大学院生の生活などをイメージするきっかけになれば幸いです。