慶應義塾

[第164回]徳重 剛

登場者プロフィール

  • プロフィール

    徳重剛(とくしげごう) (慶應義塾高等学校出身) 1997年3月 慶應義塾大学理工学部管理工学科卒業 1999年3月 慶應義塾大学大学院理工学研究科管理工学専攻修士課程修了 1999年4月 株式会社住友銀行入行 2005年1月 株式会社ビーツービーネット参画(取締役事業企画担当) 2010年8月 株式会社野村総合研究所入社 2019年4月 同社コーポレートイノベーションコンサルティング部 ビジネスイノベーショングループマネージャー 現在に至る

    プロフィール

    徳重剛(とくしげごう) (慶應義塾高等学校出身) 1997年3月 慶應義塾大学理工学部管理工学科卒業 1999年3月 慶應義塾大学大学院理工学研究科管理工学専攻修士課程修了 1999年4月 株式会社住友銀行入行 2005年1月 株式会社ビーツービーネット参画(取締役事業企画担当) 2010年8月 株式会社野村総合研究所入社 2019年4月 同社コーポレートイノベーションコンサルティング部 ビジネスイノベーショングループマネージャー 現在に至る

社会と算数が好き!

慶應義塾高等学校に通っていた私は、「成績は医学部以外だったらどの学部でも行けるかな」「数学好きだから理工学部行っちゃおうかな」「でも物理と化学はそんなに好きじゃないしな」「社会と算数が好きだから、商学部とか経済学部とかもいいかも」「SFC(湘南藤沢キャンパス)は面白そうだけど、まだできたばかりでよくわからないな」、、、世間の大学受験生から見れば、到底許されない贅沢、かつ生ぬるく真剣に考えられていない、悩みとも言えない思いを持っておりました。そんな中、理工学部の進学説明会で、管理工学科の福川先生の話を聞いたとき、生ぬるい私にちょっとした力が働きました。社会全体をシステムとして捉え、科学的アプローチで解決策を導き出す学問「管理工学」!社会と算数が好きだった私にはたまらないインプット!管理工学科に行きたい!だから理工学部に進学しよう!

大学1年のクラス写真(私は右の青いシャツ)

問題は何!?

4年生への進級時に、私は中村善太郎先生の研究室(IE研究室)に所属しました。そのまま修士に進んだので、3年間を中村研でそれはそれは濃い時間を過ごしました。中村先生には毎日のように「問題は何!?」と執拗に問われました。それは小さな一部分の課題解決や、授業で習った手法を使うことに終始してしまう我々学生に「本質」を考えさせるきっかけを与え続けてくださったのである、と今頃になって理解しています。他の研究室の同級生は習ったばかりの統計手法やOR手法をこねくり回していて、当時の私はそれが少しかっこいいな、とも思っていました。私は修士の研究過程で、機械部品の組み立て工程における、部品の特性と組立性(組み立てやすさ)の関係を分類するために数量化3類の統計手法を使ってみたことがありました。その結果、「形状が変わりやすいものは慎重に扱うため、組み付けに時間がかかる」「組み付け先の穴がガイド治具の役割を果たす場合、組み付けは簡単」、、など、面倒くさい統計手法をこねくり回すまでもない、当たり前の結果ばかりが出たのでした。数日徹夜して数量化3類を勉強して、プログラムを書いて、データを回して、この結果を中村先生に報告すると先生はニヤニヤしながら「徳重君は統計手法とプログラミングと統計のバカバカしさを一気に勉強できたね」と。それから私は完全に中村先生の虜です。

手法はあくまでも手段であって、問題の本質を突き詰めれば、その解決法は授業で習ったかっこいい手段がなじまないケースも多分にあるのです。

問題の本質を(先生に怒られながら、、笑)突き詰めて、その問題解決に最適な手段の開発までもやってしまう、中村研はそういうところでした。私はそんな中村研にいることが誇らしい!当時中村研の博士課程に在籍されていた稲田先生に酒席でそんな話をしたこともありました。

手触り感

中村先生に叩き込まれた概念で大切なものがもう1つあります。「現場主義」。真実はすべて現場にかくされている。私は今、「手触り感」という言葉に少し換えて、日々の活動を行なっています。私は修士課程修了後、住友銀行(現・三井住友銀行)、医療ITベンチャーCOOを経て、現在は野村総合研究所でコンサルタントとして仕事をしています。社会人20年の間、一貫して新規事業開発、イノベーションという領域の仕事をしていますが、そこで一貫して大切にしているのが「手触り感」です。「手触り感」を失った事業開発なんて、空虚ですし、事業開発しているフリでしかありません。フットワークよく現場に足を運び、現場の人と「人間としての交流」をして、「心の息遣い」を感じ、、、それを続けることで事業ができていったり、イノベーションが起こったりする、私はそう信じています。事業は、戦略的に勝ち筋であることと同じかそれ以上に、そのとき、そこに、その人がいたからできてしまうことが多いのです。であれば、その状況を増やし、打席数を増やすことがヒットやホームランにつながるはず。

未来がいろいろと不透明な世の中を、人間がワクワクと生きていくことができるような仕組み、きっかけづくりを経営コンサルタントという立場で行っていこうとしています。キーワードは「手触り感」、そしてその原点は「現場主義」です。すべては矢上キャンパスから始まっていました。学生時代は、専門領域の技術を学ぶことはもちろんですが、物事、世の中の捉え方や考え方、そして世の中との対峙の仕方などの礎を築くべき時間だと思っています。今、振り返ってみると学生時代にそういう経験ができた私は、正直ラッキーだと思います。