慶應義塾

[第61回] 木戸 良彦

登場者プロフィール

  • 木戸 良彦(きど よしひこ)

    (慶應義塾高等学校出身) 2000年3月 慶應義塾大学理工学部システムデザイン工学科 卒業 藤原賞受賞 2002年3月 慶應義塾大学大学院理工学研究科修士課程修了 2002年4月 木戸特許事務所入所 2003年11月 弁理士登録 2007年9月 法政大学工学部兼任講師就任 2008年9月 東京理科大学専門職大学院非常勤講師就任

    木戸 良彦(きど よしひこ)

    (慶應義塾高等学校出身) 2000年3月 慶應義塾大学理工学部システムデザイン工学科 卒業 藤原賞受賞 2002年3月 慶應義塾大学大学院理工学研究科修士課程修了 2002年4月 木戸特許事務所入所 2003年11月 弁理士登録 2007年9月 法政大学工学部兼任講師就任 2008年9月 東京理科大学専門職大学院非常勤講師就任

私は現在、弁理士という仕事をしていて、主に「特許」や「商標」等の知的財産権の権利化業務を中心に行っています。特許の申請書類をご覧になったことがある方はお分かりいただけると思いますが、非常に難解な言葉を駆使しており、いわゆるお堅い文章となっております。ぜひ皆さんに慶應義塾の理工学部の素晴らしさ・面白さを伝えられたらと思っていますが、なにぶんそんなお堅い書類の作成に慣れてしまっているので、良い文章となっているかは・・・。

【学生時代】

普通部(中学校)から慶應義塾で学ばせていただきました私は、中高6年間、大学4年間、大学院2年間の合計12年間もの間「日吉」駅に通ったことになります。大学院修了の年齢が24歳ですから、その時点で人生の半分を日吉で過ごしたことになります。日吉は学生の町ですから、ご多分に漏れず、安くて美味しいレストラン・定食屋が豊富にあります。12年間通いましたので、かなりのお店に足を運びましたが、どれもレベルが高いのです。実は、今でもたまの土曜日に、そのときの味が恋しくなり通うこともあります。慶應義塾理工学部に通って、修士課程まで進めば、6年間この環境にいれるということは、一つの魅力ではないでしょうか。(かなり下らない情報ですが、過去の「塾員来往」の執筆者が慶應義塾の他の魅力を十分に伝えていただいていると思いますので、私なりの視点として記載させていただきました。)

さて、私が学生時代に力を入れていたものを一つ紹介させていただきます。それは、前述の母校である普通部の水泳学校をコーチとしてお手伝いさせていただいたことです。高校生から60歳を超えるOBコーチまで約50名のコーチが、200名近い生徒に対して、4泊5日ほど千葉県館山の海で水泳指導をしておりました。普通部は男子校ですので、もちろんOBも男性です。したがって、200名前後の男性で埋め尽くされた砂浜は、もはや美しさの欠片もございません・・・。その上、翌日の運営の準備に追われてほとんど眠れないし、生徒とともに何キロも一緒に泳ぐ上に、かなりの日焼けをして、まさに疲労困憊の日々が続きます。

しかしながら、普通部の先生方とともに、先輩が後輩に水泳を教え上達していき、水泳学校を盛り上げていく姿は、まさに慶應義塾の「社中協力」の精神そのものでした。

画像

普通部の先生と水泳学校のコーチの仲間たちと。

もちろん、勉強も少しは一生懸命やっていました。私はシステムデザイン工学科の一期生でした。システムデザイン工学科の元年ということもあって、先生方も気合が入っておりましたので、実験レポートも大変、期末試験の過去問もないといった状況で、がんばって勉強していた記憶も多少あります。思い返せば、システムデザイン工学科ほど生徒と先生の交流が充実していた学科はないだろうなと感じており、システムデザイン工学科を選択して良かったなと思っています。

【研究室時代】

大学4年生以降は各研究室に配属され、卒業研究を行うわけですが、私はシステムデザイン工学科の長島・長坂研究室で熱物性の測定技術の研究を行っていました。具体的には、液体の粘性率測定をレーザを用いて非接触で行うというのが研究テーマでしたが、熱物性に関していえば、システムデザイン工学科で学び始めた頃は正直あまり興味のある分野ではありませんでした。しかしながら、研究室の所属を決めなければならない頃には興味がだんだんと湧いてきて、研究をはじめてみてその魅力をもっと感じることができました。

卒業論文、修士論文に向けて、何度も徹夜で実験したこともありましたが、先生の人柄や研究室の雰囲気・環境といったものも最高でしたし、学会発表等は貴重な経験でした。当時は辛いと思った時期もありましたが、今思えば、あまり苦じゃなかったのではと思っています。慶應義塾の理工学部には、多くの研究室があり、色々なテーマにチャレンジすることができます。私も入学当初イメージしていた内容と異なる分野の研究室を選んだわけですが、非常に満足しております。このように豊富な選択肢のあるのも魅力の一つだといえます。

【現在】

現在は、特許事務所における業務を中心に行っていますが、日々新しい発明・技術に触れる機会の多い弁理士としては、比較的早く技術の理解ができるという点では、理工学部で学んできたことが個人的に役立っております。これは、システムデザイン工学科や研究室で学んできた最大のことが、「物事に対する取り組み方」だからだと感じております。

私は、学生時代で学んできたことを例えるなら、コンピュータのOSのようなものだと思っています。2002年に大学院を修了し、「KEIO 2002」というOSを積んでいるからこそ、社会に出て様々なアプリケーションソフトがうまく起動していけているのだと思っています。なお、最近になって、大学で知的財産権の講義を教える機会に恵まれました。若い学生を相手に教えることの難しさを痛感し、システムデザイン工学科の先生方は、私達を指導するのに本当に大変だったんだろうなと、今頃になって反省しております・・・。

慶應義塾理工学部で学んできたことを少しでも社会に還元できるように、これからも頑張っていければと思っております。