共同研究・競争的資金等の研究課題
亀谷 優樹
MOF内部空間でのテンプレート重合による高分子の精密一次構造制御
- 提供機関
- :日本学術振興会
- 制度名
- :科学研究費助成事業
- 研究機関
- :日本学術振興会
- 研究者
- :亀谷 優樹
- 研究種目
- :研究活動スタート支援
本研究では多孔性金属錯体(MOF)の内部で高分子鎖に沿った重合,すなわちテンプレート重合を行うことで,これまでに困難とされてきた高分子の構造制御を実現し,その構造に特異的な性質を解明することを目的とした。今年度は,二つの重合性部位をもつ架橋剤モノマーの単独重合,あるいはモノマーとの共重合を適切なMOFの細孔内部で行うと架橋重合を制御でき,複数の高分子鎖が平行に架橋された高分子を合成できることを明らかにした。 ポリスチレン鎖二本を包摂できる細孔を持つMOFの内部で,スチレンを架橋剤エチレングリコールジメタクリレート(EDMA)と共に架橋重合し,平行に並んだポリスチレン二本が複数点で架橋された高分子を合成した。粘度計つきGPC測定から作成したMark Houwink Sakurada plotから,生成物は線状高分子と同様の形状でコンパクトなサイズをとることが明らかとなり,二重鎖構造の形成が支持された。また,得られた架橋高分子の物性測定も行った。DSC測定では非架橋の線形高分子と比べて高いガラス転移温度(Tg)を示し,Tgは架橋率の上昇とともに上昇した。 非対称な二重鎖高分子の形成に向け,ビニルメタクリレート(VMA)のラジカル重合を検討した。VMAは反応性の高いメタクリレートと反応性の低いビニルエステルからなるジビニルモノマーであるため,このモノマーをMOF細孔で重合すると,初めはメタクリレートの重合が優先的におこり,続いて鎖に沿って並んだビニルエステルのテンプレート重合が進行して非対称な二重鎖高分子が得られると考えられる。そこで,さまざまなMOFの細孔でVMAの重合挙動を調べた。用いたMOFによっては高い反応率で重合が進行し,可溶部と不溶部にわけてNMRによる構造解析を行ったところ,一部ラダー構造の形成が示唆された。
一次元細孔での重合制御による二重鎖ブロックコポリマーの合成
- 提供機関
- :日本学術振興会
- 制度名
- :科学研究費助成事業
- 研究機関
- :日本学術振興会
- 研究者
- :亀谷 優樹
- 研究種目
- :若手研究
ブロックコポリマーは二種類以上のポリマーをつなぎ合わせたポリマーであり、ミクロ相分離をはじめとする様々な特性・機能を示す。リビング重合により、これまで様々なブロックコポリマーの構造設計が報告されてきたが、合成の都合上、鎖が末端でつながった形式に限定的であった。そこで本研究では、異種ポリマー鎖が平行に並んで架橋された新しい形式のブロックコポリマー、「二重鎖ブロックコポリマー」の合成と物性探求を目的とした。 溶液中での反応ではポリマー鎖が自由に運動するため、二種類のポリマーを平行に束ねる形に架橋を制御するのは難しく、特別な分子設計が必要となってしまう。そこで本研究では、MOFの一次元細孔を反応場として鎖の運動を制限するアプローチで、二重鎖ブロックコポリマーの合成を検討した。 側鎖にモノマーがついたポリマーを合成し、コモノマーと共にMOFの一次元細孔に導入した。ポリマーは一次元細孔にそって引き伸ばされた形態をとり、その隙間がコモノマーで埋められていると考えられる。この状態でラジカル重合を行なったところ、側鎖モノマーとコモノマーの共重合が進行し、二種類の鎖がつながったポリマーが得られた。得られたポリマーの一次元NOESY測定では、異種鎖間で負のNOE効果が観測されたことから、二種類のポリマー鎖が非常に近接していることが確認された。なお、通常のブロックコポリマーでは同条件でNOE効果は観測されなかった。今後、さらなる構造解析を進めつつ、二重鎖ブロックコポリマーの物性評価も行っていく方針である。
戦略的モノマー設計による配列制御ポリマーの自在合成と配列機能の創出
- 提供機関
- :日本学術振興会
- 制度名
- :科学研究費助成事業
- 研究機関
- :日本学術振興会
- 研究者
- :亀谷 優樹
- 研究種目
- :特別研究員奨励費
今年度は,サッカリンメタクリルアミド(SacM)による配列制御について研究を進めた。SacMはN,N'二置換メタクリルアミドであり単独重合性を示さなかった一方で、スチレン、アルキルジエンジエンとの共重合では両モノマーが等速度で消費され、交互共重合の進行が示唆された。SacM=M1,スチレン=M2としてモノマー反応性比を求めるとr1=0.040,r2=0.045と0に近い値となり、高い交互性が示された。また、メタクリレートやアクリルアミドなど他のモノマーとの共重合は進行しなかった。 得られた交互配列ポリマーとアルコールを反応させSacMユニットを対応するメタクリレートユニットへ変換した。SacMモノマーのサッカリンアミド結合はアルコールや水に安定である一方、反応後のSacMユニットのサッカリンアミドはこれらに対して高い反応性を示し、ほぼ定量的に対応するメタクリレートユニットへと変換できた。この反応性の違いは低分子のモデル反応やDFT計算からも確認した。アルコールの種類を変えることでメタクリレートに様々な側鎖を導入でき、7種類の交互ポリマーを合成することができた。 こうして合成したメタクリレートとスチレンの交互配列ポリマーの熱物性を、対応する統計的ランダム配列のポリマーと比較した。メチルメタクリレートなど小さな側鎖のメタクリレートの場合、交互ポリマーの方が低いガラス転移温度(Tg)を示した。このTgの違いについてモデル化合物の主鎖の回転ポテンシャルから考察した。