共同研究・競争的資金等の研究課題
松本 英彦
新興国における通貨危機に対する最適な事前・事後政策の理論的分析
- 提供機関
- :日本学術振興会
- 制度名
- :科学研究費助成事業
- 研究機関
- :日本学術振興会
- 研究者
- :松本 英彦
- 研究種目
- :若手研究
本研究は、アジアや中南米の新興国で繰り返し起きている、大規模な資本流出を伴う経済危機・通貨危機に対する最適な政策について、主に理論的な研究を行うことである。 申請時の実施計画で述べた研究案①「金融政策とマクロプルーデンス政策の分析」については、以下の結果が得られた。まず、大規模な資本流出によって為替レートに減価圧力がかかる時には、金融政策を引き締めることによって減価をある程度防ぐことができる。しかし、こうした政策介入が事前に予期される場合には、民間の経済主体はそれを見越して事前に海外からの外貨建ての借入を増やしてしまうので、実際に危機が起きた時の政策介入の効果は限定的となる。次に、金融政策とマクロプルーデンス政策の両方を用いる場合には、マクロプルーデンス政策によって事前に民間主体が借入を増やすことを抑えることができる。このため、危機が起きた時の金融政策による介入はより効果的になる。結果として、事前のマクロプルーデンス政策と事後的な金融政策の引き締めを組み合わせることによって、資本流出を伴う経済危機を効果的に和らげることが可能になることが示された。 直近では、いまだ収まらないコロナウィルスやウクライナの紛争によって、国際情勢の不確実性は非常に高まっており、国際的な資本移動も急激な動きを見せている。このような時代にあって、国際資本移動に最も影響を受けやすい新興国の経済を安定化させる政策について理解を深める本研究の意義は、さらに高まっていると考えられる。 この研究結果は、日本銀行・金融研究所のディスカッションペーパーとして2021年5月に公表したほか、10月にはCentral Bank Macroeconomic Modelling WorkshopとEconometric Society Latin American Meetingという国際学会で発表し、学術誌に投稿した。