共同研究・競争的資金等の研究課題
佐野 友彦
不均一な弾性体の力学特性の研究に基づくメカニカルメタマテリアルの設計原理の解明
- 提供機関
- :文部科学省・日本学術振興会
- 制度名
- :科学研究費助成事業
- 研究機関
- :文部科学省・日本学術振興会
- 担当区分
- :研究代表者
- 研究者
- :佐野 友彦
- 研究種目
- :若手研究
- 研究費種別
- :補助金
力学 / 幾何学 / 複雑系 / ソフトマター / Crumpled paper / ソフトマター物理 / 構造力学
複雑な内部自由度をもつ構造物の力学応答をデザインする指針を明らかにする。一般に、自然な構造物では通常起こり得ない特異な力学特性を示す材料は、メカニカルメタマテリアルと呼ばれる。構造を圧縮すると通常は圧縮方向に垂直にふくらむ(ポアソン比が正)が、逆に垂直にも縮むもの(ポアソン比が負)が例として挙げられる。メカニカルメタマテリアルは対称性の高い内部構造を用いて開発されており、その非対称性や乱れが全体に与える影響は明らかにされていない。本研究は構造の乱れと不均一性がメカニカルメタマテリアルに与える影響を系統的に考察することにより、力学応答を自在にデザインするための指針を解明する。 本研究はくしゃくしゃに丸めた紙に代表される内部構造を持つ弾性材料の力学特性を明らかにすることを目的にしている。初年度は、丸めた紙の皺を系統的に生成する方法を確立し、皺が発生する過程での力学的性質を実験的に明らかにした。同じ直径の金属柱を二つ用意し、一つをリニアステージに取り付ける。そしてもう一つをロードセルと共に光学定盤に固定する。金属柱に紙(Mylar sheet)を巻きつけ、巻きつけた紙を金属柱より少し大きな直径をもつアクリル円筒内に入れ、紙のもう一端を光学定盤に固定した金属柱に固定する。リニアステージの変位制御により、巻きつけた紙に対して圧縮と伸張を繰り返し、その際に発生する力を変位の関数として測定した。この繰り返しにより系統的に皺を発生することができる。ロードセルで測定した力変位曲線の結果から、皺を発生させる力にも先行研究で知られている「皺の全長」と圧縮伸張回数の関係に類似した関係式が実験的に得られた。紙に皺を発生させるという一見乱雑な過程にも普遍的な数理構造があることが示唆された。研究成果は未だ公表に至っていないが、共同研究者との議論を重ね解析を続けている。またアメリカ物理学会に参加し関連研究の情報収集を行なった。 内部構造を持つ弾性材料の簡単な問題として、円筒に切れ込みを入れたシェル構造体の力学特性を定量的にあきらかにした。切れ込みの入った円筒は、切れ込みのない円筒の場合と比べ、変形の緩和長が大きくなることがわかった。切り紙のような構造デザインを考える際の指針になりうると考えている。
ソフトロボットのための高解像度磁化パターニング
- 提供機関
- :日本学術振興会
- 制度名
- :科学研究費助成事業
- 研究機関
- :日本学術振興会
- 研究者
- :津守 不二夫, 佐野 友彦, 佐野 友彦
- 研究種目
- :基盤研究(A)
ソフトロボティクス / 磁性粒子 / ゲル / 磁場駆動 / 柔軟材料
ソフトロボティクス分野の発展とともに柔軟な駆動構造に注目が集まっている.その中でも外部からの磁場により駆動する磁性柔軟材料は,配線なしに空間を介してエネルギー供給可能であり複雑な動きを生み出すことができるため,体内で駆動可能な医療ロボットへの応用等が期待されている.本研究では微細化可能な高い解像度および設計自由度を有する駆動構造作製プロセスを開発する.同時に,幾何学的に非線形な3次元変形を数理的に予測可能な理論的枠組みを構築し,設計手法を完成させる.最終的に,生体の繊毛群挙動や軟体動物腹足類の這行運動を例に取り上げ,柔軟な駆動体の大変形を磁場によって精緻に制御可能であることを実証する. 2024年度の研究では,シリコーンゴムをベースとした磁場駆動構造において,繊毛群の協調運動を実現しました.また,pneumaticな変形とのハイブリッド駆動方式を新たに提案しました.さらに,ゲル材料の駆動に関する研究では磁場駆動以外の変形についても検討しつつ,ゲル材料の磁化パターニングに関する研究も遂行しました.レーザを用いた新しいプロセスを改良しすることで,50マイクロメートル程度の高い解像度を達成しました.さらに,ゲルとレジンとの接着技術も確立しました.これらの成果により,柔軟な駆動構造の設計と制御に関する知見が大きく進展しました. 今後,これらの成果を基盤とし,さらなる高解像度化と人工繊毛群の応用研究を進めていきます.具体的にはシリコーンゴムをベースとした磁場駆動構造の解像度をさらに向上させ,より精密な動作制御を実現することを目指します.ゲル材料の磁化パターニング技術についても,解像度の向上とプロセスの最適化を図ります,人工繊毛群への応用研究を進めます. 2024年度の研究では,シリコーンゴムをベースとした磁場駆動構造において,繊毛群の協調運動を実現することに成功しました.この成果はシリコーンゴムの柔軟性と磁場による駆動の特性を活かし,複雑な動きを精密に制御することが可能であることを示しています.さらに,オプショナルな研究としてpneumaticな駆動様式とのハイブリッド駆動法を新たに提案しました.このハイブリッド方式は磁場駆動と空気圧駆動の両方の利点を組み合わせることで,より多様かつ自由度の高いな動作を実現できます. また,ゲル材料の駆動に関する研究では,磁場駆動以外の変形についても検討しました.これにより,ゲル材料の多様な応用可能性が広がり,より柔軟で適応性の高い駆動構造の設計が可能となりました.特にゲル材料の磁化パターニングに関する研究ではレーザを用いた新しいプロセスを改良し,50マイクロメートル程度の高い磁化パターニング解像度を達成しました.この高解像度の磁化パターニング技術は,微細な構造を精密に制御するための重要なステップとなります. さらに,ゲルとレジンとの接着技術も確立しました.この技術は,異なる材料間の強固な接着を可能にし,今後の多様な駆動製造の作製において重要な役割を果たします.これらの成果により,柔軟な駆動構造の設計と制御に関する知見が大きく進展し,特にバイオ流体系への応用可能性がさらに広がりました. 今後の計画では,昨年度の成果を基盤とし,さらなる高解像度化を目指すとともに人工繊毛群の応用研究を進めていく予定です.具体的には,磁場駆動構造の解像度をさらに向上させ,より精密な動作制御を実現することを目指します.これにより,マイクロチップ上でのバイオ系流体研究分野などの応用研究を進めます. また,昨年度に提案したpneumaticな変形とのハイブリッド駆動方式についても,さらなる検証と改良を行います.このハイブリッド方式は磁場駆動と空気圧駆動の利点を組み合わせることでより多様な動作を実現できるため,応用範囲を広げることに期待できます. さらに,ゲル材料の磁化パターニング技術についても解像度の向上とプロセスの最適化を図ります.特に50マイクロメートル以下の微細な構造を精密に制御するための技術開発を進め,より高度な駆動構造の設計を目指します. 人工繊毛群の応用研究についても,生体模倣技術の発展に寄与することを目指します.柔軟な駆動構造の設計と制御に関する知見がさらに深まり,バイオメディカル分野での新たな応用の可能性を広げることを目指します.
高速計算と精密実験がひもとく幾何学材料の相転移機構の解明
- 提供機関
- :科学技術振興機構
- 研究機関
- :科学技術振興機構
- 研究者
- :佐野 友彦
- 研究種目
- :戦略的な研究開発の推進/創発的研究支援事業
モノの変形を記述する「力学」の礎が築かれて以来、力学は様々な分野に派生しています。ここ20年では構造の不安定性を既知のものとし、逆に新たな力学的機能が発現したとみなすパラダイムシフトを経て、力学は新たな展開を見せています。私は薄い構造物のしなやかさと幾何学に着目し、構造同士がお互いに力を及ぼし合うことにより創発される新奇な力応答のメカニズムを精密実験、理論、数値計算を組み合わせて明らかにすることを目指します。