
金井 昭夫
カナイ アキオ
Kanai, Akio
政策・メディア研究科/名誉教授基本情報
専門
分子生物学、分子進化学
関連リンク
研究者番号
60260329
研究室情報
〒997-0017
教員からのメッセージ
研究紹介: 我々は、主にRNAの分子生物学と分子進化学の研究を進めています。代表的成果として、機能性RNAの系統的な発見があります。例えば、マウス完全長cDNAクローンの解析から、哺乳類に長鎖ノンコーディングRNAが多量に存在することを世界で初めて示しました (Genome Res. 2003、理研との共同研究)。その後、大腸菌の低分子RNA (BMC Genomics 2011)や、生きた化石と呼ばれるカブトエビからマイクロRNA (RNA 2015)の新しい分子種を見出し、また、人工低分子RNAによる大腸菌増殖の抑制を報告しています (RNA Biol. 2017)。さらに、ゲノム上を動く遺伝子であるグループIIイントロンの進化を体系化しました (Front. Microbiol. 2022)。これらの新しい機能性RNAの研究と並行しながら、2006年から約10年をかけて、様々な形状で分断されたtRNA遺伝子やtRNA様遺伝子の発見に貢献しました (Mol. Biol. Evol. 2008; PNAS. 2009; Nucleic Acids Res. 2012; Mol. Biol. Evol. 2016)。現在、世界で知られている分断化されたtRNA遺伝子の形状の約半分は我々が提唱したことになります。2025年には、抗がん剤が癌細胞を死滅させる時に、ロイシンtRNA (UAA)が分解されることに加え、同tRNAに由来するtRNA断片が重要な働きをすることを見出しました (Nucleic Acids Res. 2025)。一方で、CPRバクテリアと呼ばれる極小のバクテリアのリボソームが小型であること(RNA 2022)、同バクテリアに数多くのrRNAイントロンがあることも報告しています (J. Bact. 2024)。さらに、RNA分子の制御に関わる酵素群の性状やその分子進化についても研究してきました (RNA 2009; Nucleic Acids Res. 2011; Genome Biol. Evol. 2019; J. Mol. Evol. 2023 & 2025)。ここ10年は特に「環境」と「情報」というタームを意識して、研究の方向性を決めています (Appl. Environ. Microbiol. 2024; ISME J. 2024)。 学部や大学院学生の教育について: RNA研究プロジェクトが目指すのは考えられる人材の創出です。これを学生時代にきちんと学ぶ必要があります。大切なのは、何を研究するのか、困った時にどうするか、どう展開していくのかということをきちんと考えられるようになることです。RNA研究グループ内では、学生の各々のテーマを通して、他のグループの大学院生ならば、私の大学院の授業である「先端分子細胞生物学」の演習を通して、このことに言及したいと思っています。すなわち、学生時代のテーマに縛られずに研究を展開していけるようにすることが重要であると判断しています。
略歴
プロフィール
略歴:1985年 早稲田大学教育学部 理学科生物学専修 卒業。87年 同大学院 理工学研究科 修士課程 物理学及び応用物理学専攻 修了。90年 東京大学大学院 薬学系研究科 博士課程 生命薬学専攻 修了。90年 米国国立衛生研究所 (米国NIH)博士訪問研究員、92年 東京都臨床医学総合研究所 研究員、96年 科学技術振興事業団 ERATOプロジェクト グループリーダー、技術参事を経て、2001年より慶應義塾大学 先端生命科学研究所 助教授。2006年 慶應義塾大学 先端生命科学研究所 教授 (同 環境情報学部 教授)。2022年より慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 教授 (同 先端生命科学研究所 教授、同 環境情報学部 教授を兼任)。2026年3月に定年退職、4月から慶應義塾大学 名誉教授。
総合紹介
遺伝情報の流れとしてDNA→RNA→蛋白質(セントラルドグマ)が提唱されたのは約70年も前のことです。この考え方は基本軸として揺るがないでしょうが、1970-80年代における、逆転写酵素や酵素活性を有したRNA (リボザイム)の発見等で、その修正を要求されてきました。また、21世紀になってから極めて沢山のノンコーディングRNAが発見されたことで、セントラルドグマにおけるRNA分子そのものの働きが無視できない状況になってきました。本プロジェクトでは、遺伝子制御に関わる機能性RNAやRNA結合蛋白質およびRNA関連酵素に焦点をあて、RNAレベルで制御される新しいメカニズムの解明を目的とします。またこの研究を通して、遺伝情報制御および成立過程に関わる分子進化的な考察を行います。さらに、これらの知見を基盤として、生命の起源、進化、遺伝子制御について考察していきます。 参考文献 (2025): https://link.springer.com/book/10.1007/978-3-032-03300-0
経歴
慶應義塾大学 名誉教授
慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 教授 システム生物学専攻
慶應義塾大学 教授(環境情報学部・先端生命科学研究所)
研究
研究キーワード
- アーキア (古細菌)、バクテリア、RNAウイルス
- システム生物学、合成生物学、ゲノム生物学
- ノンコーディングRNA、転移RNA、リボソームRNA、RNA関連酵素
- RNAプロセシング、前駆体tRNAスプライシング、RNA連結酵素、RNA分解酵素
- 遺伝暗号、分子進化
研究分野
進化生物学 / 分子進化学
分子生物学 / RNAの分子生物学
ゲノム生物学 / 遺伝子の進化
研究テーマ
(1) RNA-Binding Proteins & RNA-Related Enzymes, (2) Non-coding RNAs, (3) Origin of Life, (4) Molecular Evolution, (5) Microbiomes of Extreme Environments, (6) Systems Biology of Gene Regulation, (7) Evolution of RNA viruses