実験開始から一年をかけて動脈瘤モデルの構築および動脈瘤モデルの評価を行なった。動脈瘤モデルは当初ウサギを用いることを考えていたが、管理のしやすさと、頭蓋内での動脈瘤モデルの方が生理的なモデルであると考えラットを用いた頭蓋内動脈瘤モデルに変更した。過去に報告のあったモデル(Surg Neurol 11: 243-246, 1979)を用いて片側腎動脈結紮及び総頸動脈結紮による血行力学的負荷及びbeta-aminopropionitrile (BAPN)及び高塩分食を負荷を行なうことで動脈瘤を形成するモデルを使用した。上記、処置後2週間程度で弾性板の破綻などの動脈瘤形成の初期段階が確認された。 また最終的な動脈瘤の治療を考える上で、動脈瘤形成や成長の病態や過程を明らかにすることは必須と思われた。形態的な評価や血行力学的な負荷についても検討が必要と考え、Computed flow dynamics(CFD)を用いた解析を追加することを検討した。そのためCFDの解析に耐えうるラットにおける微細な造影CT撮影プロトコルの確立を試みた。 ラットに腹腔麻酔を行い、尾静脈から造影剤を注入し、頭蓋内の撮影を行なった。造影剤の注入量や注入速度、撮影タイミングを工夫することでCFDの解析に耐えうる画像を取得できる撮影プロトコルを確立した。造影CT撮影によりラットの頭蓋内動脈・静脈の解剖構造が詳細に観察できるようになった。従来報告されていたラットの海綿静脈洞の解剖において、今回観察された造影CTでの観察結果の間に齟齬があることが副次的に明らかになったため、この内容をJ Vet Anat 2024;17:19-29にて報告を行なった。また今後ある程度以上の瘤形成がされれば造影CTによりラットの解剖を行わなず動脈や瘤の形態変化を確認できるようになった。