共同研究・競争的資金等の研究課題
サンペトラ, オルテア
常在細菌叢を介した悪性脳腫瘍制御機構の解明
- 担当区分
- :研究代表者
- 研究者
- :サンペトラ, オルテア
- 研究種目
- :基盤研究(C)
- 研究費種別
- :補助金
脳腫瘍幹細胞の表現型可塑性及びフェノタイプ・スイッチの実態解明と克服方法の確立
- 制度名
- :科学研究費助成事業
- 研究者
- :サンペトラ オルテア
- 研究種目
- :基盤研究(C)
脳腫瘍 / 幹細胞 / 可塑性 / 免疫応答 / 癌幹細胞 / 悪性脳腫瘍 / 表現型可塑性
細胞の表現型の可塑性は細胞がゲノムの変化なく表現型のみを変化させる能力として理解されている。可塑性は個体発生において重要な役割を果たすことが知られているが、近年、癌細胞、特に癌幹細胞が環境の変化に適応する過程においても注目されている。しかし、腫瘍組織における表現型可塑性の実態が充分に解明されておらず、有効な阻害方法も確立されていない。 本研究では脳腫瘍幹細胞の表現型可塑性を誘導する微小環境因子を広く探索し、明らかにする。さらに、その制御因子を同定し、フェノタイプ・スイッチを予防あるいは阻害することで脳腫瘍幹細胞の治療抵抗性の克服を目指す。 細胞の表現型の可塑性は細胞がゲノムの変化なく表現型のみを変化させる能力として理解されている。可塑性は個体発生において重要な役割を果たすことが知られているが、近年、癌細胞、特に癌幹細胞が環境の変化に適応する過程においても注目されている。しかし、腫瘍組織における表現型可塑性の実態が充分に解明されておらず、有効な阻害方法も確立されていない。申請者はこれまでの研究で、脳腫瘍幹細胞が代謝可塑性を発揮することで酸素や糖の不足に可逆的な適応反応を示し、そして、その際の表現型の変化が薬剤抵抗性を引き起こすことを見出した。 本研究では脳腫瘍幹細胞の表現型可塑性を誘導する微小環境因子を広く探索し、明らかにすることを目指し、2022年度はまず3つの評価系を確立した。 1.培養脳切片を用いたex vivo評価系の確立:正常脳並びに腫瘍を移植した脳より脳切片を作製、培養した。Iba1, CX3CR1等に対する抗体を用いたイメージングにより腫瘍細胞と脳内常在型免疫細胞の相互作用を可視化した。また、培養条件を変えることによって微小環境を変化させた上で切片より線条体、脳表などの部位ごとに組織を摘出し、フラクス・アナライザーで代謝を測定するアッセイ系を確立した。 2.免疫細胞の評価系の確立:脳切片ではマイクログリア、星状細胞など、脳内に存在する免疫応答関連細胞の解析が可能であるが、血流が途絶えているため、T細胞やB細胞などの全身免疫応答関連細胞の解析は困難である。末梢免疫系の影響を検証するため、正常脳並びに腫瘍を移植した脳の免疫細胞のみを単離し、10-15種類の細胞をフローサイトメトリーによって同時に解析することで微小環境の詳細な評価を行うことに成功した。 3.免疫応答が異なる腫瘍より3種類の脳腫瘍幹細胞を新しく樹立し、その遺伝子発現プロフィルの解析を始めた。 脳内常在型免疫細胞のライブイメージングによる可視化、そして、脳内常在型免疫細胞並びに末梢系免疫応答関連細胞の経時的な評価に成功したため。 前年度確立した評価系を用いて、微小環境の代謝、免疫応答に注目し、脳腫瘍幹細胞のフェノタイプ・スイッチが誘導される条件を同定する。さらに、マルチオミクス解析を用いて遺伝子発現、メタボローム、エピゲノムプロファイルを明らかにし、制御因子候補を同定する。
がん細胞における可塑的染色体動態制御の病理学的意義
- 制度名
- :科学研究費助成事業
- 研究者
- :広田 亨, 伊藤 武彦, サンペトラ オルテア
- 研究種目
- :基盤研究(S)
染色体不安定性 / クロマチン高次構造 / 異数体 / Auroraキナーゼ / がん幹細胞 / 染色体動態 / Aurora Bキナーゼ
染色体不安定性は、進行がんで典型的にみられる性質で、染色体の数や構造が多様に変化した異数体細胞を作り出す。がん細胞の異数体化は、がんの生物学的悪性度と相関することが知られるが、一方で、実験的な異数体化の誘導は、細胞増殖を強く抑制するために、異数体化ががんの病態にどのように関与するのか不明である。本研究では、染色体不安定性のレベルが可逆的に変化するがん幹細胞を用いて、細胞の増殖性と関連する染色体構造を探索する。特に、染色体不安定性のレベルを操作することによりその可塑性の意義を追求して、異数体化がみられるがんはなぜ悪いのかというがん生物学に残された命題に挑戦する。 本年度は、まず、核型のパターンによってクローン化したがん幹細胞について、染色体不安定性のレベルと増殖性を調べた。得られたクローンの核型を解析したところ、10.5%がもともとのがん幹細胞(Tumor Stem、TS細胞)と同様な核型分布を保ち(Parent-likes)、10.5%が多倍体となり(Hyperploids)、残りの79%が二倍体であった (Diploids)。これら3グループに分けられた各クローンについて、M期の染色体動態と、セントロメアにおけるAurora B機能を解析したところ、TS細胞と同程度に、Parent-likesとHyperploids は染色体分配エラーの頻度が高く、Aurora B 基質のリン酸化レベルが低下していた。このことから、TS細胞のAurora B活性が高くなりうること、二倍体の染色体不安定性が低い細胞が、異数体化する染色体不安定性が高い細胞よりも増殖に有利であることが示唆された。これらの観察は、がん幹細胞の染色体不安定性のレベルが可塑的であることを再確認する結果である。またこれらのクローンについて、低リード数でのDNAシーケンスデータを~5Mb枠で区切るKaryo-seq解析を行い、ゲノムワイドにその量的変化を検討した。そして各クローンで発現している遺伝子をトランスクリプトーム解析によって調べたところ、染色体不安定性レベルの高低を説明しうる変化が見出された。 当初の構想どおり、がん幹細胞の染色体不安定性のレベルが可塑的であることと、その可塑性はAurora B活性の変化によってよく反映されることを再確認する結果が得られた。これをもとに、経時間的な変化を調べるための実験を当初の計画に沿って進めている。 がん幹細胞(TS細胞)とそのクローン9系統(Diploids、Parent-likes、Hyperploidsの各3クローン)について、細胞の増殖性と染色体不安定性のレベル、遺伝子発現プロファイルを、 長期間培養して追跡する試験管内での変化と、マウスの脳実質に同所移植して、生体環境での変化を解析する。
グリオーマ幹細胞が形成するニッチの成立機構解明と阻害方法の確立
- 提供機関
- :文部科学省・日本学術振興会
- 制度名
- :科学研究費助成事業
- 研究機関
- :文部科学省・日本学術振興会
- 担当区分
- :研究代表者
- 研究者
- :サンペトラ オルテア
- 研究種目
- :基盤研究(C)
- 研究費種別
- :補助金
癌幹細胞 / 脳腫瘍
幹細胞は「ニッチ」と呼ばれる特殊な微小環境の中に存在し、ニッチによって守られている。悪性腫瘍において、ニッチは癌幹細胞の性質維持に不可欠であることから、その機能阻害は癌幹細胞を根絶させる方法として注目されている。 膠芽腫では血管や低酸素領域がグリオーマ幹細胞にとってニッチになりうることが報告された。しかし、ニッチの実態が充分に解明されておらず、有効な阻害方法も確立されていない。 本研究ではグリオーマ幹細胞が構築するニッチの成立条件、性質及び構成成分を明らかにする。さらに、その自律性ニッチの制御因子を同定し、血管性ニッチ、低酸素性ニッチの阻害と合わせたグリオーマ幹細胞ニッチ阻害療法の確立を目指す。 幹細胞はニッチと呼ばれる特殊な微小環境の中に存在する。ニッチは癌幹細胞の性質維持に不可欠であることから、その機能阻害は癌幹細胞を根絶させる方法として注目されている。治療後半年以内に致死的な再発を引き起こす膠芽腫において、血管や低酸素領域がグリオーマ幹細胞(Glioma stem cell, GSC)にとってニッチになりうることが報告された。しかし、ニッチの実態が充分に解明されておらず、有効な阻害方法も確立されていない。本研究ではGSCニッチ阻害療法の確立を最終目標とし、GSCが構築する自律性ニッチ(GSC autonomous niche, GAuN)の成立条件、性質及び構成成分を明らかにし、さらに、その制御因子を同定することを目指している。 令和2年度では主に3つの解析を行った: 1.GAuNの制御因子解析:自立性の高いGSCからスフェアを形成させ、外的ニッチ因子を添加せず、GAuNのみが成立している条件で3D培養を行った。GAuN中のGSCに対し酸化的リン酸化阻害剤を投与した結果、一部の阻害剤が活性酸素及び脂質酸化を上昇させることでGAuNの破綻を誘導することを見出した。この結果より、前年度同定したGAuNの制御因子の中で、REDOX関連因子がGAuNのキーレギュレーターであることを明らかにした。 2.GAuNの可視化:GAuNが破綻する過程を動画として記録することに成功した。さらに、GAuNが破綻するスフェアの画像解析で細胞死の定量化を行い、薬剤によるGAuN破綻誘導の有無の判定に成功した。 3.GAuNの阻害方法確立:すでに樹立している自律性の高いマウスGSC及び低分子化合物ライブラリーを用いてGAuN破綻を誘導する薬剤の探索を施行した。その結果、1320種類の低分子化合物より10μMでニッチ破綻を引き起こす14化合物を同定した。 本年度は主にGAuNの制御因子候補について遺伝子操作、ゲノム編集を行い、治療候補因子の絞り込みを続ける予定であった。しかし、GAuN破綻の可視化、定量化に成功したことにより薬剤スクリーニングに進むことができ、GAuN阻害方法の検討が大きく前進した。In vitroでニッチ破綻を引き起こす薬剤が培養脳切片においても同様の効果を示すことも確認し、in vivoでの抗腫瘍効果の検討の準備を整えた。 令和3年度ではGAuN標的因子の同定及びGSCの阻害方法の確立を目指す。具体的には以下の解析を実施する。 GAuN標的因子の絞り込み及び機能解析: 令和2年度で同定した候補薬剤についてより低い濃度での2次スクリーニングを行い、有効性の高い薬剤の絞り込みを行う。同定した薬剤の阻害標的が解明されている場合、その因子の発現・機能抑制を誘導し、proof of concept取得を目指す。具体的にはa) in vitroのGSC自己複製能阻害効果、b) ex vivo, in vivoのGSC腫瘍形成能への効果を検証する。 GSCの阻害方法の確立: 前項目の解析より浮かび上がったGAuN阻害剤に対し、ex vivoでの投与を行い、薬剤に対する耐え性の出現有無、併用療法の必要性について判断する。具体的には血管性ニッチを阻害する血管新生抑制剤及び低酸素領域ニッチを縮小させる酸化的リン酸化阻害剤などを使用し、併用効果を検討し、GSCニッチ阻害療法のプロトコールを確立する。確立したプロトコールについてin vivoで投与実験を行い、その抗腫瘍効果、延命効果を検証する。
宇宙硬エックス線・ガンマ線検出テクノロジーの異分野への展開
- 制度名
- :科学研究費助成事業
- 研究者
- :高橋 忠幸, 武田 伸一郎, 織田 忠, 柳下 淳, サンペトラ オルテア, 益子 高, 内山 泰伸, 能町 正治, 池田 博一
- 研究種目
- :新学術領域研究(研究領域提案型)
ガンマ線検出器 / CdTe / 核医学 / SPECT / コンプトンカメラ / ガンマ線イメージング / 分子イメージング
1)可搬型の冷却チャンバーを開発し、2mm厚のCdTe両面ストリップ検出器を格納したシステムを完成させた。B01班と共同で、実際にJ-PARCにおける負ミュオンビームによる隕石の非破壊元素分析(C,Mg,Siなどの軽元素の定量化)に向けた予備実験に供与した。医学研究においては、様々なin vivoイメージング実験を通じて、薬物動態の可視化に向けた課題の識別を行なった。Tc-99mなど高いエネルギーのガンマ線に対する感度向上、 コリメータの広視野化などが抽出され、それぞれ実際に改良型の研究を進めた。3D金属プリンタを用いて製作したタングステン製の平行孔コリメータを用いたAt-211のためのイメージャを整備し臨床応用に向けたコリメータの視野、サイズについて要求条件をまとめた。トモグラフィを行うため、並行コリメータやコンプトンカメラなどの光学系に対して画像解析ソフトウェアを整備した。医学、宇宙観測、素粒子実験等への応用をはかるために60μmピッチのCdTe両面ストリップ検出器やTimePix3を用いたSiおよびCdTeピクセル検出器の研究を進めた。可搬型装置の実現のため、高速で小型のデータ収集装置の開発を行った。機械学習を用いた画像解析、特に検出器でのクラスタリングの研究を進めた。2)益子によりがん細胞表面のCAT1に選択的結合性を有する抗体の研究により、抗CAT1抗体の添加により、細胞表面のCAT1が細胞に内在化することが示された。3) in vivo 3Dイメージングの検討のため、臓器や血管などの形状や密度分布を模したマウスや人体の数学モデルを用いたシミュレーションで設計検証を行うためのセットアップを完成させた。マウスのデジタルファントムとGeant4をつなげたシミュレーション手順を開発し、CdTe3Dイメージング装置(CdTeガントリー)の組み込みが完了した。 我々の技術は、医学・ライフサイエンス領域においても技術革新を呼び起こすブレークスルーとなりうるという確かな手応えが得られている。特に、我々が高い技術を持つ高いエネルギー分解能を有するCdTe半導体検出器を用いたイメージャは、従来の核医学ガンマカメラに比べて空間分解能、エネルギー分解能ともはるかに優れたものであり、既存技術では不可能だった核医学イメージングによる高空間分解能かつ、複数の核種からの異なるエネルギーの光子の同時描出を可能にしうることを明らかにできた。これをもとに医学・薬学の国内外の研究者との共同研究を進めることができている。医学コミュニティばかりではなく、原子核・素粒子実験、原子物理から惑星科学(サンプルリターン)におよぶ広いコミュニティに我々の有する技術が展開されるようになった。また、これらの宇宙科学の近接分野の研究者との様々な共同研究を通じて新たな知見が、さらなる検出器技術、あるいは解析技術の質的向上につながる循環が実現した。 本研究は宇宙観測のために開発されてきた硬X線・ガンマ線検出器を進化させることで、医学研究の場において、これまでにない精度での生体内3Dイメージングを実現、「検知力」の格段な向上を提供し、これまでに困難であった課題に対する医学研究を可能とするものでことをめざす。そのために、医学研究からの要求を把握すること、さらに、共に実験を行い、物理研究者の観点で課題を見出すことが重要であり、医学研究者や薬学研究者との連携を深めることが必要である。共同研究契約により国立がん研究センター(千葉県柏市)に設置することができた本グループ開発のイメージング装置を用い、微小がんの発見や転移の早期発見をめざした微少リンパ節転移イメージングなど、担がんマウスを用いた医学実験を進める。また、低酸素領域やがん幹細胞に代表されるような微小環境の複雑性を研究するためのプローブの検討、さらにそれを目的の部位に到達させるためのDDS(Drug Delivery System)に関する研究、がん細胞において抵抗性をもたらしているとされるxCTに接合する抗体や低分子によるプローブの研究を進める。アルファ線放出核種を用い、診断と治療の同時実施を可能にするための研究において、薬物動態の可視化をはかる。成果を核医学や分子イメージング、あるいは癌学会など、数物領域以外のコミュニティにて発表する。医学研究と並行して、画像解析ソフトウェアの高速化・機械学習の導入、キャリブレーションの高精度化、シミュレーションの整備などのソフトウェア開発、さらに、より広視野をもつコリメータの開発、高い検出効率を持つCdTe半導体イメージャ、高いフラックスでのイメージングが可能なCdTeセンサーなど、検出器開発を進める。可搬性、小型化を強く意識した装置開発をイメージングセンサーやデータ収集装置について進めており、今後もその努力を続ける。
グリオーマ幹細胞のニッチ特性の解明とそれを標的とした治療戦略の考案
- 提供機関
- :文部科学省・日本学術振興会
- 制度名
- :科学研究費助成事業
- 研究機関
- :文部科学省・日本学術振興会
- 担当区分
- :研究代表者
- 研究者
- :サンペトラ, オルテア
- 研究種目
- :基盤研究(C)
- 研究費種別
- :補助金
幹細胞 / グリオーマ幹細胞 / 脳腫瘍 / ニッチ
グリオーマ幹細胞の自己複製を担保するニッチの阻害はグリオーマ幹細胞の根絶に繋がると考えられている。膠芽腫において血管性ニッチと低酸素ニッチが報告されているが、その特性は十分に解明されていない。本研究ではニッチのライブイメージングを行い、二種類のニッチ及びニッチ内の幹細胞の可視化に成功した。その結果、二つのニッチが同一腫瘍内に存在しうること、異なる時期に形成されることを見出した。さらに、二つのニッチと離れて存在し、自ら分泌する因子を介し微小環境を変える幹細胞が存在することを見出した。このようなグリオーマ幹細胞が形成する自律性ニッチの解明はニッチ療法を確立する上で不可欠であると考えられた。 膠芽腫において、グリオーマ幹細胞を標的とした新しい治療戦略が期待されている。グリオーマ幹細胞ニッチの形成時期、成立条件及び分子機構の解明はニッチ、膠芽腫に関する生物学的理解を深め、抗ニッチ療法の確立につながると期待できる。また、ニッチ成分解析より浮かび上がった因子、特に代謝関連因子はトレーサー画像診断においてマーカーとして利用できる可能性があり、今後、腫瘍再発の早期発見につながると期待できる。