東京大学
慶應義塾大学
京都大学
発表のポイント
2015年以降設立のスタートアップを対象にハラスメント実態調査を実施し、回答者の32%が何らかのハラスメントを、6%がセクシュアル・ハラスメントを経験していた。
加害者は取引先やベンチャーキャピタリストが多く、ハラスメントはパートナーシップの断念や戦略転換など事業運営にも影響を及ぼしていた。
ネットワークの広さはセクシュアル・ハラスメントの報告と負の相関を示し、女性起業家への多様なネットワーク構築支援の重要性が示唆された。
2024年8月のNHK報道を契機として、スタートアップエコシステムにおけるハラスメントへの社会的関心が高まる一方、その実態は十分に解明されていなかった。
本調査は、経済産業省の協力のもと、東京大学、京都大学、一橋大学、慶應義塾大学の4大学が共同で実施した。企業情報プラットフォーム「Speeda」に登録されている2015年以降設立のスタートアップ全13,264社を対象とし、467件の有効回答を得た。
調査票は「起業家エコシステムの環境調査」として中立的に設計し、ハラスメントに関する自己認識ではなく具体的な行為経験を問う行動ベースの測定手法を採用することで、回答バイアスの抑制を図った。
結果、これまで明らかではなかった、非性的ハラスメント(パワハラ)31%に対しセクシュアル・ハラスメント(セクハラ)6%というハラスメントタイプ別の実態、加害者の属性、ネットワークの広さとセクハラ報告の相関関係、ハラスメントの事業運営への潜在的な影響の可能性が示され、今後の政策的介入の検討材料として役立つことが期待される。