国立研究開発法人国立がん研究センター
慶應義塾大学医学部
発表のポイント
C-CATに登録された50,000例以上の臨床ゲノムデータを用いて、遺伝子異常を標的とした治療(標的治療)の実態や効果、患者予後などを解析することで、がん遺伝子パネル検査の実臨床における有用性を明らかにしました。
国内承認済みの薬剤だけでなく、国内未承認でも有効性が示されている薬剤の標的となる遺伝子異常が検出された場合に、患者予後が改善することを示しました。この結果は、治験や患者申出療養制度などを通じた未承認薬・適応外薬の使用が患者予後を改善する可能性を示唆しています。
がん遺伝子パネル検査に基づいて、標的治療を新たに受けた患者さんの割合は、全体では8.0%にとどまっていましたが、その割合ががん種ごとに大きく異なり、甲状腺がん(34.8%)・非小細胞肺がん(20.3%)・小細胞肺がん(20.1%)では高いという結果でした。また、経時的な解析によって、その割合が増加傾向にあることが分かりました。
大規模データを利活用することにより、①腫瘍遺伝子変異量が高い症例には一般に免疫チェックポイント阻害薬が有効ですが、その有効性はがん種ごとに異なり、乳房外パジェット病では有効性が低いことや、②コンパニオン診断薬が陰性例においても、がん遺伝子パネル検査で陽性の場合には、標的治療が有効な症例が頻繁に存在するといった新たな知見も示されました。
国立研究開発法人国立がん研究センター(理事長:間野 博行、東京都中央区)研究所の斎藤 優樹 研究員(分子腫瘍学分野)、片岡 圭亮 分野長(分子腫瘍学分野/慶應義塾大学医学部内科学教室(血液) 教授)らの研究グループは、慶應義塾大学医学部の平田 賢郎 専任講師(腫瘍センター)・舩越 建 准教授(皮膚科学教室)らと共同で、国立がん研究センターがんゲノム情報管理センター(Center for Cancer Genomics and Advanced Therapeutics:C-CAT)に蓄積された、固形がん症例を対象に、保険診療の一環としてがん遺伝子パネル検査が実施された54,185症例の臨床ゲノムデータを解析しました。その結果、遺伝子異常を標的とした治療(標的治療)の実施割合や患者予後との関連など、がん遺伝子パネル検査の実臨床における有用性を明らかにしました。本研究結果は2026年1月6日に英科学誌「Nature Medicine」に掲載されました。
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