2025/08/06
早稲田大学
東京医科大学
慶應義塾大学
【発表のポイント】
知的障害や脳発達異常の原因遺伝子ATRXが、脳細胞の運命を決める新たな仕組みを発見。
ATRXが核内に「凝集体(液滴)」を作り、これが神経細胞の正常な分化を促進することを解明。
凝集体形成が阻害されると神経細胞への分化過程が正しく進まず、神経管構造の異常など脳発達に重大な影響を及ぼすことを示唆。
ATRXの変異によって引き起こされる発達障害(ATR-X症候群)や膠芽腫などのがんの病態解明、さらには新たな治療法の開発につながることが期待される成果。
脳の発達や神経細胞が正しく分化する仕組みは、多くの謎に包まれています。早稲田大学、東京医科大学、および慶應義塾大学の研究グループは、クロマチンリモデリング因子として知られるATRXが、核内で液-液相分離(LLPS)と呼ばれる機構を介して「凝集体(液滴)」を形成し、これが神経細胞の分化を促す重要な役割を担っていることを初めて明らかにしました。本研究は、早稲田大学人間科学学術院の友岡 領(ともおか りょう)研究助手、神山 淳(こうやま じゅん)教授、東京医科大学薬理分野の金蔵孝介(かねくら こうすけ)教授、 慶應義塾大学再生医療リサーチセンターの岡野栄之(おかの ひでゆき)センター長/教授を中心とした研究グループによる成果です。
研究チームは、ATRXがLLPSによって核内に反応の場を作り出し、神経分化に必要な遺伝子の発現を調節していることを示しました。これにより、神経分化機構にATRXがどのように関与しているのか、その過程が明らかになりました。本研究成果は、ATRXの変異によって引き起こされる発達障害(ATR-X症候群)や悪性の脳腫瘍である膠芽腫の病態解明や新規治療法の開発の新たな道を拓くと期待されます。
本研究成果は、2025年7月14日にNature(英国)系の科学雑誌『Nature Communications』に掲載されました。
プレスリリース全文は、以下をご覧下さい。