2025/06/24
国立大学法人東海国立大学機構名古屋大学
慶應義塾大学
【本研究のポイント】
4つの転写因子(Nkx2-1、Foxa1、Foxa2、Gata6)による直接リプログラミングで、2型肺胞上皮様細胞(iPUL細胞)を約7日で作製することに世界で初めて成功。
iPUL細胞はラメラ体様構造を有し、遺伝子発現プロファイルも正常2型肺胞上皮(AT2)細胞と高い相同性を示した。
間質性肺炎(肺線維症)モデルマウスにiPUL細胞を投与したところ、42日後には肺胞領域への生着および1型肺胞上皮(AT1)様細胞への一部分化が確認された。
幹細胞を介さない新規肺上皮細胞作製技術として、再生医療への応用が期待される。
名古屋大学大学院医学系研究科呼吸器内科学の石井 誠 教授、慶應義塾大学医学部内科学教室(呼吸器)の福永 興壱 教授、朝倉 崇徳 助教、森田 篤帆 共同研究員らの研究グループは、東京大学などとの共同研究により、マウス線維芽細胞から肺細胞(2型肺胞上皮様細胞)を約7日という短期間で作製することに、世界で初めて成功しました。
本研究では、幹細胞を経由せずに細胞の運命を転換させる「直接リプログラミング技術」に着目し、4つの転写因子(Nkx2-1、Foxa1、Foxa2、Gata6)を用いてマウス細胞を肺上皮様細胞へ誘導しました。「iPUL細胞(inducedPULmonary epithelial-like cells)」と命名した誘導細胞は、電子顕微鏡でラメラ体様構造を示し、網羅的遺伝子解析においても正常2型肺胞上皮(AT2)細胞と高い類似性を示しました。さらに、iPUL細胞を肺線維症モデルマウスに気管内投与したところ、肺胞領域への生着が確認され、一部は1型肺胞上皮(AT1)様細胞への分化が認められました。
本研究は、一度損なわれると元に戻すことが困難とされてきた肺の再生医療に新たな道を拓く成果であり、将来的には間質性肺炎、COPD、重症肺炎などの難治性肺疾患に対する新たな根治的治療法の開発につながることが期待されます。
本研究成果は、2025年6月23日付(日本時間6月23日18時)Springer Natureグループの国際科学雑誌『npj Regenerative Medicine』に掲載されました。
プレスリリース全文は、以下をご覧下さい。