慶應義塾

中枢神経系自己免疫疾患の1つ、MOG抗体関連疾患で初の全国疫学調査結果を報告-指定難病への登録や治療法開発を目指す-

公開日:2023.03.14
広報室

2023/03/14

学校法人東北医科薬科大学

千葉大学医学部附属病院

慶應義塾大学医学部

静岡社会健康医学大学院大学

  • 今回MOG抗体関連疾患の、わが国における初の全国疫学調査を行いました。

  • 患者数は1695人(男性764人、女性931人)、粗有病率は人口10万人あたり1.34人(男性1.24人、女性1.44人)、粗罹患率は人口10万人あたり0.39人と推計されました。

  • 性別は53.5%とわずかに女性に多く、発症年齢の中央値は28歳でした。初発時は、視神経炎が30-40%を占める一方、若年発症ではADEM、成人発症では脳炎、脳幹脳炎、脊髄炎が多い傾向でした。53.5%の患者が再発を経験し、免疫治療は高い確率で有効でした。

  • これらの結果は、欧米からの報告と一致し、MOG抗体関連疾患は全世界において人種や地域による差異のない一様な疾患であることが示唆されました。

  • 本研究は、今後の指定難病への登録、MOG抗体検査の保険収載、治療法の開発を進める上で重要な報告です。

ミエリンオリゴデンドロサイト糖蛋白(MOG)抗体関連疾患は、従来は多発性硬化症(MS)や急性散在性脳脊髄炎(ADEM)、あるいは視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)と診断されていた中枢神経脱髄疾患患者の一部で、血清あるいは髄液中にMOG抗体が見出されたことを契機に近年急速に研究が進展し、新たな中枢神経系自己免疫疾患として疾患概念が確立されつつあります。しかし、これまでわが国では全国的な疫学調査は行われておらず、患者数や検査所見、治療やその有効性などの詳細は不明でした。

東北医科薬科大学医学部老年神経内科学の中島一郎教授、中村正史講師らの研究グループは、千葉大学、慶應義塾大学、静岡社会健康医学大学院大学との共同研究によりMOG抗体関連疾患の全国疫学調査を行い、患者数、粗有病率、粗罹患率を推計し、発症病型、血液検査やMRI検査などの検査所見、治療内容とその有効性、予後を集計・解析しました。

本研究は、今後の指定難病への登録、MOG抗体検査の保険収載、治療法の開発を進める上で重要な報告です。本研究成果は、2023年3月10日付けで、Multiple Sclerosis Journal 誌(オンライン版)に掲載されました。

なお、本研究は厚生労働省難治性疾患克服研究事業「神経免疫疾患のエビデンスに基づく診断基準・重症度分類・ガイドラインの妥当性と患者QOLの検証」(研究代表者:千葉大学桑原聡先生)として、厚生労働省科学研究費補助金(20FC1030)の支援を受けて行われました。

プレスリリース全文は、以下をご覧下さい。

プレスリリース(PDF)