慶應義塾

第16回助成

23rd Tetrahedron Symposium 2023(2023年06月25日~07月02日)(スウェーデン・イェーテボリ)

私はスウェーデンのイェーテボリにて開催されたTetrahedron Symposium 2023に参加し、"Oxygen-Embedded Quinoline Oligomers: A New Entry to Macrocycles" という題目で発表しました。

具体的には、3あるいは4ユニットのキノリン環を酸素原子にて架橋した多座配位子oxa-TriQuinoline (o-TQ) / oxa-TEtraQuinoline (o-TEQ) のデザイン・合成、ならびにそれらの物理化学的特性について発表いたしました。これらの新規C3/S4対称環状分子は、多官能性ユニット2-fluoroquinolin-8-olを基質とするSNAr反応にて簡便に合成可能です。これらのX線結晶構造解析によると、各窒素原子の配位する方向が互い違いとなるコンフォメーションが最も安定であると考えられましたが、特定の金属塩を添加することで大幅なコンフォメーション変化を伴って対称型金属錯体が得られました。特にo-TQは銅(I)錯体の形成によってボウル型コンフォメーションが優位となり、そのカチオン性湾曲π面は、フラーレン(C60)関連分子群や大環状π分子シクロパラフェニレンとの超分子錯体形成能を獲得しました。また、o-TQ/Cu(I)の半剛直な構造特性により、典型的な凝集誘起発光 (AIE) 特性も顕します。銅(I)への4座目の配位子を種々変更することで、その発光波長は緑、黄、橙、赤色に変調可能であり、最大量子収率24%の室温発光を示しました。さらに、剛直三座配位子としてのo-TQは銅/カルベンまたは銅/ナイトレン形成機構を経る種々の反応の触媒として機能することを見出しました。

テンプレート様効果、o-TQのキラリティー制御や発光特性などについて、多様なバックグラウンドをもつ海外の研究者と議論を深めることができ、また、多数の著名な海外研究者の講演を拝聴し非常に良い刺激を受けました。末筆にはなりますが、この度は佐藤製薬株式会社様からの多大なるご支援を賜り、このような貴重な機会をいただけましたことを、この場をお借りして厚く御礼申し上げます。

(薬学研究科 博士課程3年/小林 透威)

第96回日本生化学会大会(2023年10月31日~11月02日)(福岡県福岡市)

私は、10/31から11/2にかけて、福岡国際会議場・マリンメッセ福岡B館にて開催された第96回日本生化学会大会に参加し、「カンプトテシン誘導体FL118が示す骨髄増殖性腫瘍細胞に対する抗腫瘍活性の分子機構の解析」というテーマでポスター発表を行いました。

私は、カンプトテシンと比較して、 FL118が低濃度で慢性骨髄増殖性腫瘍細胞のアポトーシスを誘導することを見出しました。トポイソメラーゼIの活性を測定した結果、FL118は、カンプトテシンと同程度のトポイソメラーゼI阻害活性を示すことが確認されました。したがって、FL118は、トポイソメラーゼI阻害活性に加えて、カンプトテシンにはない『何らかのMPN細胞のアポトーシスを誘導する活性』があると考えられました。今回、私は、MPN細胞における各種シグナル分子の活性化に及ぼすFL118の影響を検討しました。その結果、FL118が、慢性骨髄増殖性腫瘍の原因遺伝子産物であるチロシンキナーゼJAK2V617F変異体の活性化を抑制することを新たに見出し、本学会で発表しました。

現在、FL118がどのようにJAK2V617F変異体の活性を制御するかは未だ不明であり、その解明が今後の課題です。ポスター発表では、FL118によるJAK2の活性化阻害メカニズムに関して、様々な分野の研究者とディスカッションを行うことができました。ぜひ、今後の研究に生かしていきたいと思います。また、学会に参加し、多くの講演や発表を聴講し、最先端の生化学研究を知ることができ、大変勉強になりました。

最後になりますが、本学会に参加するにあたり、多大なるご支援を賜りました佐藤製薬株式会社様に深く感謝申し上げます。

(薬学研究科 博士課程2年/武田 健吾)

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International Conference on Nano Research and Development (ICNRD-2023)(2023年12月06日~08日)(シンガポール)

私は、シンガポールで開催された International Conference on Nano Research and Development (ICNRD-2023) に参加し、「Nanosized biomimetic red blood cells as an antidote for hydrogen sulfide poisoning with long-term storage stability」というタイトルでポスター発表を行いました。

硫化水素は即効且つ致死的な毒性を示し、中毒が疑われた場合には迅速な治療開始が求められます。私は硫化水素と高い結合特性を有するメトヘモグロビンに着目し、硫化水素中毒解毒剤としてメトヘモグロビン内包リポソーム (metHb-V) を創製しました。本検討では臨床での円滑な使用を想定し、metHb-Vの硫化水素中毒解毒剤としての長期安定性について評価しました。4℃、室温、37℃の温度条件でそれぞれmetHb-Vを1年間保存した結果、物理化学特性やリポソーム内のメトヘモグロビンの凝集や断片化などは確認されず、保存前のmetHb-Vと同等でした。そこで、致死的中毒マウスにより保存metHb-Vの解毒作用を評価したところ、保存前のmetHb-Vと同等の優れた解毒能を維持していました。以上の結果から、metHb-Vは長期保存可能で速やかな治療開始に繋げられる実用性の高い硫化水素中毒解毒剤となることを発表しました。

本研究結果は承認された既存薬が無く、有望な治療法が存在しない硫化水素中毒に対する解毒剤を開発するための重要なエビデンスとなると考えております。また、グローバルな研究者達の発表を聴講することで、多角的な観点からのアイデアや独創性を学ぶことができ、視野が大きく広がりました。今後、自身の研究課題に実装していきたいと考えております。

最後になりますが、本学会への参加は、佐藤製薬株式会社様から研究奨励金を頂くことで実現しました。この場を借りて心より御礼申し上げます。

(薬学研究科 後期博士課程3年/鈴木 悠斗)

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第46回日本神経科学大会(2023年08月01日~04日)(宮城県仙台市)

私は宮城県仙台市で開催された第46回日本神経科学大会に参加し、「Expression analysis of immune checkpoint molecules in microglia」という演題で口頭発表を行いました。

ミクログリアは中枢神経系に常在する免疫細胞です。多くの中枢神経系疾患において、ミクログリアの過剰な活性化と神経毒性が観察されていますが、その活性化の制御機構は未だ不明です。そこで本研究では活性化した免疫細胞を制御する免疫チェックポイント分子に着目し、ミクログリアにおける免疫チェックポイント分子の発現を解析したことを報告しました。

本学会は神経系を専門とする先生方が多く参加しており、最先端の神経科学について学ぶことができました。さらに、私の研究と先生方の研究について議論を行い、私の研究に対する客観的な意見とアドバイスを得ることができたため、今後の研究活動に活かしていきたいと思います。自身の発表では、初めての英語の口頭発表を経験することができました。しかし、私の語彙力が足りず円滑な質疑応答をすることができませんでした。そのため、本来であればさらに先生方と議論できたチャンスを逃すこととなってしまいました。今後は研究活動だけでなく英語でのプレゼン能力も向上させ、次回の発表ではさらに議論ができるようにしていきたいと思います。

最後になりますが、この度佐藤製薬株式会社様より研究奨励資金として多大なご支援を賜り、厚く御礼申し上げます。

(薬学研究科 修士課程1年/大島 基希)

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FASEB Science Research Conference(2023年09月17日~22日)(米国・コロラド州)

私は、米国コロラド州で開催されたFASEB Science Research Conferenceに参加し、" Purified diet feeding affects the morphology and functions of intestinal epithelial cells through the gut microbiota"という演題でポスター発表を行いました。これまで私は、様々な動物実験において汎用されている精製飼料が、腸上皮細胞機能に与える影響について研究を行ってきました。その結果、標準飼料に比べ、精製飼料を摂餌させたマウスでは腸上皮細胞の増殖や抗菌ペプチド産生、糖鎖修飾といった、上皮バリア維持に重要な分子の発現が抑制されていることを見出しました。更に、精製飼料による腸上皮バリア機能抑制は、腸内細菌叢の変動によって誘導されることを明らかにしました。そのため精製飼料を実験に使用する際には、腸上皮や腸内細菌叢に与える影響について考慮する必要があると考えられ、これらのデータをまとめて学会にて発表しました。

本学会は、基礎研究者や臨床医、大学院生などが数多く参加し、腸上皮細胞研究における最新の実験データを発表・議論することを目的とした学会です。学会期間中は発表時間中だけでなく、多くの研究者と共に食事をしながらそれぞれの研究について活発に議論する時間が設けられていました。そこでは研究室内のディスカッションだけでは得られなかった新たな視点からの指摘やアドバイスを数多くいただきました。頂いたコメントを参考にし、今後論文投稿に向けて準備を進めるとともに、更に研究を発展させたいと考えております。

本学会発表は、佐藤製薬株式会社様から研究奨励資金をいただき実現致しました。この場をお借りし、厚く御礼申し上げます。

(薬学研究科 博士課程4年/白鳥 弘明)

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第82回日本癌学会学術総会(2023年09月23日)(神奈川県横浜市)

私は第82回日本癌学会学術総会において、「IDH1変異を有するヒト胆道がんに対するMCL-1阻害剤の有用性の可能性:患者由来ヒト胆道がんオルガノイドを用いた解析」という演題でEnglish oral sessionに参加しました。

胆道がんは悪性度が高く、膵臓がんに次いで予後不良のがんであることが知られています。IDH1変異は肝内胆管がんの15%で認められ個別化医療における治療標的として適切です。IDH1変異はグリオーマや急性骨髄性白血病等においても高頻度で認められますが、変異アレルが異なることから胆道がんにおけるIDH1変異が与える影響の解明や新たな治療法の開発が求められています。

私は、患者組織から樹立されたヒト胆道がんオルガノイドのメタボローム解析を行い、先行研究で報告されているようにIDH1変異株において2-HGの蓄積およびATP産生量の低下の確認を報告しました。そしてMCL-1阻害剤がIDH1変異株の細胞増殖を特異的に抑制すること、その効果にはBCL-2 familyタンパク、特にMCL-1およびBCL-XLの発現量が関与していることを発表しました。

日本癌学会学術総会は日本全国から全身のがんの研究や治療に関わる先生方が多く集まる学会であり、他の研究者の視点からの意見をいただきディスカッションをする貴重な機会となりました。また、他の先生方の発表を拝聴し特に胆道がんや膵臓がんについてさらに知見を広げることができました。

最後になりますが、この度は佐藤製薬株式会社様からの多大なるご支援を賜り、無事に学会発表を行うことができたことをこの場をお借りして厚く御礼申し上げます。

(薬学研究科 修士課程1年/鈴木 志帆)

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第35回バイオメディカル分析化学シンポジウム(2023年07月27日~29日)(北海道札幌市)

北海道大学にて開催された第35回バイオメディカル分析化学シンポジウムに参加し、学会で初めて口頭発表(10分)を行いました。これまでポスター発表をした経験がありましたが、蛍光プローブにも理解のある学会にて口頭発表をしたかったことから学生も口頭発表しやすい本学会の参加を希望しました。

本学会では、「ねじれ型分子内電荷移動」を蛍光制御原理として、酵素活性を検出する蛍光プローブの新たな分子設計法の確立を発表しました。ローダミン類の分子構造の特定部位に立体的に嵩高い酵素基質部位を導入することで蛍光を消光させることに成功しました。また標的酵素であるニトロレダクターゼによる反応によって酵素基質部位が外されることで分子内の立体的反発が解消され、蛍光上昇を示しました。

本学会には、蛍光プローブなどの可視化プローブを開発する物理・分析系薬学の研究者が多く参加していたため、先生方から研究結果に関する貴重なご意見やご質問をいただくことができました。例えば、阻害剤添加によって生じるミトコンドリアの脱分極の可能性や、蛍光色素が細胞内で凝集する可能性など、今後の研究展開について考える良い機会となりました。佐藤製薬株式会社様のサポートにより、北海道大学まで自分で希望した学会に参加し口頭発表を行うことができ、大変ありがとうございました。

改めて最後となりましたが、学会発表に際して多大なるご支援を賜りました佐藤製薬株式会社様に厚く御礼申し上げます。

(薬学研究科 修士課程1年/杉本 瑞樹)

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第33回日本医療薬学会年会(2023年11月02日~11月04日)(宮城県仙台市)

私は、宮城県仙台市で開催された第33回日本医療薬学会年会の International Session にて、"Inhibition Kinetics of Citrus Jabara Juice on CYP3A4 Activity and Identification of Its Inhibitory Components" という演題でポスター発表を行いました。

グレープフルーツジュースは薬物代謝酵素 Cytochrome P450 (CYP) を時間依存的に阻害 (mechanism-based inhibition; MBI) して医薬品との相互作用を起こすことが知られています。本研究では、日本固有種の柑橘類であるジャバラの果汁が MBI により CYP3A4 を阻害することを見出しました。さらに、ジャバラ果汁中からこれまで知られていなかった新規の CYP3A4 阻害成分を同定しました。

発表時には、国内だけでなく海外の薬剤師の先生からも質問をいただき、自身の研究内容について英語でディスカッションを行う貴重な時間を持つことができました。また、研究内容に留まらず、海外における薬剤師の役割や取り組みなどについてもお話を伺うことができ、本学会を通じて薬剤師としての視野も広がったと感じております。

最後になりますが、この度、本学会に参加するにあたり多大なるご支援を賜りました佐藤製薬株式会社様に心より感謝申し上げます。

(薬学研究科 博士課程3年/肥沼 佳菜)

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第6回フレッシャーズ・カンファランス(2023年06月11日)(京都府京田辺市)

グレープフルーツジュース (GFJ) などの柑橘果汁は小腸に発現する小腸有機アニオントランスポーター (OATPs) を阻害することで、花粉症治療薬の fexofenadine (FEX) など基質薬物の消化管吸収を阻害することが知られている。一方、日本固有種の柑橘ジャバラ及びその果汁は、花粉症症状に有効であることが謳われているものの、OATPs 阻害成分 narirutin が大量に含有されておりOATPs 阻害を介した相互作用が惹起される可能性がある。本研究では、FEX の小腸吸収に対するジャバラ果汁の影響を解明することを目的に、マウスを用いた in vivo 相互作用実験及びヒト消化管上皮細胞株 Caco-2 細胞および小腸に発現する排出トランスポーター P 糖蛋白質 (P-gp) 過剰発現細胞株 LLC-GA5-COL300 細胞を用いた in vitro 単層膜透過実験を実施し、ジャバラ果汁の影響を評価した。その結果、ジャバラ果汁はマウスにおける FEX の血中濃度時間曲線下面積及び最大血中濃度を共に約 2 倍に顕著に上昇させ、in vitro においても FEX の Caco-2 細胞単層膜透過性を亢進させた。さらに、ジャバラ果汁抽出物は濃度依存的に P-gp の排出活性を阻害したことから、ジャバラ果汁は OATPの阻害よりもむしろ P-gp 阻害による FEX 吸収亢進を引き起こすことが明らかになった。本研究で得られた結果から、GFJ などの果汁飲料と異なり、ジャバラ果汁は主に P-gp のような小腸排出トランスポーターを阻害することにより、FEX の小腸吸収を上昇させるが示唆された。臨床上、ジャバラ果汁と経口薬物の併用は注意する必要がある。

本研究は "第 6 回フレッシャーズ・カンファランス" にて口頭発表し、英文学術誌 "Biological and Pharmaceutical Bulletin" Vol.46 No. 12 に掲載予定である。

本研究の発表に際し佐藤製薬株式会社のご支援をいただきました。誠にありがとうございました。

(薬学研究科 博士課程3年/韓 弘燁)

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佐藤製薬株式会社研究奨励資金 過去の活動報告一覧

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