慶應義塾

中谷 友惟香(薬学部薬学科6年*当時)

2019年7月17日~7月28日

執筆者プロフィール

  • 中谷 友惟香

    薬学部

    中谷 友惟香

    薬学部

2019年度のアドバンストレギュラトリーサイエンス研修に参加して感じたこと、今の仕事とのつながりについて、お話しさせていただきます。  

私は、価値のある医薬品やその情報を届けることで、世界中の患者さんへの安心安全な薬物治療の提供に貢献したいという思いがあります。本研修は、医薬品開発について様々な視点での考えや姿勢を学ぶことができる貴重な機会であると思い、参加いたしました。  

研修では、製薬企業やCRO企業、規制当局、治験実施医療機関、研究所などを訪問しました。各施設にて日本における医薬品開発や市販後調査などの安全性情報管理について紹介し、米国との違いを質疑応答から学ぶことができました。また、各施設での取り組みを伺うだけでなく、インターンシップ生との交流の機会があり、薬学教育の違いについても知ることができました。この研修で最も感銘を受けたのは、"Patient engagement"という考え方です。患者さんの意見や意思を傾聴し、治験に取り入れるだけでなく、患者さんや一般人へ治療や健康についての情報を発信することで、医療への正しい理解を促し、パブリックヘルスの向上を目指すという考え方だと感じました。本研修を通じて、患者さんの声に耳を傾けるという姿勢を大切にし、世界中の患者さんにより良い医薬品や情報を届けるという「ひたむきな情熱」を持ち続けたいと思うようになりました。  

現在、私は製薬企業のファーマコビジランスという仕事に従事しています。ファーマコビジランスでは、患者さんの安全を確保するために、安全性情報を収集、評価し、新たなリスクの懸念が発生していないか、注意喚起や情報提供をする必要がないかを検討します。市販後だけでなく、開発段階からも関わり、市販後の安全性監視活動、リスク最小化策について検討します。医薬品の有効性とリスクは表裏一体ではありますが、開発段階から市販後にかけて、医薬品の一生を監視し、必要な情報を発信することで、医薬品のベネフィットバランスを保ち、患者さんの安全性を守る使命があります。  

ファーマコビジランス業務に携わり約3年が経ちましたが、安全性情報の評価方針や対策検討に迷った時は、本研修で学んだ"Patient Engagement"の考え方が心のよりどころでした。どのような観点で情報を確認するのが良いか、医療現場や患者さんにこの情報を届けないとどのような影響を及ぼすのか、社内で議論し、時には医師の先生方にご相談させていただき決断します。少し医療現場から遠い場所で安全性情報を確認していますが、すべては患者さんの安全性確保のための業務であることを忘れてはなりません。  

医療現場や患者さんに私たちが伝えたい情報が届き理解されているのか、医薬品の適正使用にあたる行動変容につながっているのか、把握しきれない現状があると感じています。この解決方法も、しっかり医療現場や患者さんの声に耳を傾け、患者さんもチームの一員として捉えて解決していくことが良いのではと私自身は考えます。"Patient Engagement"は新しい考え方のようで、双方のコミュニケーションを重視する、つまり製薬会社の一方的なコミュニケーションにならないよう、基本的で大事な考えだと感じています。今後もPatient Engagementの考え方を胸に、患者さんや周りの方々の生活の支えになる情報を届けていきたいです。  

本研修は医薬品開発だけでなく、医療を提供する上で大事な考え方や姿勢を多角的に感じ取ることができる貴重な機会だと感じました。一度に多くの施設に訪問できる機会はなかなかないですし、参加に迷っている方がいらっしゃればぜひ勇気を出して参加されることをお勧めします。きっと社会人になっても大事なよりどころとなるものをきっと感じ取れることと思います。  

本研修にて多くのことを伝えてくださった企業や施設の方々、貴重な機会を設けてくださった慶應義塾大学の先生方に深く御礼申し上げます。

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アドバンストレギュラトリーサイエンス海外演習 参加者・関係者の声

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