執筆者プロフィール
桝田 咲
薬学部桝田 咲
薬学部
5週間にわたり、タイのコンケン大学での実習に参加させていただきました。海外の医療現場を実際に自分の目で見て視野を広げたいと思い、参加を志望しました。
実習では、最初の4週間は大学病院の腫瘍科病棟にて、研修中の薬剤師や薬学部生とともにがん患者さんのケアについて学びました。主に午前中は病棟で患者さんの薬物治療マネジメントに携わり、午後は指導してくださっている先生のもと、症例報告や論文紹介に参加しました。症例報告では、担当した患者さんの病歴やこれまでのレジメン、副作用、次に考えられる治療選択肢まで整理し、根拠となる治験や論文にまで目を通す必要があり、一人の患者さんを支えるために必要な知識の深さを痛感しました。参照するガイドラインや承認薬、保険制度が日本と異なるため、その違いに触れながら学べたことは非常に興味深い経験でした。最終週には、緩和ケアチーム、TDMチーム、外来がん薬剤師、大学付属薬局を見学しました。
実習を通して最も印象に残ったのは、医療制度の違いが治療選択に与える影響の大きさです。タイでは医療保険でカバーされる医薬品が指定されており、日本では保険適用の医薬品でも経済的理由で使えない患者さんがいらっしゃいました。一方で、製薬企業が高額薬剤の費用を一部負担するPAP(Patient Assistance Program)という制度があることも知りました。国が違っても同じ薬が人々を支えている一方で、経済的背景によって最適な治療を受けられない現実に直面し、誰もが平等に医療を受けられる日本の国民皆保険制度の価値を改めて認識するとともに、「必要な薬を必要な人に届けること」の難しさと重要性を強く感じました。
実習以外の時間は、先生方や友人に寺院やナイトマーケット、素敵なカフェに連れて行ってもらったり、タイ料理を楽しんだりと、タイの文化を満喫しました。
本実習への参加は初めての留学、初めての一人での海外渡航という自分には背伸びしすぎだと思うほどの挑戦でしたが、多くの方々のサポートのおかげで充実した日々を過ごすことができました。海外の臨床現場を自分の肌で感じられる貴重な機会、ぜひ興味のある方は挑戦してほしいと思います。