執筆者プロフィール
土谷 聡耀
薬学部土谷 聡耀
薬学部
私はワシントン大学附属の病院である Northwest Hospital & Medical Center (米国シアトル) を訪ね、同級生と 2 人で 4 週間にわたる集中治療室での病棟業務実習を行いました。
実習では一貫して集中治療室に入院している患者の薬学的管理を行いました。日々入れ替わり、刻々と容態が変化する患者の薬学的管理業務に従事することで多くの知識や技能を身につけ、臨床能力を高めることができました。指導薬剤師である Lee 先生は私たちを新米薬剤師のように扱い、あらゆる業務を行わせてくれました。また、医師や患者と話す機会を積極的に与えてくださり、非常に充実感が高い実習でした。
私は海外アドバンスト実習を通して文化と医療の結びつきを学びました。例えば米国の訴訟社会という文化は抗菌薬の選択に影響していると、感染症内科医の先生が教えてくれました。また、治療費を払えないホームレス患者の入院を拒否する病院が相次いだことから救急外来における入院拒否を禁ずる法律ができたらとのことで、日本特有の文化とは何か、それが医療にどう影響しているかを考える良いきっかけとなりました。
薬剤師の職能改革を重ねてきた米国は薬剤師先進国に見えるかもしれません。しかし実習を経て、決してそうではないと思うようになりました。米国を追従するのではなく、日本の文化や社会情勢に合う制度、日本の薬剤師の長所を生かした制度を追求すべきです。限られた世界に留まっていると自らの文化や特性に対する理解の浅さに気づいていないことすら、私たちは認識できません。ぜひ海外アドバンスト実習に参加して知見を広げてほしいと思います。
(土谷君の体験談は『ファルマシア』Vol. 55, NO. 12, 2019. p1160-1161 に掲載されました)