2021年、EUはデジタルサービスアクト(DSA)およびデジタルマーケットアクト(DMA)を可決し、メガ・デジタルプラットフォームに対する規制を強化した。メガ・プラットフォーム事業者を抱える米国は、すでに1998年のマイクロソフト独禁法違反訴訟において、デジタル社会におけるガバナンスをめぐる法的紛争を経験したが、筆者によれば、そこで得られた教訓を忘れてしまっている。筆者は、同訴訟において裁判官付スペシャル・マスターを務めた経験からEUにおけるデジタルプラットフォーム規制の法的評価を行うとともに、ほかのあり得る「規制」のあり方を提案することで、メガ・プラットフォームに対するガバナンスの姿を探る。
本ワーキングペーパーは、2022年6月24日に、ハーバード大学ロースクール教授のローレンス・レッシグ教授を講師として招聘して開催したKGRIグレートシンカーシリーズ講演会の講演および国領二郎教授(慶應義塾大学総合政策学部、KGRIサイバー文明研究センター)との討論を書き起こし、必要最低限の加筆修正を行ったものである。同講演会では、デジタル空間の統治手法としてコードの存在を指摘した同教授が、法によるデジタルプラットフォームの規制をいかに評価するのかを問うた。