慶應義塾

AI・高度プログラミングコンソーシアム

公開日:2026.06.01
KGRI

センター概要

教員・塾生が、文系理系を問わない学術研究・産学協働における必須ツールとしてAIやプログラミングを活用する環境を産業界と共に整え、その利用方法を研究する。若く柔軟な考え方を有する若者ほどAIやプログラミング活用に長けるという考えのもと、塾生レベルで様々な活動に取り組める最新のAI・プログラミング環境を用意し、学生が他の学生を教える半学半教の学びの場を創り、産業界とともにAIやプログラミングに関するコンテスト等を企画することで、AI・プログラミング能力に長けた塾生の数を増やす。そして、塾生自らの研究においてAIや高度プログラミングの利用を促進すると同時に、塾教員・研究者にも門戸を開き、塾生・企業メンバー・研究者が議論を深めることから、AI・高度プログラミングツール活用の最先端を開拓すると同時に、その手法を義塾における基礎研究全般にフィードバックする。

2026年度事業計画

■前年度より継続する活動内容について、継続する背景・根拠と目標

(1)多様なレベルに対応した講習会と実践的な学習機会の拡充:

2026年度も引き続き、初級者から上級者まで幅広い層を対象とした講習会やAIC主催の特別講演会を実施し、塾生のITリテラシー向上と各研究分野におけるAI活用の幅をさらに広げていく。対面形式の講習会をより充実させるとともに、生成AIや大規模基盤モデルの最新動向を取り入れた講習会やハッカソンを開催し、最先端技術への理解を深める機会も設ける。また、ICPCをはじめとする競技プログラミング大会やG検定取得コースへの参加を推進し、スキルレベルの確認や技術向上の機会を提供する。

(2)様々な種類の教育イベントの実施:

2026年度も協賛企業と共催の各種イベント:「AICキャリアラボ」&「AICチャレンジ」を実施する。AIのますますの進化が予測される昨今、AIに関する知識やスキルをベースとしたキャリアデザインは、学生にとっては強い関心を持つテーマであり、就職活動が本格化する前から様々な業界についての情報やAI実装事例、学生時代に身に付けておくべきスキルなどを把握しておく必要がある。よって「AICキャリアラボ」は2025年度の8回に2業界を追加し、10回開催を目指す。また、「AICチャレンジ」は2025年度と同じく2回開催を目指し、AI技術を用いた課題解決型ワークショップの機会を学生に提供する。

さらに、より実践的なITスキルとビジネスアイデアを創出する機会として、企業共催によるハッカソンの開催も検討している。

■2026年度の新規活動目標と内容、実施の背景

(1)次世代AI/IT人材の育成と早期発掘

学部・学年を問わず、特に低学年のうちからAI・ITに関する研究活動に取り組む意欲のある学生を発掘・育成し、早期から研究マインドとスキルを醸成することで、将来的な研究の裾野を広げる。

対象は、全学部の学生(特に1・2年生を重点的にサポート)で、AI・IT分野に関心があり、研究活動を希望する学生とする。AICとしては、学生の研究活動を段階的にサポートし、最終的には論文作成および学会発表を目指す。

具体的には以下の支援を行う。

・調査・情報収集サポート:

 リサーチ手法のレクチャー、及び大学が契約する有料データベース等の利用環境を提供。

・専門家によるメンタリング:

 AICフェローを中心に週次での進捗確認と技術指導を実施。研究の壁を乗り越えるための具体的な解決策を共に探る。

・アウトプットの質の向上支援:

 論文の論理構成、効果的な図表の作成、学会発表の予行演習など、成果を外部に発信する段階で必要となるスキルを指導する。

(2)一貫教育校におけるAI/Data Science教育のさらなる展開:

2026年度の一貫教育校におけるAI/Data Science教育における新規活動として、AICの教職員とインターンシップ学生が、中等部3年生の選択授業を年間24回担当する。

選択授業ではAIの仕組みを基礎から学ぶ機会を提供することを目標とし、座学に加えiPadやPCを用いた演習(生成AI活用,プログラミング体験)も行う。

また、大学教員や大学生との交流を通じて、大学での学びや研究の一端に触れながら、これからのAI社会を主体的に生きるためのリテラシーと創造性を養う。

更に、一貫教育校の中学高校を対象にした「AIC Days」では、従来の講習会に加え、産学連携による特別プログラム(アイデアソン)の導入を検討し、より実社会に即したAI教育の提供を目指す。

(3)DXプロジェクトの更なる推進:

AICの業務効率化を進める共に、AICのデジタル会員証システムの新規開発に取り組む。

これにより、インターンシップ生に実践的な開発スキル向上の機会を提供すると同時に、実装に向けた取り組みを行う。

また、プロジェクトを通じて得られた知見を広く共有し、DX分野におけるリーダーシップを発揮することで、AICのプレゼンス向上をはかる。

2025年度事業報告

■当該年度事業計画に対する実施内容、および研究成果と達成度

(1)多様なレベルに対応した講習会と実践的な学習機会の拡充

2026年度も引き続き、初級者から上級者まで幅広い層を対象とした講習会やAIC主催の特別講演会を実施し、塾生のITリテラシー向上および各研究分野におけるAI活用の裾野拡大に貢献した。

AICラウンジを活用した対面形式の講習会を拡充するとともに、実践的なワークショップを開催することで、塾生が主体的に学べる環境整備を進めた。その結果、参加者数は前年比125%となり、延べ3,000人を超えた。

また、ICPC競技プログラミング大会において、7月の国内予選会で1位を獲得し、12月のICPCアジア地区予選横浜大会では2位となった。これにより、3月のThe 2026 ICPC Asia Pacific Championshipへの参加権を獲得した。

加えて、年2回実施したG検定挑戦コースでは、第1回のG検定合格率が93%となり、参加者のスキルレベルの確認や、技術向上の機会として高い成果を上げた。

(2)一貫教育校におけるAI/Data Science教育のさらなる展開

2025年度は、一貫教育校におけるAI/Data Science教育をさらに発展させ、早期からの体系的な学習機会の提供に注力した。具体的には、以下の活動を展開した。

・塾高3年生の「AI・プログラミング」分野における卒業研究指導への参画を通じて、生徒の研究活動を支援し、実践的な問題解決能力の育成に貢献した。

・8月の「AIC Days」ではカリキュラムを拡充し、多様なテーマと実習内容を提供することで、参加生徒の関心と理解を深めることができた。

・12月にSFC中学3年生向けAIリテラシー講習会を実施したほか、GAS講習会も開催し、中学段階からのAI教育と実践的プログラミングスキルの習得を支援した。

・2026年2~3月に開催する一貫教育校高校3年生向け講習会の規模を拡大し、より多くの生徒がAI技術に触れる機会を創出した。

(3)DXプロジェクトの更なる推進

AICオフィスにおける業務効率化の一環として、受付システムの機能を大幅に拡張した。具体的には、受付時のグループ分け機能や、名札自動印刷機能などを追加し、イベント運営の効率化と参加者の利便性向上を実現した。

また、体育会競走部のリクルーティング活動を支援するため、Pythonのスクレイピング技術を活用した候補者選出プログラムを開発・実装した。これにより、従来は人手で数か月を要していた作業が、2時間で完了できるようになり、劇的な業務効率化を達成した。

こうした実践的なDXプロジェクトに取り組むことで、DXチームのインターンシップ生は課題発見から実装・運用まで一連のプロセスを経験し、実務に即したスキルを習得することができた。

■公刊論文数(件数と主たる公刊誌名)、学会発表件数(国内・国際)、イベントなど社会貢献の実績(年月日、場所)

・2025/4/25 第1回 挑戦する仲間とつながる慶應生交流会を開催(場所:日吉協生館AICラウンジ)

・2025/4/30 小林真里:静岡市立高等学校 科学探求科SSH(Super Science High School)講義 (場所:東京女子医科大学 先端生命医科学研究所)

・2025/5/19 第1回 AICキャリアラボ_コンサルの回を開催(場所:日吉協生館AICラウンジ)

・2025/6/9 第2回 AICキャリアラボ_コンサルの回を開催(場所:日吉協生館AICラウンジ)

・2025/6/16 第3回 AICキャリアラボ_金融・VCの回を開催(場所:日吉協生館AICラウンジ)

・2025/6/24 サンデー毎日「キャンパスが変わる/大学の産学連携の取り組み」特集への掲載

・2025/7/11 第2回 挑戦する仲間とつながる慶應生交流会を開催(場所:日吉協生館AICラウンジ)

・2025/7/15 2025 AIインサイトサミットを開催(場所:日吉協生館 藤原洋記念ホール)

・2025/8/23~8/24 一貫教育校のAI/プログラミングに関する教育イベント「AIC Days」の実施(場所:日吉協生館AICラウンジ)

・2025/9/9 江頭叙那:「慶應義塾幼稚舎教員の業務を、生成AIとAIC生の力でDXするハッカソン」への参加(場所:慶應幼稚舎)

・2025/10/9 第4回 AICキャリアラボ_メディアの回を開催(場所:日吉協生館AICラウンジ)

・2025/10/21 第5回 AICキャリアラボ_商社の回を開催(場所:日吉協生館AICラウンジ)

・2025/11/10 第6回 AICキャリアラボ_ITの回を開催(場所:日吉協生館AICラウンジ)

・2025/11/25 第1回AICチャレンジを開催(場所:日吉協生館AICラウンジ)

・2025/11/28 第7回 AICキャリアラボ_ヘルスケア・メーカーの回を開催(場所:日吉協生館AICラウンジ)

・2025/12/4 2025 AIインサイトサミット Winterを開催(場所:三田キャンパス西校舎ホール)

・2025/12/8 湘南藤沢中学3年生への特別授業を実施(場所:湘南藤沢中学・高等学校)

・2025/12/8 第8回 AICキャリアラボ_外資系ITの回を開催(場所:日吉協生館AICラウンジ)

・2026/1/28 小林真里:愛知学院大学経営学部シンポジウム(生成AIの活用と教育現場への取り入れ方)での講演(場所:愛知学院大学)

・2026/2/25 一貫教育校校高校3年生向けイベント「GAS初級/中級/上級」を開催(場所:日吉協生館AICラウンジ)

・2026/3/2 一貫教育校校高校3年生向けイベント「機械学習コース」を開催(場所:日吉協生館AICラウンジ)

・2026/3/6 一貫教育校校高校3年生向けイベント「Pythonコース」を開催(場所:日吉協生館AICラウンジ)

・2026/3/24 第2回AICチャレンジを開催(場所:日吉協生館AICラウンジ)

■センター活動を通じて特に成果を挙げた事柄

AICとしては初となる協賛企業5社とのコラボレーションイベント:「第1回AICチャレンジ」を実施した。実際のビジネス課題に取り組む1日完結型ビジネスコンテストとして、66名の学生が企業から提示されたリアルな課題解決に挑んだ。このイベントの実施により、AICは協賛企業との強固な連携体制を構築すると同時に、産学連携による共創型人材育成に大きく貢献した。

2024年度事業報告

■当該年度事業計画に対する実施内容、および研究成果と達成度

ITリテラシー向上のための講習会およびAIC主催の特別講演会等の実施

2024年度より、日吉協生館のAICラウンジを本格的に活用し始めたことで、塾生にとってより身近でアクセスしやすい対面講習会の開催が可能となった。これにより、2024年度も引き続き、初級者から上級者まで幅広いレベルに対応した講習会を実施し、塾生のITリテラシー向上に努めた。

特に、2024年度は 夏季集中講座 および 秋季集中講座を新たに実施し、短期間で集中的にAIやプログラミングを学ぶ機会を提供した。これにより、AIの基礎理論から実装技術に至るまでの学習プロセスを効率化し、多くの塾生が実践的なプログラミングスキルを習得することができた。

さらに、2024年度はAIC主催の特別講演会として、Microsoft CTOのケビン・スコット氏 をお招きし、リーダーと塾生との対話形式で技術革新やAI社会について議論する「リーダーと塾生との対話会」を開催した。加えて、OpenAI Japanの長﨑社長をお招きし、最新の生成AI技術やその社会的影響について議論する「AIインサイトサミット」を実施。これらのイベントを通じて、最先端技術やその実践的な活用方法に触れる機会を提供し、さまざまな研究分野への応用可能性を広げることに貢献した。

また、ICPC(国際大学対抗プログラミングコンテスト) をはじめとする競技プログラミング大会への参加を積極的に支援し、塾生が実践を通じてプログラミング技術を向上させる機会を提供した。更に、G検定(ジェネラリスト検定)対策コースを新設し、AICの講習会や教育イベントで学んだ知識を公的資格の取得に活かすことで、より実践的な学習効果を高めることができた。

一貫教育校へのAI/Data Science教育の展開

2024年度は昨年度の引き続き、一貫教育校におけるAIおよびData Science教育の展開をさらに拡充した。

・塾高3年生のAIプログラミング分野の卒業研究に協力。研究の進め方についてのイントロダクション講義や、研究指導を行った。

・夏休み期間中の教育イベント「AIC Days」を開催。GASを学ぶコース、量子コンピュータ入門、データサイエンス入門、LEGO×Pythonロボット制御入門などの講座を実施し、のべ200名以上が参加した。

・横浜初等部の体育×算数の授業にて、GPSデバイスを用いて生徒自身の動きを可視化・分析することに協力し、生徒の数学的な理解促進に尽力した。

・湘南藤沢中学3年生向けに「生成AIとの付き合い方2024冬編」というテーマで特別授業を実施した。さらに同日、中学3年生の希望者を対象に、GASプログラミング講習会も実施した。

・NY学院を含む高校3年生向けの大学入学前イベントを実施した。GASを学ぶコース、機械学習入門、Python講習会を実施した。

これらの講座や教育イベントを通じ、一貫教育校全体のITリテラシーの向上と、AI技術への理解促進をはかるとともに、普段の授業では難しい一貫校間の横のつながりを構築し、全塾としての連携意識を醸成することに貢献した。これにより、塾生同士が協力しながら学ぶ環境を促進し、長期的な教育の質の向上につなげることができた。

新規取り組み

株式会社博報堂と「大規模基盤モデルによる人間理解」というテーマで共同研究トライアルを開始した。

■公刊論文数(件数と主たる公刊誌名)、学会発表件数(国内・国際)、イベントなど社会貢献の実績(年月日、場所)

  • 2024/4/13 第80回日本放射線技術学会総会学術大会 ランチタイムセミナーでの口頭発表(小林真里)

  • 2024/8/24~8/25 一貫教育校のAI/プログラミングに関する教育イベント「AIC Days」の実施(場所:日吉協生館AICラウンジ)

  • 2024/11/3 慶應義塾大学體育會競走部に協力し、「KEIO ATHLETIC EVENT」を実施(場所:日吉キャンパス陸上競技場、AICラウンジ)

  • 2024/11/20 リーダーと塾生との対話「AIが拓く未来」を開催(場所:日吉協生館AICラウンジ)

  • 2024/12/2 2024 AIインサイトサミットを開催(場所:三田キャンパス西校舎ホール)

  • 2024/12/9 湘南藤沢中学3年生への特別授業を実施(場所:湘南藤沢中学・高等学校)

  • 2024/12/7 「AIC Conference 2024 Winter Edition」を開催(場所:日吉協生館AICラウンジ)

  • 2025/2/12 AICキャリアラボ~未来を拓くネットワーキング~1回目を開催(場所:日吉協生館AICラウンジ)

  • 2025/2/15 「AIC Discussion Forum」を開催(場所:日吉協生館AICラウンジ)

  • 2025/2/28 一貫教育校校高校3年生向けイベント「GASを学ぶ半日コース①」を開催(場所:日吉協生館AICラウンジ)

  • 2025/2/28 AICキャリアラボ~未来を拓くネットワーキング~2回目を開催(場所:日吉協生館AICラウンジ)

  • 2025/3/3 一貫教育校校高校3年生向けイベント「機械学習を学ぶ半日コース」を開催(場所:日吉協生館AICラウンジ)

  • 2025/3/7 一貫教育校校高校3年生向けイベント「Pythonを学ぶ1日コース」を開催(場所:日吉協生館AICラウンジ)

  • 2025/3/12 AICキャリアラボ~未来を拓くネットワーキング~3回目を開催(場所:日吉協生館AICラウンジ)

  • 2025/3/21 一貫教育校校高校3年生向けイベント「GASを学ぶ半日コース②」を開催(場所:日吉協生館AICラウンジ)

■センター活動を通じて特に成果を挙げた事柄

株式会社博報堂と「大規模基盤モデルによる人間理解」というテーマで共同研究トライアルを開始した。本共同研究では、大規模基盤モデル、特に自然言語や画像などで用いられるモデルであるVision Language Model (VLM)が、人間の性格や映像コンテンツ解釈に関して、どの程度理解しているかの知見を得ることを目的としている。なお、本研究の目的はデータセットの構築ではなく、小規模なCM動画を用いた初期検討に焦点を当てている。本取り組みにおいて期待される成果として、以下が挙げられる。

・CM動画に対するVLMの理解度評価結果

・CM動画からの情報抽出に有効なプロンプト集

・人手による情報抽出の結果データ(上記評価用データセット)

・CM内容の説明文の生成サンプル(VLMによる広告解析の実用可能性の検討材料)

本共同研究は、AICにとって初の企業との共同研究となる。今年度のトライアル期間を経て一定の成果が得られた場合、次年度以降の継続も視野に入れている。

2024年度は、新たにG検定(ジェネラリスト検定)対策コースを開設し、AICの講習会や教育イベントで得た知識を公的資格の取得につなげる取り組みを実施した。本コースは2クールにわたって開講し、第1クールでは93%、第2クールでは100%の受講者が資格試験に合格するという高い成果を収めた。

センター オリジナルWebサイト

設置期間

2019年11月1日~2029年10月31日

メンバー

メンバー

研究代表者

泰岡 顕治

教授理工学部 機械工学科分子動力学

内山 孝憲

教授理工学部 物理情報工学科生体計測、筋電図、筋音図、床反力、システム同定

山本 直樹

教授理工学部 物理情報工学科量子計算、量子情報、数理工学