慶應義塾

メディカルAIセンター

公開日:2026.05.27
KGRI

センター概要

メディカルAIセンターは、近年急速に進歩してきた様々なICT、AI技術を病院内に実装・統合し、実現可能なAIホスピタルモデルの構築を目標とする。

2026年度事業計画

■前年度より継続する活動内容について、継続する背景・根拠と目標

厚労省のSBIR(中小企業イノベーション創出推進事業)の予算により、慶應義塾大学病院内の院内医療DXを、①データの可視化・デジタル化、②非接触・遠隔化 、③ロボット、④画像AI、⑤生成Aに分類して、更に推進する。

①は、デジタル問診を導入する診療科の増加、クラウド型リハビリテーション医療情報プラットフォームの更なる実装、救急医療業務改善ツールの実装を目指す。コマンドセンターを利用した入退院管理システムでは、3日後や7日後の病床稼働率予測の精度を向上させる。

②は、E-skin ECGを用いた郵送心電計検査の更なる使用頻度の増大を行う。

③は、定期搬送ロボットを導入したので、経常費で賄うことへの移行をめざす。

④は、胸部X線画像のAI読影支援システムの継続的活用と、画像診断部門で新たな診断補助ソフトの実導入を目指す。

⑤は、生成AIを用いた退院サマリーと看護サマリーを使用する診療科を増加させる。

■2026年度の新規活動目標と内容、実施の背景

2017年度から継続してきた医学部での医療AI研究基盤としての役割と、病院の臨床現場に医療AI技術を実装する役割を継続して果たしていく。特に、生成AIの活用とAIエージェントの活用を積極的に推進したい。

2025年度事業報告

■当該年度事業計画に対する実施内容、および研究成果と達成度

厚労省のSBIR(中小企業イノベーション創出推進事業)の予算により、慶應義塾大学病院内の院内医療DXを、①データの可視化・デジタル化、②非接触・遠隔化 、③ロボット、④画像AI、⑤生成Aに分類して、更に推進した。

①については、クラウド型リハビリテーション医療情報プラットフォームの一部実装、医療人材向けAIシフト作成機能の使用する診療科の増加させ、救急医療業務改善ツールを一部実装、実際に使用する診療科を広げた。コマンドセンターを利用した入退院管理システムでは、病棟看護師の適性配置予測システムの実装を達成した。

②については、E-skin ECGを用いた郵送心電計検査の更なる使用頻度を増大させ、遠隔操作で行うシリンジポンプを導入した。

③については、定期搬送ロボットの実導入を行った。

④については、胸部X線画像のAI読影支援システムの継続的活用を達成し、画像診断部門で臓器セグメンテーションや膵癌検出の診断補助ソフトの実導入を行った。

⑤については、Chat GPTを用いた退院サマリーはほぼ全診療科に及び、3分の2の研修医が使用するようになった。看護サマリーも全病棟で使用可能になった。

■公刊論文数(件数と主たる公刊誌名)、学会発表件数(国内・国際)、イベントなど社会貢献の実績(年月日、場所)

【学会発表及び講演】

1. 陣崎雅弘. IT/AI の医療への実装~AIホスピタルのモデルを目指して~ 第2回AIの臨床利用に関する検討委員会 2025/5/22、東京

2. 陣崎雅弘. 当院のAIホスピタルの現状と医療DXの今後 北海道大学医療AI  2025/05/23. 札幌

3. 橋本正弘. IT/AI の医療への実装~AIホスピタルのモデルを目指して~. 名古屋市立大学病院 第一回 医療DX推進リーダー会 キックオフミーティング. 2025/08/12. WEB

4. 陣崎雅弘. AIホスピタルの現状と展望~病院DXの実践報告~. 第32回東京都臨床工学会. 2025/10/19. 東京

5. 陣崎雅弘. IT/AIの医療への実装ーAIホスピタルのモデルを目指してー 第22回福岡市医師会主催「新しい医療講演会」. 2025/10/24. WEB

6. 橋本正弘. AIホスピタルの実践と展望‐慶応義塾大学病院でのDXの取り組み. 大阪医科薬科大学病院 連携病院長会 総会. 2025/11/20. 大阪

7. 橋本正弘. 当院のAIホスピタルの現状と医療DXの今後 第34回日本コンピュータ外科学会. 2025/11/22. 東京

8. 陣崎雅弘. 医療DXの現状と今後の展望. 第105回慶應医学会シンポジウム. 2025/11/22. 東京

9. 陣崎雅弘. 慶應義塾大学病院で進める医療DXの現状.  慶應大学院システムデザイン・マネジメント招請講演. 2026/1/15. WEB

10.Masahiro Jinzaki. Implementation of IT and AI Technologies in Healthcare:Toward a Model for the AI Hospital. Japan-US Research Collaboration Week 2025. SanFrancisco, USA

11.Masahiro Jinzaki. Implementation of IT and AI Technologies in Healthcare:Toward a Model for the AI Hospital. ADBI Workshop on Artificial Intelligence Applications in Healthcare. Yokohama, Japan

12.Masahiro Jinzaki. What can the imaging community do to strength its workforce pipeline? International Society for Strategic Studies in Radiology (IS3R) 2025, Dublin, Irland

【慶應義塾大学病院AIホスピタル事業見学】

4月24日 アルフレッサ株式会社 12名

5月2日 名古屋市立大学 3名

5月2日 群馬大学 3名

6月6日 経済産業省、慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科 15名

6月12日 エジプト・EJEP:エジプト・日本教育パートナーシップ「2025年度エジプト人医師訪日研修プログラム」、エジプト・アラブ共和国大使館、東京女子医科大学、株式会社MEDIVA 16名

6月19日 フランス・「健康データ AIに関する日仏二国間セミナー」シンポジウム、フランス大使館 15名

6月19日 宇都宮記念病院 4名

6月24日 ソニーグループ株式会社 4名

6月25日 インド・インド工業連盟(CII:Confederation of Indian Industry) 25名

6月25日 台湾・国立台湾大学医学部 7名

7月16日 総合南東北病院、新百合丘総合病院 11名

8月5日 デジタル庁 7名

9月10日 国立がん研究センター中央病院、日経メディカル 5名

9月23日 アメリカ・Davos of Healthcare™ Summit Tokyo 2025 10名

10月2日 台湾・台湾工業技術研究院(ITRI:Industrial Technology Research Institute) 16名

10月3日 上海、香港・IHH Healthcare パークウェー病院(上海)、グレンイーグルス病院(香港) 3名

11月10日 内閣府 20名

11月11日 西インド諸島・西インド諸島大学、国際協力推進協会(APIC:The Association for Promotion of International Cooperation) 7名

12月5日 オーストラリア・オーストラリアニューサウスウエールズ州政府代理Hitachi Digital Services、医療AIプラットフォーム技術研究組合 2名

12月9日 東京都済生会中央病院 7名

1月23日 沖縄科学技術大学院大学 2名

2月17日 オーストラリア・Canon Australia Pty Ltd、キヤノンメディカルシステムズ株式会社 17名

3月26日 文部科学省高等教育局医学教育課 3名

3月30日 中国・清華大学/国立シンガポール大学 National Eye Center 1名

■センター活動を通じて特に成果を挙げた事柄

研究費を使い導入したほとんどの仕組みが、経常費で賄われるになっており、現場に実装できている。

各研究課題を実施するため、メディカルAIセンターが中心となり小人数のヘッドクォーターを組織し、更に病院全体を網羅し隅々まで活動や情報が行き渡る診療科AI担当医を配置した。このメンバーで、「医療DX推進委員会(隔月開催)」を設置し、各研究課題が迅速に同時平行に進める基盤を整えたことで多くの研究成果に繋がった。

これまでに、外来業務では、効率的な患者問診システムの開発、患者さんへの診療情報提供・コミュニケーションツールの導入支援、患者移送補助システムの安全性の検証を導入した。検査部門では、立位CTによる検査の非接触化・遠隔化の取り組み、検査説明コンテンツの作成、画像検査DICOM画像データの匿名化、胸部X線画像のAI読影支援システム、新型シャツ型ホルダー心電計、眼底画像診断支援AIを導入した。薬剤部門では、薬剤ピッキングロボット、薬剤搬送ロボット、スマホを活用した持参薬鑑別を導入した。病棟部門では、コマンドセンターを利用した入退院管理・病棟看護師の適性配置予測システム、センサーを用いたバイタルセンシング技術搭載のベッドを導入した。手術・リハビリ部門では、手術動画スマートレコーダー、VRやロボットを活用したリハビリテーション運用モデル構築を導入した。共通部門として、予防医療の生活習慣病等の疾患発症予測や予後予測をするシステム開発、医療従事者の働き方改革のための労務管理システムを導入した。

この結果、国内外から多くの見学者を受け入れ、慶應病院の外部からの評価を高めることに役立っている。国内では、多くの建て替えを考えている病院関係者の他に、厚労大臣や公明党党首、厚労省のお役人などが来訪している。

2024年度事業報告

■当該年度事業計画に対する実施内容、および研究成果と達成度

当該事業計画通り、①データの可視化・デジタル化、②非接触・遠隔化 、③ロボット、④画像AI、⑤生成Aに分類して、実証、検証、評価を行った。

①については、クラウド型リハビリテーション医療情報プラットフォームの構築、医療人材向けAIシフト作成機能の開発、救急医療業務改善ツールの開発、コマンドセンターを利用した入退院管理システムの実導入を進めた。

②については、E-skin ECGを用いた郵送心電計検査の使用頻度の拡大、遠隔操作で行うシリンジポンプの実証実験、非接触完全自動化の立位CTのバージョンアップを行った。

③については、定期搬送ロボットの実証実験を行った。

④については、画像鮮明化ソフトの導入、胸部X線画像のAI読影支援システムの継続的活用を行った。

⑤については、Chat GPTを用いた退院サマリーと看護サマリーの開発を行った。

当初、設定した目標に達成している。

■公刊論文数(件数と主たる公刊誌名)、学会発表件数(国内・国際)、イベントなど社会貢献の実績(年月日、場所)

公開論文

Yamashita S, Katsumata Y, Kohsaka S, Kitakata H, Shiraishi Y, Yamaoka K, Muramoto Y, Ono T, Shoji S, Yagyu K, Oginosawa Y, Kataoka M, Hashimoto M, Ko SBH, Kitagawa Y, Jinzaki M. Electronic Patient-Reported Outcome System Implementation in Outpatient Cardiovascular Care: A Randomized Clinical Trial. JAMA Netw Open. 2025 Jan 2;8(1):e2454084. doi: 10.1001/jamanetworkopen.2024.54084.

学会発表件数

  1. 橋本正弘. 人工知能技術を活用した放射線画像診断補助ソフトウェアの導入・管理について. 第83回日本医学放射線学会総会. 2024/04/12. 横浜

  2. 橋本正弘. 生成AIの現状と課題. 第83回日本医学放射線学会総会. 2024/04/12. 横浜

  3. 橋本正弘. 放射線科が関わる医療DX~慶應義塾大学病院の場合~. 第83回日本医学放射線学会総会. 2024/04/13. 横浜

  4. 陣崎雅弘. 病院で進める医療DXの現状と今後の課題:慶應義塾大学病院の事例から学ぶ. Hospital Management Japan Summit 2024. 2024/09/11. 東京

  5. 陣崎雅弘. 医療DXの現状と課題. 日本脳神経外科学会第83回学術総会. 2024/10/16. 横浜

  6. 橋本正弘. 人工知能技術を活用した放射線画像診断補助ソフトウェアの導入・管理について. 第60回日本医学放射線学会秋季臨床大会. 2024/10/18. 東京

  7. 橋本正弘. 画像診断でAIはどう活用されているの?. 第34回 慶應医師会 市民公開講座. 2024/10/23. 東京

  8. 陣崎雅弘. 医療におけるIT, AIの活用ー慶應義塾大学病院での取り組みー. 第23回神奈川ウロロジー医会学術講演会. 2024/11/01. 横浜

  9. 陣崎雅弘. Singularity: 外科医療界におけるAI、ITの現在と未来. 第77回日本胸部外科学会定期学術集会. 2024/11/03. 金沢

  10. 陣崎雅弘. 慶應義塾大学における医療DX/AIの実用化について. GE HealthCare Japan 中部 Seminar2024. 2024/11/13. 名古屋

  11. 陣崎雅弘. 病院のIT/AI 活用の現状と課題. 第44回日本医療情報学連合大会. 2024/11/21. 福岡

  12. Masahiro Hashimoto, Masahiro Jinzaki. Development and Use of IT and AI in Radiology Department - Initiatives in Keio University-. SIIM24 Annual Meeting and InformaticsTECH Expo. 2024/06/29. Washington, USA

医師向け生成AI活用セミナーワークショップ

  1. 2024年3月2日、3月16日、6月22日 事前学習:オンライン(オンデマンド)、ワークショップ:慶應義塾大学病院内

慶應義塾大学病院AIホスピタル事業見学

  1. 2024年4月8日 台湾・台湾国立高雄医学大学 5名

  2. 2024年5月14日 がん研究会有明病院 若干名

  3. 2024年5月27日 フィンランド・国立ヴァーサ大学 2名

  4. 2024年5月29日 慶應義塾大学塾長室・基金室、株式会社博報堂 10名

  5. 2024年6月20日 アメリカ・メリーランド大学、神奈川県 18名

  6. 2024年7月4日 慶應義塾大学医学部&カロリンスカ医科大学&キングズ・カレッジ・ロンドン&北京大学「博士課程合同サマープログラム」 30名

  7. 2024年8月1日 三重大学、東邦大学 10名

  8. 2024年8月13日 横須賀共済病院 5名

  9. 2024年9月18日 聖マリアンナ医科大学、小倉記念病院 5名

  10. 2024年11月6日 青森県病院局(青森県立中央病院)、株式会社佐藤総合計画 20名

  11. 2024年11月13日 アメリカ・Carnegie Mellon 大学、The Jewish Healthcare Foundation、Carnegie Mellon University Team 25名

  12. 2024年11月20日 第29回慶應医学賞受賞者、関係者 6名

  13. 2024年11月26日 株式会社MEDIVA、東京女子医科大学、EJEP Hospital Management and Health Systems Training 2024-2025 14名

  14. 2024年11月27日 公明党、厚生労働省 20名

  15. 2024年12月18日 中国・北京大学医学部医学部 5名

  16. 2024年12月19日 心臓血管研究所・付属病院 5名

  17. 2025年1月21日 聖隷浜松病院、聖マリア病院、株式会社メディアックス(愛知県立がんセンター)、京都大学、山口大学 20名

  18. 2025年2月6日 帝京大学医学部附属病院 若干名

■センター活動を通じて特に成果を挙げた事柄

当該事業を推進する上で、病院全体で取り組む研究課題、診療科単独で取り組む研究課題、診療科横断的に取り組む研究課題に分類され、研究課題によって、それぞれにマッチした体制を構築する必要があった。

各研究課題を実施するためメディカルAIセンターが中心となり小人数のヘッドクォーターを組織し、病院全体を網羅し隅々まで活動や情報が行き渡る診療科AI担当医を配置した。この体制が有効に機能し研究課題の解決に資するアイデアをすくい上げ、迅速に事業の実施を承認する体制「医療DX推進委員会(隔月開催)」を設置し、各研究課題が迅速に同時平行に進める基盤を整えたことで多くの研究成果に繋がった。

これまでに、外来業務では、効率的な患者問診システムの開発、患者さんへの診療情報提供・コミュニケーションツールの導入支援、患者移送補助システムの安全性の検証を導入した。検査部門では、立位CTによる検査の非接触化・遠隔化の取り組み、検査説明コンテンツの作成、画像検査DICOM画像データの匿名化、胸部X線画像のAI読影支援システム、新型シャツ型ホルダー心電計、眼底画像診断支援AIを導入した。薬剤部門では、薬剤ピッキングロボット、薬剤搬送ロボット、スマホを活用した持参薬鑑別を導入した。病棟部門では、コマンドセンターを利用した入退院管理・病棟看護師の適性配置予測システム、センサーを用いたバイタルセンシング技術搭載のベッドを導入した。手術・リハビリ部門では、手術動画スマートレコーダー、VRやロボットを活用したリハビリテーション運用モデル構築を導入した。共通部門として、予防医療の生活習慣病等の疾患発症予測や予後予測をするシステム開発、医療従事者の働き方改革のための労務管理システムを導入した。 この結果、国内外から多くの見学者を受け入れ、慶應病院の外部からの評価を高めることに役立っている。国内では、多くの建て替えを考えている病院関係者の他に、厚労大臣や公明党党首、厚労省のお役人などが来訪している。海外からはアジアが多いが、2024年度にはアメリカのカーネギメロン大学の来訪も受けた。

設置期間

2017年4月1日~2027年3月31日

メンバー

研究代表者

陣崎 雅弘

教授医学部 放射線科学(診断)放射線科学、医療DX

北川 雄光

常任理事医学部消化器外科学

武林 亨

教授医学部 衛生学公衆衛生学疫学・予防医学、衛生学・公衆衛生学